農政:全国会議員に聞く「どうするのかコロナ危機」
石垣のりこ 立憲民主党 参議院議員【緊急特集 全国会議員に聞く「どうするのかコロナ危機」】2021年9月13日
石垣のりこ 立憲民主党
〇石垣のりこ
〇立憲民主党
〇参議院議員
〇選挙区:宮城県
〇出身地:宮城県仙台市
【政府のコロナ対策をどう捉えるか】
日本政府・与党のコロナ対策の問題は、第一に非科学的であること、第二に人々への補償が不十分なことである。それゆえに、自粛を要請する一方でGoTo事業実施といった矛盾する方針で人々を混乱させ、さらなる感染拡大を招き、助かったかもしれない命が失われている。その責任は非常に重い。
日本の感染対策が非科学的であることは、日本のPCR検査に対する考え方に端的に表れている。感染症対策の基本は、「発見、隔離、治療」である。「発見」のためには検査以外の方法はない。殊にコロナウイルスが厄介なのは、無症状でも他人に感染させるという特性がある点だ。ゆえに、感染を拡大させないためには、「無症状も含めて広く検査するしかない」ことは自明である。にもかかわらず、「37.5度以上の熱が4日以上続く」(相談・受診の目安。昨年5月の削除)といった条件をはじめ、表向きは「検査拡充」としながら、実際は検査を行うことへのハードルが多層的に設けられて検査が抑制されてきた。その結果、「自粛のお願い」という語義矛盾の行動抑制策によって一旦は人流が減少して感染者が減っても、制限が解除されれば捕捉し損ねたウイルスからまた感染が広がり、変異株も手伝って元の木阿弥どころか更なる感染拡大を招いている。もちろん、検査"だけ"で感染拡大が抑えられるわけではない。ワクチン接種を進めると同時に、検査「も」積極的に拡充する必要があるということだ。治療薬の開発は途上であるし、ワクチン接種の遅延も否めない。変異し続けるコロナウイルスをワクチンだけで抑制できないことは、ワクチン接種率が8割を超える国での感染再拡大という現実からも明らかである。
コロナ対策は、「検査拡充、医療体制強化、ワクチン推進、十分な補償、科学的根拠に基づいた行動制限」の5本柱で
【検査拡充】
検査拡充の必要性は上記で述べたとおりである。具体的な提案施策は、次の通り。
・徹底した水際対策。空港・港湾では抗原定量検査から全てPCR検査に変更。最低でも4日間(感染から発症までの期間を考慮した最小日数)の隔離と再度のPCR検査体制を確立。
・濃厚接触者の定義にとらわれず(空気感染前提の対応)、感染判明者周辺を網羅的にPCR検査する。
・ブレークスルー感染も想定した医療、高齢者施設、職場、学校等の集団への週1~2回のプール検査を実施。
・無症状感染者捕捉のためにも「誰でもどこでも何度でも」できる、地域格差のない無料PCR検査機関の開設。
・ウイルスのゲノム解析を最大限に実施し、感染経路の追跡を保健所による聞き取りからゲノム判定にシフトする。それによって感染対策の抜け穴や行動制限 の範囲等を科学的に判断することも可能にする。
【医療体制】
まずは、感染者が医療を受けられない状況を早急に改善しなければならない。「自宅療養」という名の「自宅放置」はゼロにし、最低限ホテル療養とする。止むを得ず自宅待機であっても常時医療へのアクセスが可能なケア体制を整備する。受け入れ病床を超過する感染者が発生した地域は、速やかに野戦病院形式の診療所を設置する。コロナ病床増床可能な医療機関には特に人件費補助拡大。しかし、病床も人員も簡単に増やせないので、まずは患者を増やさないことが何よりの対策。さらに、病状や後遺症についてのデータ収集と、後遺症も考慮した回復後の継続支援や医療提供体制の整備も急務である。
【ワクチン】
ワクチン獲得、開発の出遅れに始まり、不透明な供給状況に加えて情報が錯綜したため、接種計画、予約、優先順位等、自治体や医療現場が度重なる混乱に陥った。
今後は、ワクチンの確保は言うまでもなく、正確な情報共有と確実な供給を行い、感染者の中心を占める若年層も含めた希望者への早急な接種体制を推進していくこと。併せて、副反応やブレークスルー感染の実態など今後の知見としても重要な大規模なデータ収集と活用・公表、健康被害等への補償制度の整備も同時進行で力を注ぐべきである。
【補償】
「コロナ禍による諸々の影響が出ている中で、企業なら事業継続、個人なら生活維持のために必要なお金が、必要なところに、迅速に届く」ことが補償の大原則である。補償の基準はコロナ前と同等が望ましいが、少なくとも8割は補償する。これまでコロナ関連のさまざまな支援制度が設けられているが、給付条件や申請方法に難ありで使いづらかったり、極端な偏りも生じている。さらに、支援制度の周知不足の問題もあり、必要なところに必要なお金が届かず、ウイルスよりも貧困によって命が脅かされる事態を早急に打開しなくてはならない。
以上の4点と、人々が納得して協力することができる、信頼できるデータに基づいた行動制限(自宅待機等)を行うことが、コロナ対策の基本である。
【コロナ禍で見えてきた日本の政治のあり方】
この数十年、日本は、「"効率化"こそ善」と新自由主義的政策を推進してきた。このコロナ禍で、日本はその落とし穴に自ら転げ落ちて痛い目に遭っている。自由な競争によって社会が発展していくことは必ずしも否定されることではないが、一方で、過度な自己責任を基本とした新自由主義への加速は格差を広げ、社会を脆弱にしていく。日本の農業とて、同じではないか。新自由主義路線の競争力強化の名の下に、日本の農村を支える小規模家族経営農家は存続の危機に立たされている。失われてしまってからでは取り返しがつかない。新自由主義から脱却し、支え合う社会へ。個々の属性やライフステージ、健康状態にかかわらず誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けて舵を切る時だと私は考える。
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