育苗箱に「水まき感覚」で散布 シンジェンタの「ミネクト殺虫殺菌剤」【現地レポ・秋田】2022年12月8日
水稲の初期作業を大幅軽減
幅広い害虫に活性を示す殺虫成分シアントラニリプロールと、いもち病への効果が高いイソチアニルを含有した水稲育苗箱用灌注処理剤(殺虫殺菌剤)「ミネクトブラスター顆粒水和剤」、紋枯病に卓効を示すペンフルフェンを加えた「ミネクトフォルスターSC」。(株)シンジェンタジャパン(株)が開発したこの2剤は育苗箱の段階で液剤を散布する薬剤で幅広い病害虫防除とともに、水まき感覚で簡単に散布ができ、省力化の効果が期待できる。この2剤を今年試験的に導入した生産者の使用実感を、営農スタイルの異なる新潟・秋田両県で7人の生産者に、その使い方と効果、期待を聞いた。
省力化と経済性で効果〈秋田県大仙市 Oさん〉
米や大豆、野菜などを手がける秋田県のOさんは、ちほみのり、あきたこまち、ゆめおばこ、サキホコレといった水稲品種を栽培。サキホコレ以外の品種では、2019年から高密度播種苗栽培を採用して、作業省力化に取り組んでいる。
高密度苗で苗箱が半分
以前は、10aあたりの育苗箱が中苗で24枚程度必要だったというOさん。高密度播種の採用で10~11枚程度に削減され、「田植え機に苗箱を積み込むときや補充するときに、以前の半分の枚数ですむから助かる」とそのメリットを強調する。
Oさんの病害虫防除スケジュールは、4月下旬の播種時に殺虫・殺菌の箱粒剤を処理した後、本田では8月に無人ヘリコプターによる共同防除(殺虫・殺菌剤)を2回実施している。は種時に使用する箱粒剤は、播種同時施薬機での処理なので作業性に優れている。ただ、予備も含めた育苗箱全量に処理するためムダになる苗が一定量あり、薬剤処理済み苗の廃棄によって、結果として余計なコストがかかっていた。
そこで2022年4月下旬、Oさんに高密度播種苗(あきたこまち1000箱)に対し、育苗ハウスで普段使う灌水装置でミネクトブラスター顆粒水和剤(以下、ミネクトブラスター)の灌注処理を試した。
Oさんの圃場はいもち病が発生しやすい地域とのことだったが、試験区は病気の発生が抑えられ、イネミズゾウムシなどの初期害虫の被害もなく、播種時に使用している慣行薬剤と比較しても同等の効果が得られたという。
イネミズゾウムシ
薬剤のムダを省く
今までの箱粒剤と比べ一番大きなメリットは、「何と言ってもムダがないこと」とOさんは評価する。以前は、薬剤処理した苗の廃棄をなくすため、殺虫殺菌剤散布機で箱粒剤を田植え同時処理したこともあったが、降雨時には粒剤の吐出が安定しなかったり、薬剤の充填を忘れたまま田植えをしたりすることもあったという。 「ミネクトブラスターは田植え当日までに処理をすればいいから、田植えスケジュールが進んで実際に必要な枚数が見えてくるころに、必要な枚数に処理できるからムダがない。薬剤コストの面でもかなり助かる」と話す。
育苗ハウスでは、毎日灌水作業をしているが、ミネクトブラスターの灌注処理も、同じ装置で行うので簡単で手間がかからない、と使い勝手についても評価する。
「来年は、ミネクトブラスターを処理するあきたこまちの苗箱数を今年の2倍に拡大するつもり」という。水稲だけでなく野菜でも、次世代の生産者のための堆肥散布など、その基盤づくりを整備していきたいと産地の未来をしっかり見据えている。
田植え前の"手弁当"と混用も〈秋田県美郷市 Kさん〉
あきたこまち12ha、きんのめぐみ3.5ha、サキホコレ2haなど22haの水稲を栽培するのは美郷市のKさん。きんのめぐみの病害虫防除スケジュールは、4月下旬の播種時に殺虫・殺菌の箱粒剤を処理し、本田では8月中旬に無人ヘリコプターによる共同防除(殺虫・殺菌剤)を実施している。
灌注処理の作業性と効果を実感
