農薬:ニューフェイス登場
ミネクトシリーズ3剤登場◆シンジェンタ ジャパン(株)2017年1月24日
ベストな組み合わせで高い効果
幅広い殺虫活性と長期残効性
シンジェンタジャパン(株)は昨年11月に、幅広い害虫に活性を示す新規殺虫成分シアントラニリプロールをベースに、これと補完し合うベストな成分を組み合わせた混合剤「ミネクト」シリーズ3剤の販売を発表したので、その特徴などについて取材した。
「ミネクト」シリーズの特徴は、幅広い害虫に有効でしかも残効性も長いという特徴を持つジアミド系の新規殺虫成分・シアントラニリプロールをベースに、これと補完し合う殺虫成分または殺菌成分との2成分混合剤とすることで「生産者の収量アップや生産性向上に貢献できる製品として提供することを目的に開発」(堀口雅之同社マーケティング部プロダクトマネジャー)したものだ。
シリーズ名のミネクトの由来について、篠原聡明社長は製品発表会で「私たち(My)シンジェンタの革新的な技術を、生産現場の利便性に繋げ(Connect)たい」という同社の思いを込めた造語だと語った。「日本農業を強くすることに少しでも貢献したい」という同社の気持ちをこめたネーミングだといえる。
新規殺虫成分のシアントラニリプロールは、水稲剤としては初期害虫であるイネドロオイムシ、イネミズゾウムシやチョウ目害虫、さらにイナゴ類に、園芸用ではコナジラミ類やアザミウマ類など、幅広い害虫に効果があるのが特徴だ。
このシアントラニリプロールをベースにして「対象作物と防除ニーズに合った成分と省力処理技術として今回提案」するのが、水稲育苗箱処理用殺虫殺菌剤「デジタルミネクト箱粒剤」、水稲育苗箱処理用殺虫剤「ミネクトスター顆粒水和剤」、野菜用殺虫剤「ミネクトデュオ粒剤」の3剤だ。
◆主要害虫といもち病に高い効果
水稲育苗箱処理用殺虫殺菌剤 デジタルミネクト箱粒剤
「デジタルミネクト箱粒剤」は、シアントラニリプロールといもち病防除で定評のあるピロキロン(コラトップ)を組み合わせた水稲育苗箱用の殺虫殺菌剤だ。
適用害虫は、水稲で問題となるイネドロオイムシ、イネミズゾウムシ、イナゴ類、イネツトムシ、ツマグロヨコバイ、ニカメイチュウで、シアントラニリプロールの幅広い殺虫活性と長い残効性を活かしてしっかりと防除できるのが魅力だ。
さらに長年にわたって使い続けられ、いもち病防除で定評のあるピロキロンを組み合わせたことで、通常の発生状況であれば1回の処理で防除が可能な「ワンランク上の効果を実現させている製品」だと、水稲用殺虫剤・殺菌剤を担当する堀口氏は自信をもって語る。
主要害虫といもち病の防除が一度にでき、長期に効果が持続するこの剤は、水稲生産者にとっては、省力化を実現するための有力な剤だといえるだろう。
◆飼料用米のコスト低減に最適
水稲育苗箱処理用殺虫剤 ミネクトスター顆粒水和剤
「ミネクトスター顆粒水和剤」は、吸汁性害虫に高い効果を発揮している殺虫成分・ピメトロジン(チェス)を組み合わせた混合剤だ。
すでにみてきたように幅広い害虫に殺虫活性を持つシアントラニリプロールと最近防除ニーズが高まっているトビイロウンカ、ヒメトビウンカの防除に効果を発揮するピメトロジンを組み合わせたことで、ウンカ類を含む水稲害虫を長期にわたって防除することが可能になった。
育苗箱処理用剤は粒剤が多いが、この剤は顆粒水和剤なので薬液を作り灌注処理することで、簡単・スピーディに散布することが可能となる。灌注処理するためには、事前に処理する育苗箱の枚数を確定し、必要な薬液を調整する必要があるので、一見、手間がかかるように思えるが、育苗箱200枚への散布が約4分程度(吐水量25リットル/分)でできるので、散布の手間をかなり減らすことができる。
散布には、育苗施設に設置されている定置式動力噴霧器、自動潅水装置や頭上還水装置など既存の機器が使え、少量の育苗箱処理が必要なときには、ジョウロで散布すればいい。
簡単、スピーディに散布できるので、大規模生産者やこれから規模拡大を目指す生産者の省力化、飼料用米の低コスト生産に貢献できると同社では考えている。なお、同剤は、シンジェンタジャパン(株)とクミアイ化学工業(株)で販売する。
◆育苗時使用で定植後も効果が持続
野菜用殺虫剤 ミネクトデュオ粒剤
「ミネクトデュオ粒剤」は、シアントラニリプロールと、ネオニコチノイド系殺虫成分のチアメトキサム(同社アクタラ製品に含有)を組み合わせた野菜用殺虫剤だ。
それぞれ殺虫スペクトラムが異なり、吸収移行性(根から吸収され導管を通って植物のすみずみまで広がる)に優れた2成分を組み合わせたので、育苗の初期段階で使用することで、薬剤処理後に展開する葉にも成分がいきわたり、長期間にわたって植物全体を守ることができる。しかもキャベツ・ハクサイ・ブロッコリー・レタス、キュウリ・ナス・トマト・ピーマンの主要な葉菜類と果菜類の栽培初期に問題となるチョウ目、コナジラミ、アザミウマ、アブラムシ、ハモグリバエといった「定植前後で防除が必要なほぼすべての害虫をこの1剤でカバーすることができる他にはない剤」だと、マーケティング部で野菜・果樹殺虫剤を担当する柳田優一プロダクトマネジャーは語る。
使用時期は、果菜類では鉢上げ時(一次育苗が終わってポットに植え替えた時)から定植前まで。葉菜類は、播種覆土後から定植までの、どの時期でもよい。処理した時期によらず、定植後の残効が安定しているので、定植前後の忙しい時期ではなく、比較的時間がある「育苗初期の段階で使うことで労力の低減も提案できる新しい製品」だともいう。
※デジタル、ミネクト、コラトップ、チェス、アクタラはシンジェンタ社の登録商標
(写真)堀口雅之氏、ミネクトスター顆粒水和剤 灌注処理の様子、柳田優一氏、ミネクトデュオ粒剤 鉢上げ時薬剤処理イメージ
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