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農薬:防除学習帖

【防除学習帖】第46回 種子処理2020年4月3日

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 前回、地上散布で使用する製剤とその特徴について紹介した。今回は、その他の製剤や処理方法を紹介する。

1.拡散性製剤
 拡散性製剤とは、処理後に田面水を介して拡散していく性能を持つものをさし、豆つぶ剤(250g/10a処理)やジャンボ剤(50gパック×10個/10a処理)、顆粒水和剤などがある。
 拡散する方法は各社の技術であり、一般的な粒剤より投下量が少なくても、製剤自身で拡散して、田面内に均一に拡散して効果を発揮する。
 この拡散性製剤は、水を介して拡散するため、処理する場合は4~5センチの湛水状態(水稲除草剤の例)を保つ必要があるなど、製品によって注意事項が異なる場合が多いので、ラベルをよく読んで注意事項は必ず守ってほしい。
 なお、拡散性製剤は、いったん田面水上に落ちるため、田面に浮き草や藻類、ワラ残渣などのゴミが浮遊している場合、拡散性製剤の拡散を邪魔することになる。均一に有効成分を拡散させるためには、浮遊物を取り除き、きれいな状態で散布するようにしてほしい。


豆つぶ剤の特徴1豆つぶ剤の特徴2豆つぶ剤の特徴(クミアイ化学工業(株)ホームページより)

2.水口施用
 パイプラインなど一定の水量が保てる水田で、水口から用水を流入させると同時に薬剤を流水に施用し、水の流れに乗せて薬剤を水田全体に行き渡らせる手法。水稲除草顆粒水和剤で多く使われる方法だ。
 散布労力は一番少なく済むが、水口の水量など使用できる水田に限りがあるため、使用前に説明書きをよく読んで、使用可能かどうか確認の上、使用すること。


水口処理の特徴1水口処理の特徴2水口処理の特徴(日産化学ホームページより)

3.ラジコンボート、ラジコンホーバークラフト
 いずれも、田植え後さほど日が経っていない水田(まだ茎葉がしっかりしていなくて船底が水面上を走り回っても稲苗に損傷が無い時期)で使用される方法だ。
 原理は簡単で、水稲除草剤のフロアブル剤を滴下しながら所定量(500ml/10a程度:所定量は薬剤のラベルで確認)が滴下されるまでラジコンボートを水田内で走り回らせるだけ。水田内を均一に走る必要はなく、大雑把に全体を走り回らせると、あとはフロアブル製剤の拡散性で均一に拡散する。最近は、豆粒剤を散布できる機種も登場し、ラジコンボートで散布できる農薬が増えている。

4.種子消毒剤の秋処理
 翌年に使用する消毒済種籾をつくる方法。グスタフソンや日本車両製の種子処理機を使用する方法である。種籾収穫後に、種子処理装置で種子消毒剤の希釈液を吹き付け処理し、乾燥させた後、低温保存する。翌年に種子消毒作業を行う必要が無く、すぐに催芽処理に入ることができるので、育苗作業の一部を省略できる。

5.種子処理(種子コーティング)
 種籾に種子消毒剤を吹き付けて付着させる吹き付け処理とは異なる、種子に薬剤をコーティングして有効成分が長期に放出される方法が開発された。コーティング種子を通常どおり育苗、田植えすることにより、田植え後に発生する病害虫にまで効果を発揮できる。
 育苗箱に処理することが無いため、現在急速に増えている「密苗・密播」といった厚撒き育苗技術にも活用できることから、今後の適用薬剤が増えることが期待されている。

 
本シリーズの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
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