北海道・北東北などで水稲の斑点カメムシの発生多いと予想 病害虫発生予報第4号2019年7月12日
農林水産省は7月10日、「令和元年度病害虫発生予報第4号」を発表した。
向こう1か月の主な病害虫の発生予察情報(発生予報)によると、水稲では、斑点米カメムシ類の発生が北海道、北東北および北陸の一部地域で多くなると予想される。水田の観察を行い、発生状況に応じて適期に防除を実施すること。
野菜類は、ネギのアザミウマ類の発生が北東北および近畿の一部地域で多くなると予想。ほ場の観察をきめ細かく行い、発生初期に防除を実施する。
果樹は、かんきつのハダニ類の発生が中国および北九州の一部の地域で多くなると予想されている。園内を注意深く観察し、適期に防除を実施しする。このほか、なしの黒星病など地域によっては多くなると予想されている病害虫があるので注意が必要。
また、7月3日、鹿児島県で国内では初めてツマジロクサヨトウの発生が確認された。防除には、早期発見が重要であることから農林水産省は、疑わしい虫を見つけた場合は、都道府県病害虫防除所または植物防疫所への連絡を求めている。
【水稲】
いもち病(葉いもち)の発生が、北海道、北東北、関東、北陸、東海、中国、四国および南九州の一部の地域でやや多くなると予想。向こう1か月予報では、降水量が東・西日本で平年並みか多くなると予想されており、断続的な降雨があると本病に感染しやすい条件となり、急激に発生するおそれがある。また、一部の薬剤に対して耐性菌が発生しているため、都道府県が発表する発生予察情報などを参考に薬剤を選定すること。
斑点米カメムシ類の発生は、北海道、北東北および北陸の一部の地域で多くなると予想。近年は、移動性が高い飛翔性のアカスジカスミカメとアカヒゲホソミドリカスミカメの発生が多くなっている。また、水田周辺雑草の除草は本虫の発生量の抑制に効果的だが、出穂期直前の除草は、本虫の水田への侵入を助長し被害を増加させるおそれがあるため、出穂期の10日前までに完了する。
【野菜・花き】
・ネギ
アザミウマ類の発生が、北東北および近畿の一部の地域で多くなると予想。京都府では注意報が発表された。本虫は作物を加害するほか、多くの病原ウイルスを媒介するため、発生密度が高くなってからでは防除が困難。ほ場の観察をきめ細かく行うとともに、発生初期に防除を実施する。また、薬剤抵抗性を獲得しやすいため、都道府県が発表する発生予察情報などを参考に薬剤を選定するとともに、天敵生物などの各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討する。
・野菜共通
ハスモンヨトウの発生が、近畿および南九州の一部の地域で多くなると予想。京都府では注意報が発表された。ほ場内の発生状況に注意し、都道府県が発表する発生予察情報等を参考に、適期に防除を実施する。
・かんきつ
ハダニ類の発生が、中国および北九州の一部の地域で多くなると予想。園内を注意深く観察し、発生状況に応じて防除を実施する。なお、本虫は薬剤抵抗性を獲得しやすいため、都道府県が発表する発生予察情報などを参考に同一系統の農薬の連続使用を避けること。
・ナシ
黒星病の発生が、南東北および北陸の一部の地域で多くなると予想。対策として、り病部の除去、薬剤散布などの防除を実施すること。また、一部の薬剤に対して耐性菌が発生しているため、都道府県が発表する発生予察情報などを参考に効果的な薬剤による防除を実施する。
・リンゴ
黒星病の発生が、北海道の一部の地域で多くなると予想。昨年の発生量が多かった地域では、伝染源が多くなると予想されており、特に注意が必要。対策としては、伝染源となるり病部の除去、薬剤散布などの防除を実施する。また、一部の薬剤に対して耐性菌が発生しているため、都道府県が発表する発生予察情報などを参考に効果的な薬剤による防除を実施する。
・茶
カンザワハダニの発生が、近畿および北九州の一部の地域で多くなると予想。三番茶摘採園で多発が予想される場合は、薬剤の使用前日数などに留意しながら適切な防除を実施すること。
さらに、ハマキムシ類の発生が、南関東および北九州の一部の地域で多くなると予想。ハマキムシ類は、地域および薬剤の種類により効果が異なる。また、幼虫が葉をつづり合わせてからでは薬剤がかかりにくくなるため、ふ化期~若齢幼虫期を対象とした薬剤散布が効果的。都道府県が発表する発生予察情報などを参考に、適切な薬剤を選定し、地域の予察灯やフェロモントラップによる前世代成虫の誘殺最盛日の7日後程度を目安に防除を実施する。
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