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育苗箱に「水まき感覚」で散布 シンジェンタの「ミネクト殺虫殺菌剤」【現地レポ・新潟】2022年12月9日

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水稲の初期作業を大幅軽減

幅広い害虫に活性を示す殺虫成分シアントラニリプロールと、いもち病への効果が高いイソチアニルを含有した水稲育苗箱用灌注処理剤(殺虫殺菌剤)「ミネクトブラスター顆粒水和剤」、紋枯病に卓効を示すペンフルフェンを加えた「ミネクトフォルスターSC」。シンジェンタジャパン(株)が開発したこの2剤は育苗箱の段階で液剤を散布する薬剤で幅広い病害虫防除とともに、水まき感覚で簡単に散布ができ、省力化の効果が期待できる。この2剤を今年試験的に導入した生産者の使用実感を、営農スタイルの異なる新潟・秋田両県で7人の生産者に、その使い方と効果、期待を聞いた。

高密度播種苗に最適 〈新潟県上越市 (株)ふるさと未来 代表取締役髙橋賢一さん〉

新潟県上越市 株式会社ふるさと未来代表取締役 髙橋賢一さん新潟県上越市 株式会社ふるさと未来代表取締役 髙橋賢一さんG

8人の従業員を抱える髙橋さんが農業の世界に飛び込んだのは10年ほど前。若い農業者が働きやすい農業生産法人を目指し、(株)ふるさと未来を立ち上げた。それまで建築資材の商社に勤めていた髙橋さんは、商社で培った生産管理のノウハウを農業にも活用。生産性の向上をコンセプトに水稲約52haのほか、えだまめ、ブロッコリーなどの園芸品目も手がけている。

工業生産の手法導入

同社は設立当初、工業生産のPDCAサイクル(継続的な業務改善の手法で、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)を繰り返すこと)の考え方を農業にも導入し業務の改善に努めている。最初に取り組んだのが、作業の省力化で、「例えば、代かきや田植え作業の効率化。代かきは2回必要というイメージがあるが、ハローのような精度の高い機械を使えば、1回で済む」と髙橋さんは指摘する。

また、高密度播種苗を全面的に導入し、育苗や田植え作業を省力するなど、従来型の作業を見直した結果、労働時間は全国平均の4分の1にあたる10aあたり7時間を実現したという。

同社が開発した営農支援システム「未来ファームMINORI」は、最先端ICT技術と農業を融合し、工場のような生産管理を可能にした。例えば、圃場に設置した看板にスマートフォンをタッチするだけで、圃場の名前やその日の作業を表示し、圃場ごとの収量・くず米率などを計算する機能を装備し、農作業や営農収支を〝見える化〟した。「経験の浅い若手でも、安心して農業に取り組むことができるし、責任もやりがいも生まれる。若者が楽しんで農業に従事できる環境づくりが目標」と髙橋さんは次世代を見据える。

紋枯病防止で確信

農業の業務改善に取り組んできた髙橋さんが直面したのが、2年前から導入した高密度播種苗に播種同時処理していた箱粒剤による薬害だった。そんな状況のなかで、苗箱に均一に処理できる灌注処理剤のことを知り、ミネクトブラスター顆粒水和剤を試験採用。その後、2022年に同じく灌注処理剤で紋枯病にも効果のあるミネクトフォルスターSCを全面採用した。

髙橋さんは手持ちの動噴を使って、田植え4日前に全品種の育苗箱に対してミネクトフォルスターSCを灌注処理。箱粒剤の時のような薬害もなく、播種機の周りにこぼれ落ちるようなムダもなかった。「灌注処理剤は高密度播種苗に最適だった」という。

「2022年はこの地域で紋枯病が多発したが、うちは大丈夫だった。発生した圃場でも稲の根本付近で症状が止まっていて、それ以上は進展がなかった。いもち病も問題なかった」と、その効果に確信をもった。

経営への高い貢献に寄せる信頼

また、髙橋さんが高く評価したのが、ムダな機械投資が必要ないこと。播種同時施薬機や、田植え同時処理のアタッチメントのように、新たな機械を購入しなくても手持ちの散布器具で処理できるので、コストが抑えられた。さらに、「液肥と混用し同時に処理できて効率的」という。

「ユーザーは灌注処理に懐疑的な人が多いが、苗の根から薬剤を吸わせる灌注処理の方が信頼できる」と、薬剤が目に見えるかどうかではなく、防除効果があるかないかが重要だと指摘する。

