【年頭あいさつ2022】大森 茂 全国農薬協同組合理事長2022年1月2日
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全国農薬協同組合理事長
一昨年から引き続きのコロナ禍の影響を受けて、農業経営において農産物価格の低迷に加えて、様々な農業資材の値上げが行われて、厳しさが一層増してきている状況です。そうした中で、全国農薬協同組合においては、農業競争力強化支援法により示されている農業資材費低減のため組合員も含めて物流の効率化を引き続き図り、一方で農薬が農家にとって必須の資材であり、適切な使用の下で生産された農産物の安全は保障されていることを、消費者にも医薬品やワクチンと同様に農薬についても正しく理解をしてもらう活動を引き続き行っています。
一方、国において昨年度スタートした「みどりの食料システム戦略」では、農薬の環境に及ぼすリスクを50%削減するとの目標を立てられており、また農薬メーカーにおいては農薬の再評価制度への対応も始まり、またより環境に配慮した製造設備の対応など、安全性向上のためのコストも今後の農薬価格に影響することを懸念しています。
農業現場においては、農福連携や海外労働者の活用で人手不足への対応や、6次産業化などにより収益向上への取組みをされるなど新しい取組みにチャレンジしている事例もあり、また高品質をアピールポイントとして農産物また加工品を輸出している事例も増えていると聞きます。
全国農薬協同組合として、それぞれの地域において営業活動をしている組合員及びその社員で構成している農薬安全コンサルタント、また農産物の輸出に関して適切な農薬使用の情報提供や啓蒙も行う農薬安全コンサルタントリーダーの養成にも力を注ぎ、農産物の安定生産・品質向上に貢献すること、そして農家の方々が農薬を使用することで肩身の狭い思いをしなくてもよいように、日本での農業生産の持続性を確保するための必須の生産資材としての役割をアピールすることも役割と考えています。
しかしながら、有機農産物を使った学校給食を求める活動であったり、農薬検査を厳重にしていることをPRして他の製品との差別化販売を図る動きなども、ますます激しくなっています。
以前ある大学のシンポジウムで「農薬を使用しないことで安全・安心だとPRすることは、逆から考えれば農薬を使用した農産物は安全・安心ではないという誤解・誤認を消費者に与えるのではないか。」と質問したところ、「言われる通りです。しかし研究テーマをアピールするために農薬を使用しない様々な栽培方法の研究予算を頂くために、そのような言い回しになってしまうことが多い。」との返答で、科学者の言葉としては少し残念な思いが残りました。
農薬に課せられた役割と機能は、人間と新型コロナウィルスとの関係でワクチンや治療薬が待たれるように、今後も高まり農薬流通に携わるものとして、引き続き精進を続けて参ります。
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