農政:全国会議員に聞く「どうするのかコロナ危機」
関健一郎 立憲民主党 衆議院議員【緊急特集 全国会議員に聞く「どうするのかコロナ危機」】2021年9月8日
関健一郎 衆議院議員
○関健一郎
○立憲民主党
○衆議院議員
○選挙区:比例区東海
○出身地:神奈川県
【1】現在の政府のコロナ対策についての評価
(1)ワクチン接種の問題点と今後の課題
ワクチン接種には大きく二つの問題点が存在します。①ワクチンの生産・確保と②ワクチンの接種体制の整備、加速に向けた法整備などです。
選考するイスラエルやイギリスなど欧州各国はこの支度を去年の夏にはスタートさせていました。この初動の遅れがまず大前提として挙げられます。
第一のワクチンの生産確保について。ワクチンの購入確保は、ある程度及第点と言えます。その一方で、国産のワクチンを生産しようとする環境を全く整えていなかったことが最大の問題です。
安全保障の観点から、マスク、人工呼吸器の生産、そしてワクチンの開発など国産で賄うための投資を産官学で連携して進めなければなりません。
第二の接種体制の整備は、ワクチンが供給できても打ち手がいない、接種会場がないなどの課題が次々と見えてきました。日本では医師と歯科医師しか接種できませんでしたが、それ以外の医療関係者や一定の講習を受けた民間人でも接種させることができるようなイギリスなどでは1年前に進められた体制の整備が行われませんでした。場所も、たとえばイギリスでは地方に網の目のように張り巡らされている教会で接種ができるようにしました。体制の整備が後手後手になりすぎました。今すぐ、体制の整備へのスピードアップが不可欠です。
(2)医療体制の問題点と今後の課題
日本の人口1,000人あたりの病床数は13床とOECDで最多ですが、1病院あたりの医師の数は、米国やドイツに比べて3分の1以下です。米国や英国では医師1人がほぼ1病床を診るのに対し、日本は医師1人で5つの病床を受け持つなど、医療従事者や医療機器が分散し、先進国では異例の「低密度」となっています。今後は、施設あたりの医療従事者の人数を増やす改革を断行しなければなりません。
ただ、平時に分散していたとしても、国や知事による病院間の機能に応じた役割分担と総合調整がうまく行けば対応できたはずです。しかし、コロナ治療後も転院先が見つからずに新たな重症患者を受け入れられない結果、自宅療養中や高齢者施設での待機中に尊い命が失われたことは、現行制度の問題点を浮き彫りにしました。菅総理も緊急事態には、民間病院に対しても国や知事が患者受け入れの指示や命令を出せるよう「法律を改正しなければならないと痛切に感じている」と明言されました。法律の改正が不可欠です。
(3)国民生活や経済活動の規制(「外出自粛」「営業自粛」「リモート作業」等)への補償
規制への保障は、明言しなければ、現場の皆様は怖くて店を閉じることができません。補償は公平に十分に行わなければなりません。加えて、現役世代への10万円の追加現金給付や期間を限定した消費税減税を含む経済対策が求められています。ワクチン接種が進む中、世界経済は急回復の兆しを見せていますが、日本だけが取り残されています。相対的な感染者数が少ないのに、この回復の鈍さは、ワクチン接種の遅さだけでなく、経済政策の方向が間違っているからに他なりません。
今、世界の財政政策の潮流が大きく変わりつつあります。1980年代以降の小さな政府、構造改革路線から転換し、「大規模、長期、計画的」な積極財政策が採用されつつあります。日本でもワクチン接種が進み始めた今こそ、積極財政策によって、コロナで傷ついた経済の回復を確実なものにしなければなりません。
【2】今後のコロナ対策についての提案
経済対策と感染症対策に分けられます。経済対策に関しては、徹底した補償を行います。短期的な財政均衡に囚われて「未来への過少投資」に陥ることは、我が国の国力そのものを弱体化させます。少子化という我が国が直面する最大の問題に対処するためにも、経済政策を「大規模、長期、計画的な」積極財政に今こそ転換すべきです。自己責任から頼りあいの社会への転換を図ります。
感染症対策については、人口当たりの感染率、重症化率、致死率、を勘案しながら、飲食店などへの規制を緩めていくことが不可欠です。そして、医療制度改革は徹底的に進めなければなりません。日本の人口1,000人あたりの病床数は13床とOECDで最多ですが、1病院あたりの医師の数は、米国やドイツに比べて3分の1以下です。米国や英
国では医師1人がほぼ1病床を診るのに対し、日本は医師1人で5つの病床を受け持つなど、医療従事者や医療機器が分散し、先進国では異例の「低密度」となっています。
今後は、施設あたりの医療従事者の人数を増やす改革を断行しなければなりません。
【3】コロナ禍で見えてきた日本の政治のあり方について思うことがありますか?
1年生の国会議員として、大切ない政策決定の中で、科学的根拠ではなく、前例や社会の空気感で意思決定をされることがあまりに多いことに驚きました。それは、昭和の高度経済成長の中で積み上げた経験値を令和の新しい時代にそのまま当てはめているイメージです。
緊急事態宣言を出し、これだけの無理強いを国民の皆様にして、国会は予定通り閉会。日本の政治は、この有事にすら、動き方・考え方を変えることができないことが浮き彫りになりました。
政治は、世代交代するしかありません。新陳代謝を徹底的に促し、前例ではなく、科学的根拠に基づいて一人でも多くの皆様の声をリアルタイムに大量に吸い上げ、意思決定をする政治に大改革しなければなりません。
そこでもたらされるものは、今は失われている「スピード感」と「公平感」です。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日