農薬:防除学習帖
【防除学習帖】第10回(下) 害虫の防除方法(害虫とは)2019年7月12日
3.害虫による農作物の被害
害虫による農作物の被害は、もっぱら害虫が生きるための摂食行動によって起こる。農作物の葉や根をかじったり、果実に食い入る食害や、果実や茎からの吸汁害など、農作物の各部位に直接的に害をなすことを直接害という。一方、吸汁行動による病原ウイルスの侵入や食害痕からの病原菌の侵入による被害を間接害と呼んでいる。
食害は、害虫が農作物の特定の部位に摂食行動をすることによって起こり、害虫の種類によって被害の出方や部位が異なる。これは、防除の上で重要なのでしっかり把握しておきたい。
茎葉を食害する害虫には、コブノメイガ、フタオビコヤガ、イナゴ、ヨトウガ、アオムシ、コナガと、被害が大きい芯葉を食害するハイマダラノメイガなどがある。
これらの被害は、主に幼虫が茎葉を摂食することで発生し、葉に穴が開く。ひどい場合は葉脈だけを残した状態になり、葉としての機能を果たさなくなる。その結果、光合成ができず、生長に必要な養分を作れなくなるため、生育不良や枯死、品質低下につながる。
果実を食害する害虫は、ナシヒメシンクイやモモシンクイガ、オオタバコガなど。幼虫が果実に食入し、果実内を食い荒らす。また、果実の表面をかじって傷をつけ、商品価値を無くしてしまう。
幹や稈を食害する害虫は、ニカメイチュウやゴマダラカミキリなどがある。幼虫が幹や稈に食入し、内部を食害することにより生育不良が起こる。
根を食害する害虫は、ネキリムシやコガネムシ類、線虫類などで、根をかじったり、食入するなどして根の機能を失わせる。また、地上部が生育不良になり、収量低下、品質低下を引き起こす。
茎葉から吸汁する害虫は、ウンカ類、ツマグロヨコバイ、アブラムシ類、コナジラミ類、ナミハダニなど多くの害虫が当てはまる。吸汁によって農作物に生育不良や品質低下を引き起こす。また、病害ウイルスの媒介や口吻の刺し傷による品質低下をまねき、病原菌の侵入を助けるなどの害をおよぼす。
果実から吸汁する害虫は、カメムシ類、カイガラムシ類など。口吻の刺し傷による品質低下と、病原菌の侵入を助ける。
4.害虫の生理・生態
害虫が、発育段階で大きな形態的変化を起こすことを変態という。
この変態により、卵から幼虫が生まれ、幼虫が脱皮を繰り返しながら成長し、やがて成虫へと変身する。脱皮は、害虫の体内の器官から内分泌されるホルモンによってコントロールされており、脱皮を繰り返すごとに幼虫の身体が大きくなっていく。
変態には、卵→幼虫→蛹→成虫と姿を変える完全変態(チョウ目、コウチュウ目、ハチ目、ハエ目など)と、卵→若虫(仔虫)→成虫と蛹を経ないで成虫になる不完全変態(バッタ目、アザミウマ目、カメムシ目、ダニなど)の2つがある。 この過程を1世代と呼び、通常1年に1世代を過ごすものが多いが、中には1年に2世代あるいは、それ以上の世代を繰り返す害虫もいる。
複数の世代を繰り返す害虫の代表にニカメイチュウやモンシロチョウがある。こうした害虫の場合、生育適温が続く季節に農作物があれば世代を繰り返すのが特徴だ。
害虫は変温動物であり、その発育は温度に大きく左右される。害虫ごとに生育適温があり、その範囲内で、低温では生育が遅く、高温では早くなる。加えて、適温を外れると生きていけないため、多くの害虫は、生育に不適切な環境下では、発育を停め、呼吸量を減らすことにより環境への抵抗力を増す。これを休眠という。
休眠は、卵、幼虫、蛹、成虫のいずれかの形態で起こり、どの形態で起こるか、どんな環境条件で起こるかは害虫によって異なる。
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