【農薬工業会新会長に聞く】食料生産での農薬の役割・貢献を発信(下)2017年6月20日
インタビュー:西本麗 農薬工業会会長
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◆積極的に消費者にアプローチする
――農薬工業会では「JCPA VISION 2025」を重点課題として取り組まれていますが、今年度はどのような取り組みをされるのですか。
今年で3年目になります。「食料生産の重要性と農薬の役割」という教材を作成し、工業会会員とその周辺、生産者や流通関係者そしてアカデミアに発信する活動をしています。
会員については「MKP23」(未来に向けた工業会のプロジェクト)と名付け理事会社23社の社内で、直接農薬に携わっていない部門も含めて、食料増産に果たしている農薬の役割を、しっかり認識してもらうようにしています。
生産者や流通関係者については、自信をもって農産物を消費者に提供していくためには、適正に農薬を使用していただくことがベースになります。そこに重点をおいた「農薬ナビゲーター活動」を進めています。
アカデミアですが、現在、農薬について研究されている方だけではなく、その後継者育成の意味も含めて、学会などに出かけ交流を深めていく活動をしています。
この教材はナレーション付のDVDにしましたし、工業会のホームページ(左記参照)でもみられますので、ご活用いただきたいと思います。
今年は国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献も積極的に発信したいと考えています。
――消費者を対象にした農薬ゼミも好評ですね。
「農薬ゼミ」は、主婦層を中心とする消費者を対象に、2004年から42回開催してきています。土曜日開催とか託児所を設けるなど若い主婦も参加しやすいように配慮しています。そのほか、小中学校の家庭科の先生を中心に、食育や食の安全についてのセミナーも、開催地の教育委員会の後援を得て開催しています。またパブリシティとして、BSテレビでオードリー春日を起用した5分番組を提供しています。
さらに今年は、消費者と生産者が交流することをサポートする企画を準備しています。これは消費者に農産物栽培を体験していただき、それをベースに、秋ごろにはスタジオで消費者と生産者が意見交換するテレビ番組ですが、女性雑誌とも提携して関連記事を掲載してもらう予定です。
◆「良質」と「低廉」の バランスどうとるか
――「農業競争力強化支援法」が成立しましたが、これにはどう対応しますか。
工業会としては、今年度の重点事業課題の一つに位置づけています。
工業会は5つの委員会を中心に活動していますが、大事なテーマについては特別チームを設置し、取り組んでいます。農薬の登録制度については6年前から特別チームを設置して取り組んでいます。今回もこの特別チームが、行政への対応とか意見交換をしていきます。
私たちの立場としては、規制が変わることで会員企業の経営にどういう影響があるのか、技術的な観点から見て規制の妥当性を確認する、そして実際に農薬を使用する現場にどういう影響がでるのか、といった視点から考えていきます。
「強化支援法」の発端は、良質で低廉な農業資材を提供していく、そのためにどうしていくのかということでした。いろいろな規制を考えるとコストアップにつながることもあり得るので、「良質」と「低廉」のバランスをどう見ていくかが課題だと思っていますが、行政からの具体的な案が出てきた段階で、業界として貢献できることは何か、前向きに議論をしていきたいと考えています。
――ありがとうございました。
(写真)DVD「食料生産の重要性と農薬の役割」をアピールするポスター。工業会ホームページでも見られる
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