差別化経営の概要とスコープ3.1のCO2排出量目標など発表 BASF2023年12月22日
ドイツのBASF本社は12月7日、差別化経営の概要と新たな財務指標を発表。特定のスコープ3.1排出量を2030年までに2022年比で15%削減、2050年までにネットゼロ(実質ゼロ)の目標を設定した。
優先順位をつけたキャッシュ活用
BASFの企業戦略は、有機的成長を軸にしており、2018年から2022年まで支出の約60%を設備投資と研究開発に割り当てた。BASF取締役会会長のマーティン・ブルーダーミュラー氏は、同社にとって株主への利益還元と魅力的な配当が重要であることを強調し、「BASFは過去5年で3回増配している。2020年と2022年にはそれぞれ、厳しい事業環境のため、配当を前年と同水準に据え置いた」とコメント。2018年以降の配当総額は158億ユーロに達し、平均配当利回りは年間5.6%で、この10年におよぶBASFの配当金は、BASFの強力なキャッシュ創出に支えられてきた。2013年から2022年までの営業活動による平均キャッシュフローは年間77億ユーロ、平均フリーキャッシュフローは年間34億ユーロに達している。また、継続的なポートフォリオ管理を通じて、BASFはそのポートフォリオを革新的な成長事業に集中。過去5年間で、同社は売上高50億ユーロの事業を売却し、売上高40億ユーロの事業を買収した。
さらなる収益性のため、事業経営を差別化
2018年に発表した戦略において、顧客のニーズをより実現するため、BASFが顧客重視の組織へと変革することは重要な要素となっている。それ以来、同社は各事業の経営能力を高めるために、様々な施策を講じてきた。
この差別化経営によって、各事業はそれぞれのビジネスモデルとプロセスをさらに最適化することになり、適応したプロセス構造、ITシステム、ガバナンスの枠組みによってサポートされる。フェアブントへの統合がそれほど深くない事業は、統合企業の利点を維持しながら特定の顧客産業のニーズを満たすための柔軟性を確保。この方針が適用されるのは、サーフェステクノロジー事業セグメントの電池材料およびコーティングス事業、またアグロソリューション事業セグメント。
同社は、バリューチェーンに沿ってフェアブント事業(ケミカル、マテリアル、インダストリアル・ソリューション、ニュートリション&ケアから構成)を管理。効率的な資源の活用、需要の集約や、同期および統合された生産を通じて価値を生み出し、将来的には、製品のカーボンフットプリント、バイオマスやリサイクル材の使用などサステナビリティに関する要素を製品に付加するため、バリューチェーン管理はより重要となる。
ネットゼロ達成に向けて新たな一歩
BASFは、2018年の戦略におけるクライメート・ニュートラル(気候中立)な成長を確保するという当初の目標を元に、クライメート・ニュートラルに向けた取り組みの進捗状況を、投資家代表などに提示した。2021年3月、この目標をさらに高め、スコープ1、2の排出量について「2030年までに2018年比で25%の削減。2050年までに実質ゼロ」という削減目標を設定した。これらの目標を達成するため、BASFは再生可能エネルギーと炭素削減技術の活用に焦点を当てている。
購入した原材料に関連する排出量は、信頼できる一次データの取得が進んだことから、BASFはスコープ3.1排出量の削減目標を設定するために、強固な基盤が十分に整っていると確信。2030年までに、BASFはポートフォリオ全体のスコープ3.1排出量を2022年比で15%削減することを目指す。
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