髙橋さんは来年も全面積でミネクトフォルスターSCを使うつもり。省力化・効率化によって、若者が楽しんで農業に取り組めるよう、毎日の営農を通じて、地域の活性化にも尽力している。

粒剤よりも均一に処理 〈新潟県上越市 頸城(くびき)建設(株) 不動農産部課長 石田秀和さん〉

頸城(くびき)建設株式会社不動農産部課長 石田秀和さん頸城(くびき)建設株式会社不動農産部課長 石田秀和さん

頚城建設(株)は、中山間地の耕作放棄地増加に歯止めをかけることを主な目的とする国の「農業特区」第1号認定を受け、平成15年に農業に参入した。本業の土木工事業用の重機とそのノウハウを農業にも転用し、水稲18.5ha(つきあかり、新潟次郎、こしいぶき、コシヒカリなど)を作付けする。

湿田では湛水深を調整

石田さんの課題は、箱処理剤と除草剤の効果をいかに安定させるかにあった。箱処理剤は、田植え前に箱粒剤を散粒器で育苗箱に散布、2年前からは箱粒剤を田植え同時側条施薬機で散布していた。

だが、同社の圃場は湿田で、田植えのときに完全に落水しないと、田植え同時側条施薬機で溝に処理した粒剤が水に浮いて、土壌に落ちずに効果が不安定になる。一方で、同時散布する除草剤の効果安定のためには多少の湛水状態が必要なので、湛水深をどの程度にするのか、そのせめぎ合いで悩んでいた。

そんなとき舞い込んだのが、水稲育苗箱用灌注処理剤・ミネクトフォルスターSC試験散布の話だった。石田さんは2022年、田植え前日の「新潟次郎」 約1ha分の育苗箱で試験を実施。手持ちの動噴を利用して、ミネクトフォルスターSCを育苗箱200枚に30分程度処理した。

「田植え前に箱処理が済んでいたので、田植え時は適度に湛水した状態で除草剤が処理できたので、大きなメリットがあった」と、その効果を強調する。

紋枯病を確実に抑制

一番の問題病害は紋枯病だったが、その防除効果も上々だった。「箱処理をした後は基本的に本田防除をしていません。ミネクトフォルスターSCを処理した圃場は、薬害もなく、紋枯病の発生が抑えられていたし、初期害虫のイネミズゾウムシやイネドロオイムシも問題なかった」という。

イネ紋枯れ病イネ紋枯れ病

箱粒剤の場合、散布ムラやこぼれ落ちるムダが生じがちだが、ミネクトフォルスターSCなどの灌注処理剤は、苗の葉苗箱全体にムラなく処理することができる。「粒剤よりも均一に処理でき、ムラがなく経済的。肥料など資材高騰の折、助かる」と石田さん。来年は水稲の全面積にミネクトフォルスターSCを導入する予定だ。

多肥栽培の多収米にも〈新潟県村上市 (株)貝沼農場 代表取締役 貝沼 純さん〉

新潟県村上市 株式会社貝沼農場代表取締役 貝沼純さん新潟県村上市 株式会社貝沼農場代表取締役 貝沼純さん

(株)貝沼農場は平成29年、地域の担い手として貢献するために設立した生産法人で50haの水稲を栽培する。圃場の4割は中山間地にあり、直播水稲やさまざまな品種を組み合わせて効率化に取り組んでいる。

「当社は、メインの業務用米のほか、コシヒカリやこしいぶきなどの岩船産ブランドも手がけ、卸店・米穀店や外食産業などと直接取り引きするなど岩船産米のブランドとともに歩んできた」と話すのは代表の貝沼さん。主力の業務用米は、多肥栽培の多収米なので、いもち病、紋枯病などがつきやすく、防除の徹底が課題だという。

いもち病常発地帯でも

課題は、田植え同時で処理する箱粒剤のデメリットだ。同社が手がける中山間地の水田の多くは、いもち病の常発地帯で、殺虫殺菌剤散布機で箱粒剤を田植え同時処理、その後の本田ではドローンで殺菌・殺虫剤を2回散布するのが定番となっている。

以前から、殺虫殺菌剤散布機で箱粒剤を処理してきた貝沼さんは、その効果や作業性に課題を抱えていた。苗の生育にムラがあると粒剤が均一に処理できず、また、高密度播種苗では、慣行の育苗箱と比べて苗の密度が高いので、殺虫殺菌剤散布機で散布した粒剤が根元まで落ちないこともある。

