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みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (35) 【防除学習帖】第274回2024年11月16日

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 令和3年5月に公表され、農業界に衝撃を与えた「みどりの食料システム戦略」。防除学習帖では、そこに示された減化学農薬に関するKPIをただ単にクリアするのではなく、できるだけ作物の収量・品質を落とさない防除を実現した上でKPIをクリアできる方法を探っているが、そのことを実現するのに必要なツールなり技術を確立するには、やはりIPM防除の有効活用が重要だ。そこで、防除学習帖では、IPM防除資材・技術をどのように活用すれば防除効果を落とさずに化学農薬のリスク換算量を減らすことができるのか探っている。
 みどり戦略対策に向けたIPM防除でも、必要な場面では化学的防除を使用し、化学的防除法以外の防除法を偏りなく組み合わせて防除効果の最大化を狙うのだが、農薬のリスク換算量を減らせる有効成分や使用方法を選択できるようにするためには、農薬の有効成分ごとにその作用点、特性、リスク係数、防除できる病害虫草等を整理すると、より効率良く防除できてリスク換算量を減らすことができる道が探れると考えている。そのため、有効成分の作用機構ごとに分類し、RACコードの順番に整理を試みている。
 現在FRACコード表日本版(2023年8月)に基づいて整理し紹介しているが、整理の都合上、FRACコード表と項目の並びや内容の表記方法が若干異なることをご容赦願いたい。

2.カルボン酸
 (1)作用機構:[A]核酸合成代謝阻害
 (2)作用点: DNAポイソメラーゼタイプⅡ(ジャイレーヌ)
 (3)グループ名:DHODHI殺菌剤 [グループコード:52]
 (4)殺菌剤の耐性リスク:中~高
 (5)耐性菌の発生状況:報告なし
 (6)化学グループ名・有効成分名(農薬名):
   [1]フェニルプロパノール・イプフルフェノキン(ミギワ20フロアブル)
 (7)グループの特性:
このグループは、遺伝子が機能を発揮するために不可欠なRNAの生合成経路に作用し、RNAの構成成分を生合成する際に必要な酵素であるジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)の機能を阻害して病原菌の正常な生育をできなくする。これにより、病原菌は作物への侵入と定着がうまくできなくなり、作物への感染が抑えられる。
糸状菌のうち、黒星病やうどんこ病など子のう菌類および不完全菌といった幅広い病原菌に高い効果を示す。浸透移行性も有しており、効果の安定に寄与すると考えられている。
 (8)リスク換算係数とリスク換算量削減の考え方:
     2020年登録の新規登録薬剤であるためリスク係数による削減目標とはならないが、貴重な浸透性殺菌剤であるので、耐性菌の発達を抑えるため、用法用量を守って正しく使用するように心がける。
(宗)gakushu274 IPM防除実践考[35]_2024-11-15up-2.jpg

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