【特殊報】秋田県 トマトキバガ 県内で初めて誘殺を確認2023年6月30日
秋田県病害虫防除所は、トマトキバガの誘殺を県内で初めて確認。これを受けて、6月30日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
県内で誘殺された成虫
6月19日、秋田地域のトマト栽培ほ場周辺に設置した侵入調査用のトマトキバガのフェロモントラップにおいて誘殺された蛾の成虫を横浜植物防疫所が同定した結果、本県では未発生のトマトキバガであることが6月23日に判明した。現在のところ、本種による農作物の被害は確認されていない。
トマトキバガは、国内では、令和3年10月に熊本県で初めて確認され、宮崎県、鹿児島県、大分県、福岡県、長崎県、愛媛県、和歌山県、岡山県、山口県、広島県、佐賀県、沖縄県、青森県で確認されている。
成虫は、翅を閉じた静止時で体長5~7ミリ(前翅長約5ミリ、開張約10ミリ)。前翅は灰褐色の地色に黒色斑が散在する。後翅は一様に淡黒褐色。幼虫は、終齢で約8ミリ。体色は淡緑色~淡赤白色。頭部は淡褐色。前胸の背面後方に細い黒色横帯がある。
1年に複数の世代が発生し、繁殖力が高い。発生世代数は環境条件によって異なり、年に10~12世代発生する地域もある。卵~成虫になるまでの期間は24~38日程度で、気温が低い時期はさらに延びる。
成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多く、雌は一生のうちに平均約260個の卵を寄主植物の葉の裏面などに産み付ける。幼虫は1齢から4齢までの生育ステージがあり、土中や葉の表面で蛹化する。
主な寄主植物はトマト、なす、ピーマン、ばれいしょ等のナス科植物。マメ科のいんげんまめも、寄主植物として確認されている。トマトでは、茎葉の内部に幼虫が潜り込んで食害し、孔道が形成される。葉の食害部分は表面のみ残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる。果実では、幼虫が穿孔侵入して内部組織を食害するため、果実表面に数ミリ程度の穿孔痕が生じるとともに腐敗が生じ、果実品質が著しく低下する。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
ほ場内をよく見回り、トマトキバガが発生していないか確認する。
発生が疑われた場合は、病害虫防除所(TEL:018-881-3660)に連絡するとともに以下の防除対策を実施する。
(1)成虫及び幼虫は見つけ次第捕殺する。
(2)発生を拡大させないため、速やかに薬剤散布を行うとともに、被害葉や被害果実はほ場に放置せず、速やかに土中に深く埋没するか、ビニ-ル袋などに入れて一定期間密閉し、寄生した成幼虫を全て死滅させ、適切に処分する。
(3)トマトキバガに対する登録農薬は表-1のとおりである。
また、植物防疫法第29条第1項に基づく措置として、表-2に記載された農薬による防除を行うことができる。
なお、薬剤散布にあたっては、薬剤抵抗性の発達を防ぐためRACコードが異なる薬剤でローテーション防除を行う。
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