農薬の中毒事故、38件60人 誤飲が最多2013年12月25日
農水省は12月20日、平成24年度の農薬に関する事故・被害の調査結果を公表した。
◆移し替えが原因
人的被害があった事故件数は38件で前年度に比べて2件増だった。被害を受けた人の数は同12人増えて60人だったが、死亡者数は同6人減って2人と少なかった(下表参照)。
事故原因別の発生数では、件数がもっとも多かったのは「誤飲・誤食」で16件16人だった。16人中11人が60歳以上の事故で、認知症の人が誤って飲んでしまったり、普通の飲料のケースに移し替えたために事故が起こったケースなどが多かった。
被害を受けた人の数がもっとも多かったのは「作業後の管理不良」で、7件25人だった。この事故原因は、すべて土壌くん蒸剤によるもの。使用後、ほ場の被覆を完全に行わなかったため、揮発した農薬を吸い込んで、目の痛みや体調不良などを起こした。ほとんどが軽症?中軽症だった。
死亡した2人はともに60歳以上で、原因不明だが、誤って農薬を服用したものと推定される。
農水省では、これらの被害を防ぐため、▽農薬を飲料の空容器に移し替えない▽農薬を飲料と分けて保管・管理する▽土壌くん蒸剤使用後は適切な被覆を完全に行う、ことを徹底するよう呼びかけている。
◆飛散・誤用を防ぐ
農作物、家畜などに被害があった事故件数は前年度に比べて5件多い31件だった。
被害対象別では、農作物が14件、ミツバチが11件、魚類が6件で、家畜・蚕は0件だった。
農作物被害の原因は主に、農薬の飛散と誤用によるもの。これらを防ぐために、飛散低減ノズルを使う、風向き・風速を考慮して散布するなどの飛散対策の徹底、使用前によくラベルを読む、などの注意を喚起している。
ミツバチ、魚類の被害は、すべて原因不明で、農薬との因果関係もハッキリしていないが、時期や周辺設備との関連などから「農薬が原因の一つだと考えられるもの」として計上された。
自動車や建築物等に対する被害はなかった。
(関連記事)
・主婦層対象に農薬ゼミ 1月18日、東京都内で(2013.12.18)
・農薬安全技術のレベルアップめざす 安全協(2013.11.21)
・IPM、農家の我慢が大事 日植防シンポジウム(2013.09.20)
・農薬の蜜蜂危害防止Q&Aを公表 農水省(2013.08.27)
・JAで微粒剤Fの利用すすむ 農薬工業会講演会(2013.07.12)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(139)-改正食料・農業・農村基本法(25)-2025年4月26日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(56)【防除学習帖】第295回2025年4月26日
-
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日