新たな水稲用除草剤「サキガケ楽粒」をドローンで散布 省力化を実感 北興化学工業2023年5月30日
水田に入らなくても除草剤を散布できる、北興化学工業株式会社が昨年から販売している水稲用除草剤「サキガケ楽粒(らくりゅう)」のドローンによる散布が、5月25日、埼玉県加須市の実演圃場で行われた。
ドローンによる「サキガケ楽粒」の散布
「サキガケ楽粒」のドローンによる散布が行われたのは、1週間前に田植えが行われた埼玉県加須市の株式会社おぐらライス(小倉祐一社長)の75aの圃場。茨城県や栃木県境に近く、利根川や渡良瀬川が近くを流れる水田が広がる地帯だ。
おぐらライスは、約60haの圃場で稲作を中心に麦も栽培し、最近は作業受託も増えているという。小倉社長は昨年の大型連休明けに、初めて「サキガケ楽粒」を手で散布し、その効果を実感したという。「幅広く雑草を抑えてくれ、使い勝手がいいと感じました」と語る。
ドローンに「サキガケ楽粒」を入れる
当日は好天のうえほぼ無風の好条件に恵まれた。「サキガケ楽粒」の散布量は10a当たり250g(1袋分)が目安で、7袋分をドローンに詰めて作業を始めた。
ドローンによる散布は、圃場の中央部分を1往復するだけで終了。所要時間はわずか2分ほどだった。「楽粒」は、水面で自由に拡散するように粒の形があえて不揃いとされており、風のないときは中央部分に散布すれば自然に圃場全体に均等に広がるという。風がある日は風上側に散布する。
水面で広がる「サキガケ楽粒」の様子
散布後、水面を確認すると、「サキガケ楽粒」が均等に広がっていく様子が確認された。楽粒は徐々に溶けるように設計され、約30分で完全溶解するという。
小倉社長によると、ドローンのバッテリーの消耗度は10%程度だった。圃場に全面に散布する粒剤の場合は6往復程度必要であるためバッテリーが相当消耗してしまう。各段に効率的だという。
株式会社おぐらライス 小倉祐一社長
北興化学工業によると、昨年春から販売を始めた「サキガケ楽粒」は、全国でこれまでに600~700か所の展示圃で散布が行われており、実際の効果などのデータを蓄積しているという。
小倉社長は「作業は楽ですし、一定の面積以上で水持ちのいい圃場ではドローンでの散布が効果的だと思います。バッテリーが長持ちして作業時間も短縮できることでほかの仕事にあてる時間も増えます。今後も(サキガケ楽粒の)使用を増やしていく方向で、圃場の条件などに応じた使い分けを考えていきたいと思います」と語った。
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