農薬工業会が2022年賀詞交歓会 持続可能な社会へ貢献-本田会長2022年1月6日
農薬工業会は1月5日、2022年賀詞交歓会を東京・大手町の経団連ホールで行った。本田会長は「持続可能な社会への貢献に引き続き努める年にしたい」と挨拶した。
2年ぶりとなる会には業界関係者ら約200人が集まった。
本田卓会長
日産化学取締役専務
本田卓会長(日産化学取締役専務執行役員)は、挨拶のなかで内外の農薬市場と農業の動向、会員企業と同会がめざすべき課題などを述べた。
それによると、世界の農薬市場は2020年に前年比2.7%増、2021年は5%増が見込まれている。要因には中国のコメ市場での増加、インドでの労働力移動制限による除草剤の需要増、欧州での穀類、ナタネ、北米でのトウモロコシ、大豆の作付面積増などが推測されるという。
一方、国内は昨年、水稲作況指数は全国で101と平年並み。トビイロウンカによる被害も防除対策の徹底で抑えられ、これを反映して2021農薬年度の総出荷額は水稲用殺虫・殺菌剤などの伸びもあり前年比1.8%増となった。
農薬行政面では、改正農薬取締法の施行により、2020年4月から使用者安全およびミツバチに関する新たなリスク評価法が導入され、また、最新の科学的知見に基づいて評価を行う、再評価の申請が2021年度から開始された。
これについて本田会長は「欧米では再評価制度導入後に登録農薬が減少した事例があった。しかし、その多くは追加の安全性試験を行う費用と登録後の販売を比較した経済性の観点によるものだったと推察している。日本でも同様のことが起こる可能性は否定できない。当会は科学的根拠に基づき農薬の安全性を一層確保するとともに、防除に有効な農薬が農家に適切に提供されることを目指して関係府省と引き続き意見交換を進めていく」と述べた。
また、会員のうち、日本企業の実績にも触れ、1980から2019年の主要新規剤368剤中の約3分の1が日本企業の創薬であり、2019年の後期ステージの開発品35剤中でも12剤を占めることなどを紹介し、こうした研究開発力を持つ日本企業は、海外でも製品を登録、販売を進めており「日本の農薬産業は世界の農業向けの新資材の重要な供給源として注目されている」と強調したうえで、「SDGsも踏まえ当会のビジョン活動「JCPA VISION2025」を着実に実行し、持続可能な社会への貢献に引き続き努める年にしたい」と述べた。
小川良介
消費安全局長
来賓として農林水産省の小川良介消費・安全局長が挨拶した。
小川局長は再評価制度について「この制度を通じて農薬の安全性の一層の向上を図るとともに、これまで以上に生産現場での適正使用を徹底することで安全で品質のよい農産物の安定的な供給に努め、リスクコミュニケーションにより消費者の信頼の確保、向上に取り組んでいく」と述べた。
また、みどり戦略が掲げる2050年までに化学農薬の使用量をリスク換算で5割低減させるというKPIを実現するため、病害虫の発生予防を中心とした「総合的な防除に関する国の指針の策定」に向けた植物防疫法の改正案を次期通常国会への提出する方針を示した。
小川局長はみどり戦略の実現に向け「引き続き意見交換をしながら進めていきたい」と述べた。
今年は新型コロナ感染症対策のため飲食をともなう懇談の場は設けず、引き続き的場稔副会長(シンジェンタジャパン代表取締役社長)が閉会あいさつをした。
的場稔 副会長
シンジェンタジャパン
代表取締役社長
的場副会長はみどり戦略について「30年という長いスパンのなかで腰を据え中長期戦略で取り組むもの。農薬業界は食の安全、作業者の安全、農業の生産性・持続性向上に貢献しなければならず、拙速な技術を出してはいけない」としながらも、開発から農家の現場への提供までに時間がかかる現実があることも指摘、作家の開高健の「悠々として急げ、の心構えでイノベーションを作っていくことが大事ではないか」などと話した。
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