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2050年 有機農業100万haを目標-みどりの食料システム戦略 中間まとめ2021年3月5日

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農林水産省は3月5日、「みどりの食料戦略システム」の中間とりまとめを明らかにした。2050年までに化学農薬の使用量を50%、化学肥料の使用量を30%、それぞれ削減するとともに有機農業に取り組む面積を100万haに拡大するなどの目標を掲げた。5月に戦略を策定する。

有機農業の取組の拡大

農業生産基盤の強化はわが国の大きな課題だが、同時に地球環境問題への対応など持続可能性を追求した食料供給システムの構築が急務となっている。

「みどりの食料システム戦略」は農業の生産力向上と持続性の両立を技術革新によって実現しようという戦略で昨年10月から農水省内で検討を始め、今年からは農業者や農業団体などと意見交換を重ねてきた。3月に中間とりまとめを示し、さらに関係者と意見交換し5月に戦略を策定する。

戦略策定にあっては2050年までに農林水産業のCO2ゼロ排出の実現や、化学農薬・肥料の削減、有機農業の面積拡大などの方向を打ち出し、具体的な数値目標も掲げる方針とした。

今回の中間とりまとめでは12のKPI(重要業績評価指標)を示した。

このうち農薬については、化学農薬にのみ依存せず、病害虫抵抗性と生産性・品質に優れた抵抗性品種の開発や、天敵など含む生態系の相互作用の活用など総合的病害虫管理体系の確立・普及と、低リスク化学農薬、新規生物農薬の開発などで、2050年までに化学農薬使用量(リスク換算)の50%削減をめざす。

化学肥料ではたい肥の高品質化、ペレット化技術などの開発で農家が使いやすいたい肥がどこでも手に入る環境を整備することで、化学肥料の置き換えを進める。また、土壌や作物のデータなどを活用し最適な施肥ができるスマート施肥システムを導入する。こうした取り組みによって、輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%削減する。平成28肥料年度で化学肥料の使用量(NPK総量・出荷ベース)は90万tだが、これを2050年には63万tにする目標を掲げる。

有機農業は2050年までにオーガニック市場を拡大しつつ、耕地面積に占める取り組み面積を25%(100万ha)まで拡大する。有機農業の取り組み面積は平成30年で2万3700haで耕地面積の0.5%に過ぎない。

目標達成に向け、2030年までにたい肥のペレット化、除草ロボットなど耕種的防除の省力化、地力維持・土着天敵など考慮した輪作体系などを開発し、有機農業に取り組む農業者の底上げとすそ野の拡大を図る。

また、AI(人工知能)による病害虫発生予察や光・音などに物理的手法による防除、土壌微生物機能の解明と活用、有機栽培に適した品種開発など、主要品目について農業者の多くが取り組むことができる「次世代有機農業技術」を2040年までに確立する目標を掲げた。

農業者の多くが有機農業に取り組みやすい環境も整備するとしており、持続可能な生産技術への転換を促す仕組みや支援も検討する。有機農業にまとまって取り組む産地づくり、共同物流による流通コストの削減、消費者や地域住民が有機農業を理解し支える環境づくりも課題としている。

農業者や農業団体などとの意見交換では「環境に優しい農業は今後必ず求められる」、「持続可能な農業や暮らしを考えたなかでは、待ったなしの政策」、「日本は米の有機栽培技術ができているため、水田で野心的な目標を立てることでEU並みの25%への拡大も可能。飼料用作物もポイントになる」との意見が出された。

一方で「果樹については気候の違いもあり、現行技術では欧米と同じ考え方での化学農薬の削減は難しい」、「農薬や肥料を減らすことで生産コストや収量への影響が不透明。農業者の所得が十分に確保できる持続可能な経営が重要」、「農薬の大幅削減には慣行栽培を行う農家の意識と知識を変える必要がある。JAや県の普及センターによる指導体制や、減農薬への転換にともなう減収した場合の支援が必要」、「省力化や低コストなど多様な取り組みをモデルを示すなど、地域の実態をふまえた取り組みを推進すべき」といった意見も出ていた。

農水省はみどり戦略を食料・農業・農村基本計画の実現をさらに押し進めるための中長期的な方針と位置づける。5月に戦略を策定し、政府全体の農林水産業・地域の活力創造プランなどに反映させるとともに、令和4年度予算にも反映させる。

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