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農薬:防除学習帖

【防除学習帖】第24回 雑草防除の基礎知識<4>2019年10月28日

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 前回は除草剤を使う上で必要な基礎知識である農薬ラベルの意味のうち、作物名から使用時期までを紹介した。今回は、使用回数、使用方法、注意事項について紹介する。

2.農薬ラベルへの記載内容(前回からの続き)

適用雑草及び使用方法 
(5)使用回数

 使用回数は大きく分けて、本剤の使用回数と成分ごとの使用回数の2種類がある。本剤の使用回数とは、本剤=「農薬ラベルが貼られている除草剤(商品名)そのもの」を1作期に使用してもよい回数を示す。図表の例では、本剤の使用回数は1作期1回である。
 一方、除草剤の多くは、幅広い雑草に効果を示すように複数の有効成分を組み合わせて作られており、その有効成分ごとに1作期に使ってもよい使用回数が決まっている。これが、「成分○○を含む農薬の総使用回数」であり、同じほ場に「成分○○」を1作期の間に使用してもよい回数を示す。
 つまり、本剤を使う前に「成分○○」を含む商品名が異なる除草剤を1回使用していれば、「成分○○」の使用回数は本剤を使うことにより合計2回ということになる。
 このように、農薬は、1ほ場1作期における有効成分ごとの使用回数をきちんと把握して使わなければならない。そのため、除草剤を複数回使用する時は、自分が使う除草剤の有効成分名にも気を配り、有効成分ごとの使用回数が超過しないように注意する必要がある。これは除草剤に限らず、農薬全てにおいても同様だ。
 
(6)使用方法

 除草剤の製剤は、1キロ粒剤、フロアブル、顆粒水和剤、ジャンボ剤など様々なものがある。一般的には、これらを手散布や動力散布機、無人ヘリ、田植同時施用機で散布したりと様々である。
 除草剤は、有効成分をほ場内に均一に行き渡らせる、あるいは雑草の茎葉に確実に付着させることが除草効果を安定させる鍵になる。
 このため、有効成分の性能や性格を考慮して、除草剤ごとに最も効果を安定させられる散布方法を幾多の試験によって検証して決めており、その方法を指定しているのが「使用方法」である。
 除草剤の効果を最大限発揮させるには、この使用方法に従って散布する必要がある。

(7)使用上の注意事項

 除草剤を安全に効果的に使用する際の注意事項がここに記載されている。
 つまり、効果面や薬害回避、環境への配慮などの点で気にするべき、いわば上手に使うためのコツが書かれているので、使用前に必ず確認するようにしたい。
 以下、一般的な注意事項に記載されている内容を例示する。

ア.除草剤の使用時期に関する注意
例)「雑草の発生前から生育初期に有効なので、ノビエの3葉期までに、時期を失しないように散布してください」
(解説)この除草剤の有効成分の性能からして一番効果を発揮できる時期を示しており、この時期を逸すると、取りこぼしが起こる(効果が低くなる)恐れがあることを示している。

イ.雑草の種類に関する注意
  除草剤の成分は万能ではなく、得手不得手があることが多い。このため、ほ場に生えている雑草をよく観察し、留意事項に記載のある雑草が生えていれば、この注意事項の忠告に従うようにする。
例)「多年生雑草は生育段階によって効果にぶれが出るので、必ず適期に散布してください。ホタルイ、ウリカワ、ヘラオモダカは3葉期まで、ミズガヤツリは5葉期まで、クログワイは発生前、オモダカ、コウキヤガラは発生始期まで、ヒルムシロは発生期まで、セリは再生期まで、アオミドロ・藻類による表層はく離は発生盛期までが散布適期です。オモダカ、クログワイ、コウキヤガラは発生期間が長く、遅い発生のものまでは十分な効果を示さないので、必要に応じて有効な後処理剤との組み合わせで使用してください」
(解説)これは、草種ごとに一番良い使用時期を示しており、雑草の発生状況と照らし合わせて適期に使用する必要がある。これを逃すと効果が劣ることもあることを示している。

ウ.栽培条件等に関する注意事項
 除草剤は、雑草と作物の生育スピードや生理作用の違いなどをうまく利用して除草効果を表すように作られている。このため、栽培条件の違いによって除草効果や安全性に差が出ることがあるので注意が必要だ。
例)「苗の植付けが均一となるように、代かきおよび植付作業は丁寧におこなってください。未熟有機物を施用した場合は、特にていねいにおこなってください」
(解説)代かきや植付作業が雑な場合や未熟堆肥などを使用した場合には、植付後に苗の根が露出したり、土壌の隙間から除草剤成分が根や作物の生長点の部分に流れ込んだりして、除草剤成分に作物が直接触れてしまうことがある。そのような場合には、作物が除草剤の影響を大きく受けて、生育抑制などの被害(薬害)が起こることがあるので、注意が必要だ。
例)散布の際は、水の出入りを止めて湛水状態のまま田面に均一に散布し、散布後3~4日間は通常の湛水状態(水深3~5cm)を保ち、散布後7日間は落水、かけ流しはしないでください。また、入水は静かにおこなってください。
(解説)これは、水稲用の除草剤は、散布された後、有効成分が水を介して土壌表面に処理層(除草剤の成分で覆われた層)ができ、そこに雑草が触れて除草効果を表すことが多い。この処理層ができるまでの間は、田んぼの水深を保ち、できるだけ水を動かさないようにすると除草効果が安定するためである。
 水深の不均一な場合には、この処理層のでき方が不均一になって効果ふれる原因となることもあるので、田面もできるだけ均平にするようにする方がよい。
 また、散布後7日間は止め水するのは、ほ場外に除草剤成分が流出するのを防ぐためであり、除草効果、環境面の両方に効果がある。


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