農政:全国会議員に聞く「どうするのかコロナ危機」
片山 大介 日本維新の会 参議院議員【緊急特集 全国会議員に聞く「どうするのかコロナ危機」】2021年9月17日
片山 大介 参議院議員
○片山 大介
○日本維新の会
○参議院議員
○選挙区:兵庫県
○出身地:岡山県
【1】現在の政府のコロナ対策についての評価
ワクチン接種については国民3回分の確保を行ったことやワクチン接種100万回/日体制(ピーク160万回)までもっていったこと等は評価できる。しかし問題点としてはリスク・コミュニケーションが不十分で、ワクチン接種に対する誤解の流布があることや、働く世代のワクチン接種の遅れ等がある。
今後の課題として、働いている人・世代がワクチン接種しやすい曜日・時間帯での接種体制の拡充や副反応による休暇取得を円滑に進めることでワクチン接種予約を行いやすい仕組みづくりがある。また国産ワクチンや治療薬の研究開発・生産体制について、大胆な投資を行うなど安全保障の観点から抜本的に強化し、実用化の際には十分な量が国民に確保・供給できる体制を確保する必要がある。
感染症対策において公衆衛生と医療は二本柱だが、もっと医療が前面に出て管理するべきであり、そのためにも医療体制についての強化が不可欠。現状は人員配置や設備面で急性期の受け入れ能力がない中小病院が過多になっている。
これを精査し、医療提供体制の再編を強力に推進する必要がある。特に有事の際に保健所と開業医の協働が機能不全状況に陥ったことに鑑み、開業医(かかりつけ医)が入院判断などについて積極的に関与し、きめ細やかな指示を患者に行うなど、医療機関へ適切な要請・対応が出来る仕組みを構築すべき。自宅・ホテル療養になる際、保健所と地域が一体になって担当医を決め、診療記録をつけることを制度化する必要がある。
新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ等により経営状況が悪化した医療機関に対しては適切な支援を行い、持続可能な医療体制を構築する必要がある。オンライン診療・服薬指導についても診療報酬体系や利用要件のさらなる見直しを進め、安全性を確保したうえで国民にとって使いやすいものにしていくべき。
加えて、災害派遣に関する自衛隊法の枠組みを利用しつつ、全国あるいは地方ブロック毎に重症病床を融通し患者を配転する仕組みの整備も必要である。
コロナ禍、国民生活や経済活動の規制により多大な影響が出ているのは言うまでもない。
新型コロナ対応の最前線で事業者の経営と住民の生活を支えているのは地方公共団体である。地方財政に余力がない中で対応してもらっているのが現状。したがって地方公共団体に対して地方創生臨時交付金の追加配分が必要。またコロナ禍を通じて傷んでいる地方財政を再建するための大胆な財政措置を講じる必要がある。
国民生活については、緊急小口資金等を抜本拡充した事後審査方式給付制度の創設など国民の生活資金に係るセーフティーネットの強化が急がれる。
検査体制については、感染症法を改正し、国民が検査や医療を受けることができる権利を明確にすることで、安心して日常生活を送れる環境を整備する必要がある。
【2】今後のコロナ対策についての提案
感染防止対策と経済活動の両立を図る必要がある。(1)の問題点と課題の中でも提案しているが、加えて以下のことを提案する。
・GDPギャップ等々マクロ経済の厳しい状況も踏まえつつ、事業資金、生活資金、そして地方財政を支える30兆円規模の補正予算の編成が必要。
・コロナ禍の長期化により傷んでいる経済全体の再生を図るため、誰もが公平に効果を享受できるよう、当分の間、消費税を5%に減税にする。
・休業命令や経済的補償を付加したうえで都道府県知事に権限を移譲する新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正を行い、都道府県と国の合意形成に必要な手続きを整え、地方が地域事情に応じて機動的に感染症対応を行える体制を確立する。
・道州制の理念の下、隣接都道府県では情報や医療資源の共有化をはかるなど、相互補助できる体制を構築する。
・「指定感染症」と昨今の医療提供体制・保健所体制が適正に両立して国民を守れるような仕組みを早急に確立する。
・感染症の対応にあたる「日本版CDC」を首都圏と関西圏に1か所ずつ整備し、感染症対策を万全に行う。
・有事の感染症局面においては、一定の臨床的効果を確認した段階で治療薬の緊急使用を許可し、通常の治験手続きに囚われることなく治療の選択肢を提示できるようにする。
・コロナ禍において国民や企業の自粛頼みに甘んじ、実質的には法的根拠なく自由を奪ったと評価される事態に至ったことを踏まえ、有事の際の指揮命令系統等に関し、危機対応ガバナンスを確立するための法改正・憲法議論を積極的に行う。
・事情によりワクチン接種を受けることができない方はいらっしゃる。この方々への不当な扱いを防止しつつ、ワクチンパスポートを感染防止措置の一環として積極的に活用していく。
・新型コロナウイルス感染の後遺症への対応を強化すべく、情報共有と原因の研究を推し進め、支援体制の構築、治療法の開発や最善の治療を提供する医療サービスの仕組みづくりにつなげる。
【3】コロナ禍で見えてきた日本の政治のあり方について思うことがありますか?
コロナ禍で課題になったことは、▽平時の仕組みを大胆に組み替える有事モード法制の不在▽デジタル敗戦とも揶揄される古いアナログ行政システム▽不徹底な入国管理に象徴される優先順位、戦略性の欠如など。
まさに、国家の統治システムとしても深刻な課題が浮き彫りになったと言え、こうした課題に抜本的に取り組み、アフターコロナの社会を作っていく必要があると思う。
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