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農政:シリーズ

【世界の食料・協同組合は今】2025年は2度目の国際協同組合年(2)〝社会貢献力〟発信の好機 農中総研・重頭ユカリ氏2024年9月27日

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農林中金総合研究所の研究員が解説するシリーズ「世界の食と農を追う」。前回に続き「25年は2度目の国際協同組合年」㊦を理事研究員の重頭ユカリ氏が解説する。

【世界の食料・協同組合は今】2025年は2度目の国際協同組合年(1)から続く

農中総研て理事研究員・重頭ユカリ氏農中総研理事研究員・重頭ユカリ氏

2015年にはSDGs採択とパリ協定合意

初めての国際協同組合年だった2012年から現在まで、世界ではいくつかの大きな出来事があった。大きな転換点は2015年だったであろう。同年には、国連本部において国連持続可能な開発サミットが開催され、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された。アジェンダで掲げられたSDGsは「誰一人取り残さない」を理念として、17の目標と169のターゲットで構成されている。

また同年11月末からパリで開催された第21回国連気候変動枠組条約締約国会議 (通称COP21)では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保ち、1.5度に抑える努力をするための国際的な枠組みである「パリ協定」が合意された。

それまでも国連は国際的な開発目標を設定していたし、環境問題が喫緊の課題であることは世界中で認識されていた。しかし西川(2018年没)によれば、2030アジェンダは、国連の場で初めて社会開発の目標と気候変動への対応を含む持続可能性の問題を結びつけるものであった(注1)。

また、前身のミレニアム開発目標(MDGs)は、途上国の開発問題を先進国がサポートするという性格が強く、取り組みの主体は国連や政府であったのに対し、SDGsは、開発は南北共通の問題という立場をとり、取り組みの主体に民間企業や個人も含む。そうしたこともありSDGsはMDGsとは比べものにならないほど浸透し、誰もが自分ごととして取り組まなければならないという意識が高まったと考えられる。

道半ばのSDGs達成と国際社会における協同組合への期待

しかし、持続可能な開発ソリューションネットワークが2024年6月に刊行した「持続可能な開発報告書」によれば、世界レベルでのSDGsの進捗(しんちょく)は2020年以降停滞している(注2)。特に達成への軌道から外れているとされる飢餓に関しては、2024年7月に国連食糧農業機関(FAO)など五つの国連専門機関が刊行した『世界の食料安全保障と栄養の現状』報告書が、2023年時点で推計7億3,340万人が飢餓に直面していることを伝えている(注3)。新型コロナウイルスのまん延やロシアによるウクライナ侵攻などで食料価格が上昇したことにより飢餓人口は急増し、2023年は2018年から3割増となった。

こうした状況もあり、国際社会では協同組合を含む社会的連帯経済が持続可能な発展に果たす役割への期待が高まっており、2023年4月の国連総会では「持続可能な開発のための社会的連帯経済の促進」という決議が採択された(注4)。

社会的連帯経済には、協同組合、アソシエーション、共済組織、財団、社会的企業、自助グループおよび社会的・連帯経済の価値と原則に沿って活動するその他の団体が含まれる。決議では、社会的連帯経済が様々な面でSDGsの達成に貢献できることを示しつつ、それを支援するために加盟国に対して、法的な枠組みの整備や、金融サービスや資金調達へのアクセスの促進、教育カリキュラム等においてその存在を認めること、政策決定プロセスへの参加を奨励することなどを推奨している。

EUにおいても、2021年12月に欧州委員会が「社会的経済のための行動計画」を提示し、協同組合や共済組合、アソシエーション、財団、社会的企業等を促進する具体的な取り組みが進められている。

つまり、国際社会ではSDGsへの貢献も踏まえ、協同組合を含む社会的連帯経済の組織を積極的に促進する動きが進んでおり、2025年国際協同組合年は、協同組合の重要性が改めて認識されていることを広くアピールし、認知を高める好機と考えられる。

特に国内では、若い世代への情報発信が重要になる。朝日新聞社が2024年1月に実施した第10回SDGs認知度調査によれば、SDGsという言葉を聞いたことがあると回答した人の割合は88.7%に達しているが、世代別には10代の認知度が最も高い(注5)。さらに、商品購入やサービス利用の際にSDGsに沿ったものであるかをどの程度考慮するかという質問に対して「考慮したい」「やや考慮したい」の回答割合は全年齢層では35.4%であるのに対し、10代は52.0%と非常に高い。これはSDGsが教科書でとりあげられ、学校で学んだことが大きく影響している。

国内での国際協同組合年に向けた取り組み

日本では、前回の国際協同組合年のために組織された2012国際協同組合年全国実行委員会が、IYC記念全国協議会を経て、2018年の日本協同組合連携機構(JCA)の設立に結びついた。JCAのウェブサイトには2025年国際協同組合年の特設ページが設けられ、関連するニュースをまとめてみることができる。

2024年7月にはJCAを事務局に2025国際協同組合年全国実行委員会も発足し、10月には「協同組合教育について-IYC2025大学寄付講座等拡大に向けたシンポジウム」を開催する。協同組合に関する大学への寄付講座も、前回の国際協同組合年を契機に活発化しており、その経験を踏まえた2025年に向けての初動的な取り組みである。

筆者も大学の寄付講座を担当した経験があるが、学生たちは協同組合に関心がないわけではなく、説明をすれば理解し共感されることが多い。協同組合だけを知らないのではなく、NPOや株式会社など事業体の法的形態のそれぞれの特徴や性格を知らないのが実態だと思われる。一方で、前述のとおりSDGsへの関心は非常に高いことから、SDGsの達成に実際に協同組合はどのように貢献しているのかを具体的事例を示しながら伝えることが必要だ。

協同組合を漠然と知っているだけでなく、何をしている組織なのか理解している人を増やすためには、寄付講座だけでなく、職業体験、インターンシップの機会の提供、各種協同組合の商品開発やプロモーション、地域貢献活動に学生を巻き込む取り組み、SNSも活用した分かりやすい情報発信が重要になるだろう。

1 西川潤(2018)『2030年未来への選択』日本経済新聞出版社

2 Jeffrey D. Sachs, Guillaume Lafortune and Grayson Fuller (2024) The SDGs and the UN Summit of the Future. Sustainable Development Report 2024, Sustainable Development Solution Network
https://s3.amazonaws.com/sustainabledevelopment.report/2024/sustainable-development-report-2024.pdf

3 FAO, IFAD, UNICEF, WFP and WHO (2024) The State of Food Security and Nutrition in the World 2024
https://openknowledge.fao.org/items/09ed8fec-480e-4432-832c-5b56c672ed92

4 UN Document, A/RES/77/281, Promoting the social and solidarity economy for sustainable development, April 2023
https://documents.un.org/doc/undoc/gen/n23/118/68/pdf/n2311868.pdf

5 朝日新聞社ウェブサイト「【第10回SDGs認知度調査】若い世代でSDGsに高い関心商品購入に影響も」2024年4月1日
https://www.asahi.com/sdgs/article/15212866

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