水稲直播技術の普及が加速 日植防シンポ2014年2月3日
日本植物防疫協会(日植防)は1月16日、東京・神保町の日本教育会館でシンポジウム「農業生産基盤の変化と病害虫防除を考える」を開催した。JAグループ、農薬メーカー、試験研究機関、普及所などの関係者約450人が参加した。
◆省力防除は喫緊の課題
冒頭、同協会の山口勇理事長は、TPP交渉の結果にかかわらず、農業従事者の高齢化は待ったなしの状況であり、農業生産基盤の構造変化に一層の拍車がかかるだろうとした上で、「今回は農業生産基盤の変化に対応した低コスト化、省力防除技術の開発と普及、防除の担い手確保など具体的な課題に焦点を当てた。講演の中で紹介していただく最先端の取組みを通じて今後の展開方向を考える一助としていただきたい」などとあいさつした。
(写真)
山口理事長
◆普及広がる直播栽培
シンポジウムでは、喫緊の課題となっている水稲の低コスト化に関連して、農研機構東北農業研究センター生産基盤研究領域の大谷隆二上席研究員が、「水稲直播栽培の現状と今後の展望?乾田直播を中心に」をテーマに講演した。大規模経営が進む中で、東北地域でも直播栽培の普及が急速に拡大している現状を踏まえ、岩手県における乾田直播の実証試験などを実例に、具体的な技術体系のメリットや今後の課題について述べた。
また、JAグループも推進している鉄コーティング種子については、同センター水田作研究領域の白土宏之主任研究員が、「鉄コーティング水稲湛水直播栽培技術について」と題して講演。直播と移植栽培の長所と短所を比較しながら、鉄コーティング水稲湛水直播栽培に適合する品種や鳥害、雑草、病害虫対策など技術的な重要ポイントを詳述した。
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シンポジウムのようす
◇
その他、低コスト化や省力化に関しては、農研機構生研センターの宮原佳彦生産システム部長が、「低コスト・省力防除技術の開発動向」、農林水産航空協会の斎藤武司常務理事が、「産業用無人ヘリコプターによる病害虫雑草防除?現状と今後の展開方向」をテーマに講演。
防除の担い手問題では、北東北スカイテックの松山裕取締役管理部長による「請負防除事業の実践?現状と今後の展開方向」のほか、住友化学アグロ事業部営業部の長久保有之農業企画チームリーダーが「農業法人の実践事例からみる病害虫防除の課題」と題して、全国7カ所に展開している住化ファームの事業内容を通じた病害虫防除の取組みにおける指導機関との連携や人材育成の必要性などを強調した。
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