緑肥作物で線虫防除・減農薬栽培を2013年7月31日
土づくり推進フォーラム(事務局:日本土壌協会)は7月30日、東京・一ツ橋の日本教育会館で土づくり推進フォーラムを開いた。
◆ヘアリーベッチ、減肥効果はレンゲの倍
今回のテーマは「最近の土壌病害、センチュウ害の診断と対策」。
生産資材メーカーや研究者、JAが、最新の研究成果と現場での取り組みを紹介した。
雪印種苗宮崎研究農場長の立花正氏は、「緑肥作物による土壌病害、センチュウ害対策」をテーマに講演。近年、注目されている新たな緑肥作物や、その減農薬・減化学肥料の効果などを紹介した。
緑肥作物としては、水田裏作に植えられ田んぼ一面に桃色の花を咲かせるレンゲなどが有名だ。春先に作物ごとすき込むことで、土壌の団粒化、保肥力を増やし施肥量を低減させる、微生物相を増やしセンチュウを抑制する、といった効果があるほか、景観向上や防風・防砂効果などもある。
水田裏作で減肥を可能にする緑肥作物として立花氏が紹介したのがマメ科のヘアリーベッチだ。
同社は「まめ助」「寒太郎」「藤えもん」などの品種を全国で販売する。レンゲと同程度の窒素を含むが収量がおよそ2倍あるため10aあたりの窒素減肥効果もおよそ倍の8kgになる。また、強い他感作用(アレロパシー)があるため、雑草を抑制する効果もあるという。滋賀県のJAレーク大津ではこれを利用したブランド米も生産している。
一方、減農薬を実現できるセンチュウ対抗品種として紹介したのはエンバク「ヘイオーツ」、ライムギ「R007」、チャガラシ「辛神」など。なかでも「辛神」はネコブセンチュウの抑制効果のある新品種で、現地試験ではホウレンソウ萎凋病に対して高い効果を示したことを紹介した。
(写真)
生産者、資材メーカーなど多くの人が参加した
◆産地一丸の取り組みが大事
また、野菜産地を代表しJAちばみどり営農センターそうさの大木義郎さんが、同JAのブランド野菜である「ひかりネギ」の土壌病害対策について発表。
近年、連作やトラクターの移動、冠水・強風などによる土の移動により被害が拡大している黒腐菌核病への対策として、再汚染しない場所での処分、真夏の太陽熱消毒、5月に定植し11?1月までに出荷を終わらせる作型にする、などの取り組みを紹介し、「産地が一丸となって対応することが肝心」だと強調した。
そのほか、片倉チッカリン技術顧問の野口勝憲氏が、土中の生物多様性が高ければセンチュウ密度が高くても被害が少ない、といった最近の土壌生物性診断の研究成果を、東京農大の大島宏行助教授が、酸性改良によりホモプシス根腐病を抑制した事例などを報告した。
(関連記事)
・24年度は1300人が合格 土壌医検定(2013.07.18)
・亜リン酸で農産物の高品質化・収量増 土づくりシンポジウム(2012.12.05)
・生産性向上に貢献する土づくりの最新資材 土づくり推進フォーラム(2012.07.30)
・エンドファイトで病害虫防除・多収をめざす 土づくり推進フォーラム(2011.12.06)
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】ホウレンソウにクロテンコナカイガラムシ 県内で初めて確認 神奈川県2024年12月23日
-
【注意報】カンキツ類にミカンナガタマムシ 県内全域で多発 神奈川県2024年12月23日
-
24年産新米、手堅い売れ行き 中食・外食も好調 スーパーは売り場づくりに苦労も2024年12月23日
-
「両正条植え」、「アイガモロボ」 2024農業技術10大ニュース(トピック1~5) 農水省2024年12月23日
-
多収米でコメの安定生産・供給体制を 業務用米セミナー&交流会 農水省補助事業でグレイン・エス・ピー ①2024年12月23日
-
多収米でコメの安定生産・供給体制を 業務用米セミナー&交流会 農水省補助事業でグレイン・エス・ピー ②2024年12月23日
-
香港向け家きん由来製品 島根県、新潟県、香川県からの輸出再開 農水省2024年12月23日
-
農泊 食文化海外発信地域「SAVOR JAPAN」長野、山梨の2地域を認定 農水省2024年12月23日
-
鳥インフル 米アイダホ州、ネブラスカ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月23日
-
農林中金 当座預金口座規定を改正2024年12月23日
-
農林中金 変動金利定期預金と譲渡性預金の取り扱い終了2024年12月23日
-
「JA全農チビリンピック2024」小学生カーリング日本一は「札幌CA」2024年12月23日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」栃木県で三ツ星いちご「スカイベリー」を収穫 JAタウン2024年12月23日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」大分県で「地獄めぐり」満喫 JAタウン2024年12月23日
-
「全農親子料理教室」横浜で開催 国産農畜産物で冬の料理作り JA全農2024年12月23日
-
「愛知のうずら」食べて応援「あいちゴコロ」で販売中 JAタウン2024年12月23日
-
Dow Jones Sustainability Asia Pacific Indexの構成銘柄7年連続で選定 日産化学2024年12月23日
-
「東北地域タマネギ栽培セミナー2025」1月に開催 農研機構2024年12月23日
-
NTTグループの開発した農業用国産ドローンの取り扱い開始 井関農機2024年12月23日
-
北海道立北の森づくり専門学院 令和7年度の生徒を募集2024年12月23日