農政:全国会議員に聞く「どうするのかコロナ感染爆発」
鎌田 さゆり 立憲民主党 衆議院議員【緊急特集・全国会議員に聞く どうするのかコロナ感染爆発】2022年1月26日
鎌田 さゆり 衆議院議員
○鎌田 さゆり
○立憲民主党
○衆議院議員
○選挙区:宮城2区
○出身地:仙台市
【1】 これまでの政府のコロナ対策についての評価
(1) これまでのワクチン接種の問題点と3回目接種など今後の課題
・国内ワクチン開発にあたり国内製薬メーカー・研究機関に対するワクチン開発資金の投入が少なすぎた。開発を製薬会社に丸投げではなく政府主導でワクチンの開発を進める機構を設立するべきであった。また、国内ワクチン開発と同時に海外製薬会社との折衝にも遅れが認められ、ワクチン供給量の不安定につながった可能性は否定できない。
・ ワクチン接種に関する政府発表と実際の接種までの間に相当の時間差が認められた。これは、発表後に接種方法、冷凍輸送システム、医療機関での保管、接種会場と医療者の確保、ワクチンの輸入の遅れなどが原因であった。すでに3回目のワクチン接種が始まっているが、今後は準備を確実に行ってから政府発表を行うべきである。
・ 新型コロナワクチンに関連する可能性がある死亡例が1,300例近く報告されており、副作用報告の解析結果を国民に分かりやすく説明するべきである。ワクチンへの誤解を解く意味でも重要と考える。また、オミクロン株については、ブレイクスルー感染がデルタ株の10倍以上と報告されており、ワクチン接種の効果(感染防止、重症化防止)について検証するべきである。ワクチン義務化については、体質などの問題もあるため、差別などが起きないように配慮が必要である。
(2) 医療体制の問題点と今後の課題
・ 「自宅待機中に死亡」が起きている時点で、医療崩壊と考えるべきである。欧米諸国に比べて少ない感染者数で医療がひっ迫する主な理由は、日本では人口当たりの病院数が多いため病床あたりの医師数が足りず、機能を十分に発揮できない病院が多いこと、各診療科の間で医師数の格差が生じており必要な治療を行う診療科の医師が不足していることの2点である。地域における医療機関の配置と役割分担、各診療科の医師数を国が統括・調整できる必要がある。
・ ワクチン接種を行う医療者が足りない事態が生じたが、医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師、放射線技師などの資格取得者の所在の管理を積極的に行うべきである。
・ 自宅待機は、全身状態のモニタリングが不十分かつ限界があることから、自宅待機に代わる療養環境の整備についてホテル業界などと協力して、準病床として使用できる機能を付加した宿泊施設を増やすべきである。
(3) 国民生活や経済活動の規制(「外出自粛」「営業自粛」「リモート作業」等)の補償
・ 外出自粛は不要であり、経済活動の規制を条件付きで緩和するべきである。すでに規制をかける時期は過ぎており、これまでの5回のエビデンスをもとに規制緩和と感染防止を両立させる時期に来ている。特に屋内におけるHVAC(Heating, Ventilating, Air Conditioning)技術を用いた感染防止策を標準化することが急務であると考える。営業自粛に伴う補償は、更に行う必要がある。
・ リモート作業と安全な対面作業の両立が望ましい。これには、作業環境におけるICTとHVACの環境整備が必要である。教育現場における感染管理の見直しは急務であり同様の環境整備が必要である。また、教育現場の感染管理は根本から見直す必要がある。
(4) 検査体制の拡充についてなどについてのご意見
・ 個別の検査については、簡易のPCR検査機器を薬局などに配置して行う現在の方法をさらに拡大することが必要である。会社・学校などのクラスターが疑われる場合のスクリーニング的集団検査については、さらに集配方法を進化させて民間検査機関などでの検査を迅速にできるようにするべきである。抗原検査キットについては、自己検査体制を整える。
【2】 オミクロン株拡大による今後のコロナ対策で政府は何をすべき
・ 現在の分科会を解体して、単一領域の専門家で構成された専門分科会の複数設置と多角的な検討
・ 政治・経済から独立した感染症に関する基礎・臨床研究と公衆衛生学的政策立案機能を持った機関(和製CDC)の創設
・ 新規変異株を海外からの持ち込ませないための、国際空港・海港における検疫の強化
・ 教育現場の感染対策の脆弱(ぜいじゃく)性
・ 第三次産業の影響で危機にある第一次産業の保護
【3】 コロナ禍で見えてきた「日本社会の課題」と現政権に望むこと
・ 政治における問題先送り体質(責任を取らない体質)
・ 1つ1つの診療科レベルは高度だが、医療全体としては脆弱である現医療体制
・ 人を軽んじ、労働者の技術力を安く買いたたく風潮
・ 氾濫(はんらん)する情報についてのファクトチェック機能の脆弱性
・ 科学技術力の低下(基礎研究力の低下)
・ 政権に望むことは上記課題の改善である。
重要な記事
最新の記事
-
【年頭あいさつ 2025】国際協同組合年機に反転 村上光雄 一般社団法人 農協協会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】基本法理念 実現の時 江藤拓 農林水産大臣2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】基本法の具体化に全力 山野徹 全国農業協同組合中央会 代表理事会長2025年1月2日
-
食と農を未来へつなぐ【年頭あいさつ 2025】折原敬一 全国農業協同組合連合会 経営管理委員会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】利用者本位の活動基調に 青江伯夫 全国共済農業協同組合連合会 経営管理委員会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】つながり強化戦略推進 奥和登 農林中央金庫 代表理事理事長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】医療、福祉の充実に一丸 長谷川浩敏 全国厚生農業協同組合連合会 代表理事会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】『家の光』創刊100周年 JA教育文化活動支援に尽くす 栗原隆政 (一社)家の光協会 代表理事会長2025年1月2日
-
【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(2)2025年1月1日
-
【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(3)2025年1月1日
-
【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(4)2025年1月1日
-
2025年度 農林水産関係予算 2兆2706億円 前年より20億円増2024年12月27日
-
【特殊報】モモほ場で「モモ果実赤点病」県内で初めて確認 愛知県2024年12月27日
-
【特殊報】ブドウにシタベニハゴロモ 県内の果樹園地で初めて確認 富山県2024年12月27日
-
【注意報】かぼちゃにアブラムシ類 八重山地域で多発 沖縄県2024年12月27日
-
米輸入めぐるウルグアイ・ラウンド(UR)交渉 過度な秘密主義に閣僚も「恥」 1993年外交文書公開2024年12月27日
-
1月の野菜生育状況 さといも以外の価格 平年を上回る見込み 農水省2024年12月27日
-
(416)「温故知新」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月27日
-
東京23区の12月の消費者物価 生鮮食品の前年同月比は2桁増2024年12月27日
-
JA全農あきたがスマート農業研修会 農機・担い手合同は初2024年12月27日