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農政:世界の食料・協同組合は今 農中総研リポート

【世界の食料・協同組合は今】化石補助金に対する問題意識(2)化石資源補助削減が急務に 農中総研・藤島義之氏2024年12月27日

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農林中金総合研究所の研究員が解説するシリーズ。今回は「欧州のサーキュラーエコノミーと世界の基準作り―化石資源補助金に対する問題意識」として理事研究員の藤島義之氏が解説する。

農林中金総合研究所理事研究員 藤島義之氏

農林中金総合研究所理事研究員 藤島義之氏

サーキュラーエコノミーをどのような定義で何をもって進捗(しんちょく)をはかるかについて、これまでは国際的な指標が無かったが、2018年から国際標準化機構(ISO)の第323専門委員会(TC323)において循環経済として議論が進められていた。この委員会はフランスの発案で始まり、持続可能な排活への貢献を最大化するために、関連するあらゆる組織の活動の実施に対する、枠組み、指針、支援ツールおよび要求事項を開発するための循環型経済分野の標準化を議論し、2024年4月に以下の規格が開発、発表されている。

▽ISO59004=サーキュラーエコノミーの定義、原則、実践のためのガイダンス

▽ISO59010=サーキュラーエコノミーのビジネスモデルと価値ネットワークの転換に関するガイドライン

▽ISO59014=二次材料回収の持続可能性とトレーサビリティ、原則と要求

▽ISO59020=循環性の測定の枠組み

▽ISO/TR59031=サーキュラーエコノミーの成果を軸としたアプローチ、事例の分析

▽ISO/TR59032=サーキュラーエコノミーのビジネスモデル導入のレビュー

▽ISO59040=サーキュラーエコノミーの製品循環のデータシート

これらの規格については日本を含めた78カ国が参加国として議論し、日本からは産業環境管理協会と日本規格協会を事務局として意見を集約して対応している。

それぞれの基準がつくられたので、今後の具体的な運用がどうなるかは留意したいが、出来たばかりのガイドラインやガイダンスであるので、適宜修正が入るものと考えられる(IS=国際規格、TR=技術報告書)。

サーキュラーエコノミーの発展は期待されているものの、経済の転換や資源の循環利用はそれほど進んでいない。その理由として頻繁に上がるのが、オイルメジャーや産油国の化石資源採掘に対する補助金が減らないことがある。ガソリンやナフサの使用が快適さを生み、エネルギーセキュリティ保護をもたらすということから化石資源(エネルギー)への補助金が減っていないことが、サーキュラーエコノミーだけでなく、カーボンニュートラル実現の最大のハードルとなっている。

国際エネルギー機関(IEA)によると2022年の化石エネルギー、資源に対する補助金は1兆ドルを超えたとされる。また、国際通貨基金(IMF)による集計では、各国の石油製品や天然ガス、石炭などの消費・生産を対象にした直接補助金は、2022年は約1兆3000億ドルであり、減税や環境、健康被害などの間接コストも含めると、2022年に約7兆ドル(約1000兆円)に達し、過去最高となったとしている。目先の問題解決のための大盤振る舞いは、支援の効率を落とすだけでなく、循環型脱炭素社会への移行を遅らせる弊害が指摘されている。

このような化石資源社会を循環型に変えることができるのは、可能な限り太陽光や風力の再生可能エネルギーを用いることであり、ものづくりに対する炭素源供給をバイオマスに変えることにあると考えられる。

国土の3分の2を森林に囲まれ、米作りを得意とする日本は木質バイオマスをバイオナフサに変換しうることや、米のでんぷんをグルコースにして様々な発酵産業に供給しうること、また様々な伝統的な生活に発酵を用いる文化が有ることから、バイオものづくりが可能な素地を持っている。すなわち循環型社会実現の好適地であると考えられる。ついては日本におけるサーキュラーエコノミーは1次産業が原料供給として積極的に貢献するものとして期待したい。

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