2022年5月下旬、きんのめぐみの育苗箱1000枚に対して田植え2日前に、ミネクトブラスターと液肥を混用し、灌注処理を試した。 「ミネクトブラスターの灌注処理は1000枚処理するのに5~6分しかかからなかった。従来の箱粒剤と防除効果は同等で、いもち病も初期害虫も問題なし」とその効果に満足している。
Kさんは普段、育苗ハウスで灌水チューブ散水をしている。例年、水稲の出芽2週間後を目安に動噴で液肥を散布しているが、今回の灌注処理はその動噴を使った。普段は、出芽後のタイミングでしか液肥を散布していないので、ミネクトブラスター灌注処理のために動噴を別途セットする必要があったが、「田植え前の"弁当肥"(追肥)として液肥を散布している人は、そのときに一緒に処理すればいいので、その意味ではすごく省力化できる」と可能性を感じている。
薬害なく効果に満足
今回、200倍に希釈したミネクトブラスターを育苗箱に灌注処理したが、薬害もなく、稲の生育も順調だったと振り返る。かつて箱粒剤の田植え同時処理も試したこともあるが、粒剤がこぼれ落ちてムダが生じるなどのデメリットを感じていた。
田植え同時処理と違い、省力化のために新しい機器を購入しなくてよかったことも、Kさんが今回試験を受け入れた理由のひとつ。「ミネクトブラスターは薬害の心配もないし、生産者にとって、液肥と混ぜて処理できる点が使いやすい。その点をもっとアピールした方がいいのでは」と普及に向けた期待を込める。
これからは、より安全・安心な農業が問われる時代であり、Kさんは「ほ場近くに住む人にも環境に配慮した自分たちの取り組みを伝えていきたい」と、持続可能な農業の実現に向けて、地域の課題にも向き合っている。
既存の機器で手軽に散布
床土混和の重労働から解放 〈秋田県仙北市 Kさん〉
Kさんは、水稲ではあきたこまち、ゆめおばこ、サキホコレといった品種を合計5.2haのほか、露地と施設で60aのアスパラガスを手がける。水稲の病害虫防除スケジュールは、播種前に箱粒剤を育苗箱の床土に混和、本田では7月中旬と8月中旬に無人ヘリコプターによる共同防除(殺虫・殺菌剤)を実施。その後、カメムシの発生状況によって、動噴による地上防除で対応している。
播種時の重労働を軽減
以前は、箱粒剤の処理方法について、田植え同時処理や播種時処理も検討したが、「田植えの時は苗を植えるのに専念したいし、播種の時期はちょうどアスパラガスの繁忙期だから、やむを得ず播種前に床土混和している。ミキサーで混和するから結構作業が大変」とその苦労を語る。ミキサーの中への床土の出し入れが重労働で、20回以上繰り返すため1日では作業が終わらないほどだという。
液肥と混用で省力的
そこで2022年5月中旬、普段灌水や液肥に使っている散水ポンプで、ゆめおばこの育苗箱700枚に対しミネクトブラスターを灌注処理した。「育苗時の液肥はいつも1~2回するし、田植え1週間前の液肥は必ずやるようにしいている。そのときにミネクトブラスターを混用すれば、手間はかからなくて省力的。アスパラガスの繁忙期に、水稲の作業が軽減できるのがいい。処理自体も10分とか20分で済んだから、断然かんたん」と評価する。
既存の機器で手軽に
実は、2022年の春先にシンジェンタ営業担当者が試験の提案にきた際、箱粒剤の播種同時処理機の購入を検討していた。使い慣れた粒剤から切り替えて、灌注剤を使ってみようと思った背景には、新たな投資が不要だったことも一つの大きな理由だった。
当初は「ホントにこんな水まき程度の処理で大丈夫なのか?」と不安だったそうだが、防除効果は従来の箱粒剤と変わらず、本田での共同防除までしっかりといもち病と初期害虫を抑えることができた。 これほど作業が楽になるなら、来年に向けてぜひ採用を検討したい」というKさん。ミネクトブラスターが日々の営農に大きく貢献できるものと期待する。
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