農政:農業協同組合研究会 第28回研究会
重視すべき組合員の意見【比嘉正浩・JA全中専務理事】2018年12月26日
JAグループの現在の重点目標は「農業者の所得増大」、「農業生産の拡大」、「地域の活性化」だが、この3つはこの順序であることが大事。もっとも重視すべきは所得増大であり、世代交代期を迎えているなか、職業としての農業を魅力を引き上げなければならない。それによって農業生産が拡大し、地域活性化の基礎的条件が整う。
それを実現するにはJAは複数の事業方式を実践する必要がある。担い手経営体のニーズは、たとえば「工場からの満車トラック直送だからこそ実現できる肥料価格」、「季節的な労働力の確保」、「動産担保による運転資金の確保」など個々に多様だ。もちろんすべてが個別対応に移行するのではなく、集落営農や作目別部会に結集している組合員は存在しており、ここに組織的対応することは必要である。
次期の第28回JA全国大会議案についてはとりまとめ中であり、このなかでJAの営農関連事業について、収支改善をめざしつつ農業者の所得増大に貢献できる新たな事業方式の提示に向け準備をしている。
◇ ◇
政府の農協改革ではJAの信用事業代理店化の積極的な推進と、准組合員の事業利用制限について平成33年4月1日までの間に改革の実施状況を調査、検討を加えて結論を得るとされている。政府の決定と法を尊重しつつも、協同組合は自主・自立の組合であり民間組織。もっとも重視すべきは組合員の意見だ。それを無視することは絶対にあってはならない。全JAで正面から信用事業代理店を選択するか、今後とも総合経営とするかを検討し、JA綱領の実現など使命達成のためにふさわしい経営形態の選択を。
准組合員の利用制限は他国にも例はない。JAグループの主張は「准組合員は組合員。組合員の事業利用を制限することはあってならない」である。各JAで准組合員の意思反映、運営参画の機会や仕組みの構築を。地域農業を応援する意思の確認などを通じて組合員であることをより見える化し、わが国農業には消費者の理解が必要だということも訴えていかなければならない。有事であることを強く意識して努力していきたい。
(関連記事)
・第7回 JA活力ある職場づくり全国研究発表会(1)(18.12.26)
・チーム研究の成果発表 JAの将来担う職員養成へ【JA全国機関中核人材育成研修会(平成30年度)】(1)(18.12.03)
・農作業でストレス軽減 実証調査を実施-JA全中(18.11.21)
重要な記事
最新の記事
-
【新年特集】2025国際協同組合年座談会「協同組合が築く持続可能な社会」(1)どうする?この国の進路2025年1月22日
-
【新年特集】2025国際協同組合年座談会「協同組合が築く持続可能な社会」(2) どうする?この国の進路2025年1月22日
-
【新年特集】2025国際協同組合年座談会「協同組合が築く持続可能な社会」(3) どうする?この国の進路2025年1月22日
-
【新年特集】2025国際協同組合年座談会「協同組合が築く持続可能な社会」(4) どうする?この国の進路2025年1月22日
-
鳥インフル 英イースト・サセックス州など4州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月22日
-
【JAトップ提言2025】消費者巻き込み前進を JAぎふ組合長 岩佐哲司氏2025年1月22日
-
【JAトップ提言2025】米も「三方よし」精神で JAグリーン近江組合長 大林 茂松氏2025年1月22日
-
ポンカンの出荷が最盛を迎える JA本渡五和2025年1月22日
-
【地域を診る】地域再生は資金循環策が筋 新たな発想での世代間、産業間の共同 京都橘大学教授 岡田知弘氏2025年1月22日
-
「全日本卓球選手権大会」開幕「ニッポンの食」で応援 JA全農2025年1月22日
-
焼き芋ブームの火付け役・茨城県行方市で初の「焼き芋サミット」2025年1月22日
-
農のあるくらし日野のエリアマネジメント「令和6年度現地研修会」開催2025年1月22日
-
1月の「ショートケーキの日」岐阜県産いちご「華かがり」登場 カフェコムサ2025年1月22日
-
「知識を育て、未来を耕す」自社メディア『そだてる。』運用開始 唐沢農機サービス2025年1月22日
-
「埼玉県農商工連携フェア」2月5日に開催 埼玉県2025年1月22日
-
「エネルギー基本計画」案で政府へ意見 省エネと再エネで脱炭素加速を パルシステム連合会2025年1月22日
-
クミアイ化学工業と米国Valent社、水稲用除草剤エフィーダの米国開発で業務提携2025年1月22日
-
肉の日に合わせお得なアソート「冷凍モスライスバーガー 肉の日セット」登場 モスバーガー2025年1月22日
-
店舗、宅配ともに前年超え 12月度供給高速報 日本生協連2025年1月22日
-
地上部生長から育種ほ場のテンサイ糖収量を予測 農研機構×東京大学2025年1月22日