エタノールからプロピレンを直接製造する 環境に配慮した新プロセスの確立へ 住友化学2023年10月25日
住友化学はこのたび、サステナブルな化学品原料として注目されるエタノールからプロピレンを直接製造する実証に向けたパイロット設備の建設に着手した。本技術は、NEDO※のグリーンイノベーション(GI)基金事業の助成を受けている開発案件の一つ。2025年前半に同社の千葉工場袖ケ浦地区に同設備を完成させるとともに、早期の社会実装を目指す。
プロピレンは、今日主にナフサなど化石資源の分解により製造されており、石油化学製品の上流に位置付けられる基幹化学品の一つ。
一方、エタノールは、サトウキビやとうもろこしなどのバイオマスから製造することができ、また今後、可燃ごみや廃プラスチック、CO2から大量生産する技術の確立が見込まれるなど、サステナブルな基幹化学原料として期待が高まっている。
こうしたなかで、同社は、エタノールを原料とするエチレンの試験製造設備を千葉工場内に新設するとともに、プロピレンについては独自の新製法の開発を進めている。
同社が取り組むエタノールからのプロピレンの直接製法は、複数の中間体を経る既存プロセスと比べ、コンパクトかつ低コストなプロセスとすることが可能であり、堅調な需要が続くプロピレンと同時に水素を併産する利点がある。
本設備により、工業化に向け必要なデータを取得するほか、得られたプロピレンを用いたポリプロピレンのサンプルワークなどを併せて実施する計画。その後、30年代前半の同社での事業化や他社へのライセンス供与を目指していく。
同社は、「革新的な製造プロセスの構築を通じて、カーボンニュートラルおよび資源循環社会の実現に貢献してまいります。」としている。
※ 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
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