農政:現場から考える農政改革
【現場から考える農政改革】(2)地域全体で農業維持 実態ふまえた政策を2014年2月13日
松岡秀樹・秋田県農協青年部協議会委員長
米政策や経営安定対策の見直し、農業の多面的機能に着目した直接支払い制度の創設など、今年から新たな農業政策が動き出す。しかし、誰のための何のための農業政策かが忘れられてはならない。その視点を議論に生かすには現場からの発信を強める必要がある。全国の生産現場で活躍する青年農業者6人に思いを聞いた。
◆飼料用米、需要あるか
両親と3人で水稲24haを経営しています。就農したのは24歳のときですが、そのころから経営面積は倍になりました。
昨年度はJAのとも補償制度を使って全面積で主食用米を作付けました。これから生産調整の見直しを行うということですが、生産数量目標の配分がなくなると、とも補償制度もどうなるのか、と思っています。
我が家の農業経営ということでいえば米の専業農家ですから、米価が下がってくることも考えると、販売先を考えたり、あるいは米以外のまったく別の作物の栽培も考えていかなければいけないのかなと思っています。そのなかで飼料用米の生産支援に力を入れる方向が打ち出されていますが、需要が本当にどこまであるのかと思います。
(写真)
松岡委員長
◆地域の力が必要
地域農業の問題としてはやはり若い担い手がほとんどいない状況になってきており、水田は必然的に担い手に集まってきていますが、設備が追いつかないとか人手が足りないという問題が出てきています。
ですから専業農家だけではなくて、今もなんとかがんばっている兼業農家も含めて地域全体で農地を守っていくことが大事だと思っています。そうしないと農業インフラの維持も厳しくなってきています。
農地を貸し出してしまうと貸し手のほうは農業には関係ないという意識になってしまうことも問題です。まだ自分で米を作っていた親の世代はいいのですが、子どもの世代になるとまるっきり農業は大規模農家に任せているのだから関係ない、という意識です。そういうなかで今の農地・水保全対策などで草刈りや水路の整備などに参加すれば交付金が出るからといっても、次世代には理解がなかなか得られません。
地域の農地を農地として使っていくために地域の人々の力が必要だというPRはしていかなければいけないし、そこは国も周知してもらいたいと思っています。
(写真)
JAあきた北央青年部のみなさん
◆農地集積、実態にあわせて
担い手としては経営面で、今後は規模拡大をしていかないと厳しいと考えています。ただ、一方で地域の人々と農地を守る取り組みがないと、仮に100ha経営になっても作業自体はできるかもしれませんが、農業インフラの維持は厳しい面が出てくるということです。
農地中間管理機構についてはまだ現場ではどうなるのか見えてきません。担い手に集約するということなら現在もJAの農地集約事業でやっているわけですから。国が権限を持って取り組むというのなら農地基盤整備には期待する面はあります。現場では人と人とのつながりのなかで農地利用集積を進めてきたのが実態で、作業委託から始まって次には全面委託というかたちで任せられてきています。そういう実態に中間管理機構がどう関われるのかと思います。
こういう問題があるなかで、後継者が少ないのは現実ですから、私たちには一人ひとりの資質が問われると考えています。政策も含めて自己研鑽することが必要で、私たちがしっかり経営することが地域のためになると思っています。
この地域は農業が中心ですから農業を核に加工業者との連携で新しい仕事を作っていくなど地域に人が定着できるよう自分も取り組んでいければと考えています。
(写真)
盟友が協力して新米をPR
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(130)-改正食料・農業・農村基本法(16)-2025年2月22日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(47)【防除学習帖】第286回2025年2月22日
-
農薬の正しい使い方(20)【今さら聞けない営農情報】第286回2025年2月22日
-
全76レシピ『JA全農さんと考えた 地味弁』宝島社から25日発売2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付)2025年2月21日
-
農林中金 新理事長に北林氏 4月1日新体制2025年2月21日
-
大分いちご果実品評会・即売会開催 大分県いちご販売強化対策協議会2025年2月21日
-
大分県内の大型量販店で「甘太くんロードショー」開催 JAおおいた2025年2月21日
-
JAいわて平泉産「いちごフェア」を開催 みのるダイニング2025年2月21日
-
JA新いわて産「寒じめほうれんそう」予約受付中 JAタウン「いわて純情セレクト」2025年2月21日
-
「あきたフレッシュ大使」募集中! あきた園芸戦略対策協議会2025年2月21日
-
「eat AKITA プロジェクト」キックオフイベントを開催 JA全農あきた2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付、6月26日付)2025年2月21日
-
農業の構造改革に貢献できる組織に 江藤農相が農中に期待2025年2月21日
-
米の過去最高値 目詰まりの証左 米自体は間違いなくある 江藤農相2025年2月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】有明海漁業の危機~既存漁家の排除ありき2025年2月21日
-
村・町に続く中小都市そして大都市の過疎(?)化【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第329回2025年2月21日
-
(423)訪日外国人の行動とコメ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年2月21日
-
【次期酪肉近論議】畜産部会、飼料自給へ 課題噴出戸数減で経営安定対策も不十分2025年2月21日
-
「消えた米21万トン」どこに フリマへの出品も物議 備蓄米放出で米価は2025年2月21日