糸状菌生物農薬の利便性・効果を大きく改善2013年9月17日
多くの農作物に被害をもたらす「ハスモンヨトウ」。これに対する生物農薬を開発する共同研究を行っている東海大学(阿蘇キャンバス)と熊本県農業研究センターは、すでにみいだしている昆虫病原性糸状菌の発芽促進物質「スフィンゴシン」により誘導される発芽促進にかかわるタンパク質群約20種を明らかにした。
環境負荷が少ない農薬の開発に関心が高まっている。なかでも、糸状菌のような生物がもつ病害虫の制御機能を積極的に活用する「生物農薬」の実用化への期待は大きいといえる。
今回の東海大学(荒木朋洋農学部バイオサイエンス学科教授を中心とする研究グループ)と熊本県農業研究センター(野田孝博宇城地域振興局農業普及・振興課)による共同研究では、自然界から分離した昆虫病原性糸状菌を利用する生物農薬の開発を進めてきている。これまで、糸状菌の発芽を促進する物質が「スフィンゴシン」であることを突き止めるとともに、スフィンゴシンによる発芽促進のメカニズムについても解析を行ってきた。
そしてゲノム情報のない糸状菌の細胞内タンパク質の解析を行い、スフィンゴシンによって誘導される発芽に関するタンパク質群の一部である代謝にかかわる酵素、タンパク質の機能化にかかわる酵素、菌糸の発芽に関与するタンパク質など約20種を明らかにした。
このスフィンゴシンについては今年7月に特許化されており、今後、製品化が実現すれば、糸状菌生物農薬の利便性および効果を大きく改善することができると期待されている。
なおこの研究成果は、第12回「国際ヒトプロテオーム学会」(9月14日、横浜市)で発表された。
(写真)
全身に昆虫病原糸状菌が発芽し死亡したハスモンヨトウ
(関連記事)
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・タフブロックなど 出光の微生物農薬が表彰(2013.07.18)
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