ジェネリック農薬で協議会を設立 JA全農2016年12月1日
JA全農は、生産資材費低減を促進するために、日本におけるジェネリック農薬の適切かつ速やかな導入・普及をはかるために「日本ジェネリック農薬協議会」を年内に設立することにした。
自民党の農林水産業骨太方針策定PT(通称:小泉PT)や規制改革推進会議農業WGなどで、農業生産資材価格についてさまざまな議論がなされ、その中で生産コストを低減するためにジェネリック(特許切れ)農薬の導入・普及について検討されてきた。
しかし、現行の日本の農薬登録制度では、農薬登録に必要な残留農薬試験や各種毒性試験などにかかる費用が11億円(全農試算)とオリジナル製品(約12億円)とほとんど変わらず、農薬価格を大幅に引き下げることは難しいことや、EUなどと比べて農薬原体管理法や農薬原体の知的権利の保護期間などが異なることなどが、ジェネリック農薬導入・普及のネックになっているといわれている。
こうした議論を受けて、農水省は現行の農薬取締法を改訂し、よりジェネリック農薬を登録しやすくするなどと表明してきた。
JA全農は、すでにジェネリック農薬を導入し、価格的には同等品よりも低価格で提供しているが、日本国内ではジェネリック農薬はまだ普及していないのが実情だといえる。
しかし、農水省によれば世界の農薬市場では30%(別の調査機関情報では50%程度)がジェネリック農薬だという。実際に、世界の農薬会社の売上規模をみると、シンジェンタ、バイエル、BASF、ダウ、モンサント、デュポンに次いで第7位にアダマ、8位にニューファム、11位にUPL、13位にケミノバというジェネリック農薬会社が並んでいる。ちなみに日本企業では住友化学が10位、石原バイオが15位などとなっている。こうした世界的な趨勢も今回、ジェネリック農薬を促進する議論を後押ししているともいえる。
JA全農では、「農産物の安全性を維持しつつ、農薬価格低減のために、他の先進国並みにジェネリック農薬の導入をはかっていくことが重要になっている」と考え、国内における「ジェネリック農薬の適切で速やかな導入・普及を図る」ことを目的に「日本ジェネリック農薬協議会」を設立し、「ジェネリック農薬に関する登録、品質管理および技術普及について協議し、提言」していくことにしたという(全農肥料農薬部)。
年内に設立予定のこの協議会の発起人は(ランキングは2015年)、
◎アダマ・ジャパン(株) イスラエルのアダマ社日本法人:世界の農薬メーカー第7位(ジェネリック農薬第1位)中国化工が株式の60%取得
◎ニューファム(株) オーストラリアのニューファム社日本法人:同8位(同2位)、住友化学が20%出資。
◎ユーピーエルジャパン(株) インドのUPL社日本法人:同11位(同3位)
◎OATアグリオ(株) 大塚化学の肥料農薬部門が独立した会社で東証一部上場(日本の農薬会社ランキング17位)
◎JA全農 発起人事務局、となっている。
世界的なジェネリック農薬会社と協議会を設立することについて、日本ではジェネリック農薬の登録や製造、販売について十分なノウハウの蓄積がないので、世界的規模でジェネリック農薬を取扱っているトップ企業のノウハウを共有することで、国内における諸問題についての提言していくことができると全農では考えている。
当面、協議会でジェネリック農薬の開発を促進するために取組んでいくのは
◎国内に登録のある化学合成農薬約470成分について、欧米諸国の制度を参考に、関係省庁主導で数年以内に全成分の原体組成の設定を実施すること
◎TPP関連諸国の制度を鑑み、登録用データ保護期間を登録取得後10年に短縮すること
◎その他必要な事項については、協議会で協議、検討し、提言していく
としている。
ジェネリック農薬の価格低減イメージ(JA全農提供)
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