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農薬の使用規制でミツバチは救われるのか2014年3月20日

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農薬に関する情報交換会で中村純教授が講演

 農薬工業会は定期的に「農薬に関する情報交換会」を開催しているが、3月19日に「ネオニコチノイド系農薬の使用規制はミツバチを救うか?」をテーマに、ミツバチの生態研究や国際的な現地調査などを行っている第一人者である玉川大学学術研究所ミツバチ科学研究センターの中村純教授が講演した。

nous1403200901.jpg 農作物生産量の35%はミツバチの受粉によるもといわれており、農産物生産にとってミツバチは非常に重要な役割を担っている。
 近年、世界各地からミツバチの減少や大量死の報告がされ、その原因はネオニコチノイド系農薬にあるという報道がされることが多い。ネオニコチノイド系農薬は殺虫剤なので昆虫であるミツバチと農薬の散布場所に接点があれば一定の死亡被害は発生する。
 しかし、いまだに原因が特定できていないCCD(蜂群崩壊症候群)の原因とされ、一部にはその検証結果としての研究報告が有名科学雑誌に掲載され、EUではこれを背景に一部のネオニコチノイド系農薬の2年間の暫定使用規制を実施している。
 こうした問題を含めて、中村教授は概ね次のように講演した。

(写真)
講演する中村教授

 

◆ミツバチは「家畜」 環境指標生物ではない

 まず中村教授は、ミツバチが「環境指標生物」であるとされることがあるが、これは「ありがちな『誤解』」であると指摘する。環境指標生物とは「さまざまな環境条件を調べる際に、そこに生息する生物のうち、ある条件に敏感な生物を用いて調べる場合の、その生物を指していう」のであり、「指標種」は「環境条件に対してごく狭い幅の要求をもつ生物種(狭適応種)で、したがって、環境条件をよく示しうる種」のことだからだ。
 日本の養蜂で使われているミツバチは、ヨーロッパ原産で南極大陸以外のすべての大陸に生息しており、しかも、人間に飼育されている「家畜」なので「環境指標生物」にはあたらないということになる。

 

◆1日に1000匹が生まれ、死んでいる

 次いで、ミツバチの生態について、女王蜂は1日に1000個の卵を産み、成虫が1日1000匹死んでおり、そのことで約3万匹という群れが安定的に維持されているなどと解説した。
 また日本の養蜂の現状について、その産業規模は3525億円(1997年)で、うちハチミツやローヤルゼリーなど直接的貢献は72億円、花粉交配による貢献が3453億円で、花粉交配による農業生産への貢献度が高いこと。日本における蜂群数が減少しているが、それは養蜂家が減少していることによるのではないかという。

 

◆評価分かれる大量死と農薬の影響

 そして大量死と農薬の関連については、さまざまな推論があるが「『大量死』全体の原因と総括できない」としてうえで、研究者の論文でも、低用量のネオニコチノイドの影響について、「ミツバチの行動に対する影響評価は割れている」とした。
 今回、EUで規制の根拠となった研究論文は、「野外暴露の20倍のみ1用量」によるもので「花粉や花蜜への残留レベルで影響」しているもの。しかし、別の研究論文では、農薬2剤を使い「野外暴露での想定濃度を含む4用量」で「花粉や花蜜への残留レベルなら無影響」となっている。
 このように評価はわかれているが、EUは「影響がある」という研究を選択したということになる。
しかし、EUでは過去に何回か農薬の使用を禁止してきたが、「大量死」問題は解決していないとも指摘。そのうえで、今回の2年間の暫定使用禁止期間のうちに、「ハチの状態がよくなるか」疑問だとした。
 さらにEUによる使用制限の日本での実効について、▽薬剤の使用方法・対象作物が異なるので「日本の実情に合わせた検討が不可欠」、▽日本での実態把握が進んでいない(農薬暴露経路などは調査中だが、生態系への影響調査はこれから)などをあげた。

 

◆耕作放棄地で蜜源植物の植栽を

 そして農薬禁止以前にできることとして、養蜂家は、農薬との接点を可能な限り遮断・回避すること。それが不可避でも努力することで被害を軽減できる。さらに養蜂家と農家、行政が連携することで、散布情報の入手や散布地周辺からの退避などをあげた。
 そしてミツバチ不足・減少をなくすための一つの方法として、耕作放棄地などを活用した「蜜源植物の植栽」があり、三重県松阪市の事例などを紹介した。
 

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