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農政:迫る食料危機 悲鳴をあげる生産者

【迫る食料危機 悲鳴をあげる生産者】出血続き危機直面 酪農経営に早急対応を<下> 蔵王酪農センター冨士重夫理事長2022年7月1日

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コロナ禍による生乳需要の減退、ロシアのウクライナ侵攻を発端としたエネルギー危機や食料危機による生産コスト高騰など、酪農経営はかつてない危機に直面している。現場が抱える課題への対応や今後の酪農政策について蔵王酪農センターの冨士重夫理事長に提言してもらった。

酪農イメージ.jpg

(3)中長期的な酪農政策のポイント

①乳価制度の改革

今の生乳需給の構造は、飲用牛乳が330万tで、乳製品仕向けが440万tであり、従来の主従関係が逆転している。飲用牛乳は少子高齢化で、今後さらに需要は減少する。

乳製品仕向けは、脱紛・バターから、発酵乳や生クリームなどの液状乳製品と併せ、プロセスチーズ、ナチュラルチーズと多様な需要に広がり、今後、最も需要拡大が見込めるのがナチュラルチーズである。

乳製品の用途別に乳価制度を区分けする。チーズ工房・乳業には、ナチュラルチーズの製品価格が輸入物と同水準となるような、仕入れの原乳代水準を保証する。酪農家には生産コスト・所得が担保できる水準を保証し、その差額を補給金として政府が措置する。という将来の大事な芽を育てる方向で乳価制度を改革する。

国産ナチュラルチーズの多様な種類の生産を担っているのは、全国に広がり拡大している約320ほどの小さなチーズ工房である。こうしたチーズ工房の施設整備など増強へ向けた積極的な支援を講ずると共に、チーズ職人を目指す人的資源を育成する教育機関を全国に数カ所整備し、政府が積極的に体制を強化する必要がある。

②農地の再生、耕畜循環による飼料自給力の強化

化成肥料の高騰、穀物飼料、牧草など粗飼料の高騰、食料価格の高騰において、最も大事なことは、国内の生産資源を最大限活用するための生産基盤強化の仕組みを構築することである。

現状は畑地、牧草地、水田の耕作放棄地の拡大であり、主食用米からの転作拡大と生乳の需給調整である。そして、ホールクロップサイレージや堆肥の奪い合いが始まっている。

まずは、畑地、牧草地、水田などの耕作放棄地面積を集約し、県の農地バンクなどが、一括借り上げて、現場の中核となるような担い手や法人、拠点となる所に貸し出し、飼料生産に適した小規模な土地改良を行い、適切な基盤整備をして効率的な土地条件を整備する仕組みを構築すべきである。

そして牧草や子実用トウモロコシ、飼料用大豆などの飼料を生産・収穫するコントラクター組織を整備する。さらに生産主体が生産収穫した飼料を、確実に飼料会社が買い取り、畜産・酪農家に供給するという。一貫したシステムを地域の関係者、行政が集まって作り上げ、事業を実施して行くことが重要である。

また、水田では裏作を最大限取り組めるような奨励措置を講じて、地域ごとに、まとまって展開できるような仕組みをつくる。堆肥の円滑な流通のため、地域ごと、広域にも需給の調整と適切な運送、保管を行う体制を整備し、そうしたシステムへの支援措置を講じる必要がある。

③乳子牛と和子牛を一体的に哺育・育成する生産基盤の強化

乳牛が生乳を生産し始めるまで、2年の月日がかかる。成牛になるのに1年、種付けし受胎してから子牛を産むまで約1年この2年間必要な後継牛の育成を外部委託する酪農経営が都府県では増大している。

メガ・ギガといった大規模経営体は、育成そのものを行なわないで、北海道から初妊牛を買って3年で償却することを繰り返している。こうした乳牛の育成部門における北海道依存は、いずれ限界がくるので都府県での生産基盤強化が必要となっている。

また、乳牛の後継牛であるホルメスは雌雄産み分け技術により1産目で確保し、2産、3産は受精卵移殖により黒子牛を生産し、今や黒毛和牛の子牛の3分の2は、酪農のホルスから産まれている。

生命科学の先端技術を使う我が国の先進国酪農の現状、実態に基づいた、乳牛の後継牛であるホルメスと、乳牛の2産、3産から産まれた和子牛を一体的に哺育・育成するキャトルセンターを整備する必要がある。

この一体型のキャトルセンターは、県域や北東北、南東北などの広域ブロック単位に、施設や粗飼料生産基盤、堆肥センターの整備と共に人的体制をどうするかなど、生産者団体や行政などの関係者が集まり、それぞれの地域ごとに応じたシステムを構築することが必要である。

こうした現在の酪農経営の課題に立脚した今後の、将来の酪農政策の基本的な枠組みを政治主導で、しっかり確立して欲しい。

そして、それを現場に示し、現場と対話しながら、毎年着実に、日本の酪農・畜産経営が前進できるようにして欲しい。

【迫る食料危機 悲鳴をあげる生産者】
出血続き危機直面 酪農経営に早急対応を<上>

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