SDGs貢献をアピール 住友化学(株)の西本副社長 東京農大総研研究会農薬部会新年会2020年1月21日
東京農業大学総合研究所研究会農薬部会の新年会で、住友化学㈱代表取締役副社長執行役員の西本麗氏が、「農薬産業のイノベーションと社会貢献」のテーマで講演した。農薬工業会のビジョン「JCPA VISION 2025」に触れ、SDGs(持続可能な開発目標)と結びつけた取り組みの必要性を強調し、「持続可能な社会づくりに貢献するため、実例を示しながら広報活動を強めたい」と、抱負を述べた。
講演の中で、西本氏は農薬の役割について、SDGsが設定した目標に対して、(1)収量・品質の確保で飢餓に終止符を打ち、持続可能な農業の推進する、(2)農耕地面積の拡大を防いて緑の豊かさを守る、(3)農業の効率化・安定化に貢献し、農業の成長産業化を進める、(4)カビ毒リスクの低減ですべての人を健康にするなどを挙げた。
つまり、食料増産、環境保全、熱帯感染症対策などで貢献していることを強調。そのための技術開発としてゲノム編集、特定の遺伝子の発現を抑制するRNAi、精密農業(AI・loT)、バイオテクノロジー等の研究が進んでいるという。
一方で農薬業界は企業再編、規制強化が進んでいる。欧米のマルチ企業では再編で巨大化し、大型製品への集中投資が増え、特にGM種子の研究開発費は大幅に伸長し、農薬規制強化でこれに拍車がかかっているという。また市場動向をみると、農薬市場は中長期的には一貫して拡大傾向にあり、種子市場もこの10年間で1.8倍(GM種子は2.5倍)に拡大している。
こうした情勢のなかで、農薬工業会は「JCPA VISION 2025」のビジョン実現に取り組んでいる。世界人口の増大に対応して、安定的かつ持続的な食料供給を支えるための生産資材また農業技術として農薬の役割を果たそうというもので、具体的には、(1)農業者に向けた農薬の安全性に関する啓発活動を積極的に行う、(2)農薬の必要性・安全性に関する科学的根拠を整備して周知することで、農業者、消費者、農産物流通の不安を取り除く、(3)農薬の適正な使用を促進し、安全な農作物の生産に貢献する、(4)農業の生産性と品質向上に向けて、新技術開発のための環境整備を進めるなど、安全性のPRと、生産性・品質向上を意識した活動内容となっている。
最後に西本氏は、農薬の技術開発の方向としてGM技術、ゲノム編集、バイオテクノロジーなどがあるなかで、「一つの技術で、全てを解決するのは難しい」として、技術の組み合わせの必要性を指摘した。
(写真=講演する住友化学の西本麗副社長)
重要な記事
最新の記事
-
米価 過去10年で最高値 60kg1万5865円 対前年比114%2024年7月17日
-
【東京農業大学鼎談】実学主義の価値(2)DX戦略にも地域色拡充2024年7月17日
-
【東京農業大学鼎談】実学主義の価値(3)JAは食・農の好循環先導を2024年7月17日
-
「小さな協同」実践 JA松本ハイランドの自己改革 新世紀JA研究会全国セミナー2024年7月17日
-
「きっトラ」と「もし寅」【小松泰信・地方の眼力】2024年7月17日
-
【訃報】生活クラブ生協連の加藤好一顧問が逝去2024年7月17日
-
【人事異動】農水省(7月16日付)2024年7月17日
-
【注意報】ナシ、ブドウなどに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 三重県2024年7月17日
-
ガチャピン・ムックとコラボ「ニッポンエール」グミ発売 JA全農2024年7月17日
-
日本農業の未来をけん引する人材育成へ 宮城県加美農業高校とNTT東日本グループが連携2024年7月17日
-
唐沢農機サービス「夏の大展示会」開催 200台を超える農機具を展示2024年7月17日
-
【注意報】大型斑点米カメムシ類、カスミカメムシ類による斑点米発生に注意 千葉県2024年7月17日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 岩手県2024年7月17日
-
「第3回 全国桃選手権」開催 全国から45品がエントリー 日本野菜ソムリエ協会2024年7月17日
-
ハウス栽培向け環境制御システムのラインアップを拡充 クボタ2024年7月17日
-
【役員人事】石巻埠頭サイロ(4月1日付)2024年7月17日
-
葉の光合成速度の低コスト・低労力・高速推定法を開発 農研機構2024年7月17日
-
表参道で佐賀県産「いちごさん」絶品ひんやりスイーツ「いちごさんどう2024夏 」開催2024年7月17日
-
長野県塩尻市と山口県岩国市の歴史的風致維持向上計画を認定 農水省など2024年7月17日
-
生とうもろこしまるかじり 昭和村で農業体験開催 パルシステム群馬2024年7月17日