「雨が降ったり、湿度が高かったりすると粒の落ち方も不安定になる。また、殺虫殺菌剤散布機って結構重くて、湿田だと田植え機のバランスとるのが大変。さらにパーツが摩耗するため、部品交換やメンテナンスが必要になる」という。

粒剤の弱点をカバー

貝沼さんは2022年、業務用米の「大粒ダイヤ」「恋初めし」10ha分の高密度播種苗に対して、田植え前日、弁当肥(追肥)散布後の灌水時にミネクトフォルスターSCを処理した。手持ちの動噴を活用し、「灌水と同じ感覚で、均一かつ簡単に灌注処理できた」という貝沼さん。  

育苗箱の播種密度は品種によって変えていることから、殺虫殺菌剤散布機では、箱粒剤の吐出量を品種ごとに変えなければならないが、それをしなくていいのは非常に大きなメリットだ」と指摘する。

また、箱粒剤が切れたまま補充を忘れて田植え作業をして、結果的にその圃場一筆ごとに追加防除せざるを得なくなったといったデメリットも心配する必要がない。「灌注処理は事前に薬剤を苗に吸わせておけるので安心。田植え当日は除草剤と苗だけ持って行けばよく、省力効果もある。灌注処理剤は、粒剤のデメリットだったポイントをしっかりカバーして、

課題を解消できた。一般的には箱処理剤=粒剤というイメージがあるが、私は灌注処理剤を支持する」とそのメリットを実感している。

一層の新技術開発に期待

防除効果においても、いもち病、紋枯病ともにしっかりと抑え、初期害虫の被害もなかった。担い手の責任がますます大きくなっていく今後は、「高密度播種や灌注処理など新しい技術の活用が必須になる」と貝沼さんはみる。

箱処理作業3分の1に。 〈新潟県新潟市 小林勝さん〉

新潟県新潟市 小林 勝さん新潟県新潟市 小林 勝さん

小林さんと息子、娘、妻の家族経営で水稲27ha、花き18aを栽培する。水稲は、こしいぶき、コシヒカリ、新之助など。全面積で高密度播種を導入している。小林さんの圃場の問題病害虫は、年によって大発生するイネミズゾウムシやイネドロオイムシなどの害虫といもち病だ。

ハウスの端側も楽々

防除体系は、田植え前に箱粒剤を散布、出穂後にいもち病とカメムシ対象の殺虫・殺菌剤を1回散布している。箱粒剤は育苗ハウスの育苗箱に、散粒器を使って1枚ずつ散布するので労力がかかる。

「ハウスの中央通路の両側に苗箱を並べて散布している。中央通路に近い場所は楽にまけても、端側はスペースが狭くて散布が大変」という。そんな中、たまたまシンジェンタの広報誌で見かけたのが、ミネクトブラスター顆粒水和剤だった。「これは箱処理が省力化できるのではないか」と感じ、2022年の新之助の田植え前日に、散水ポンプを使って育苗箱に灌注処理した。 

「箱粒剤の時に苦労していたハウスの端側の苗箱も、水まき感覚で楽に処理できた。1日に4ha分の苗箱400枚を灌注処理したが、箱粒剤の時は30分以上かかっていたものが、10分弱で終了し、作業時間は3分の1になった」と省力効果を評価する。

「ミネクトブラスターを200倍に希釈して処理したが、かなり濃くて、ドロッとした印象で、薬害を心配したが問題なかった」と当初の印象を語る。防除効果も期待どおりで、イネミズゾウムシ、イネドロオイムシといった初期害虫や、いもち病もしっかり防除できたと評価する。

イネドロオイムシイネドロオイムシ

空いた時間花き栽培へ

ミネクトブラスターによる省力効果は、小林さんの家族経営にも大きな好影響を及ぼした。それは9棟のハウスの花き栽培。金魚草、アルストロメリアといった切り花の出荷時期が田植え前と重なる。「その時期は、水田も代かきや田植えを並行して進めるので忙しい。ミネクトブラスターで省力化できた時間や労力を、切り花にまわせるので助かる」と経営面での魅力も感じている。

2023年は新之助に加えて、コシヒカリ7haにもミネクトブラスターを使用する予定。作業の省力化に積極的な小林さんの目標は「近い将来は法人化して規模拡大し、次世代の若い農業者を雇用していきたい」。

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