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農薬:防除学習帖

野菜の害虫防除9 ダニ類【防除学習帖】第74回2020年10月23日

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ダニ類は、大きくても1mm程度のとても小さな害虫であり、肉眼では、何となく色のついた小さなツブツブ程度にしか見えない。ただ、ダニの被害症状には特徴があるので、実際には作物に発生する症状をみて判断されることが多い。
以下、これらのダニ類の特徴と防除法を整理した。

1.野菜類に発生する主なダニ類

野菜に発生し被害の大きいダニ類は、チャノホコリダニ、ナミハダニ、カンザワハダニ、ネダニ類である。いずれも、ダニ目に属する害虫で、体長が1mmに満たないものが多く、目視での判別は難しい。そのため、作物の被害とその症状を見て見分けるようにする。
それらを以下の表に整理したので参考にしてほしい。
葉を主に侵すハダニ類(ナミハダニ、カンザワハダニ)の場合は、最初、葉に斑が入るので、作物の葉をよく観察すると見分けられるようになる。
被害は、ナス科、ウリ科、マメ科他多種の作物を加害するが、ダニによって加害する作物が若干異なるので、作物によってはダニの種類が特定できるものもある。
いずれの種も増殖力が強く、爆発的に被害が拡大することが多い。

野菜を加害する主なダニ類(クリックで拡大)

2.被害

ハダニは葉を、ホコリダニは芽や芯葉、ネダニは根の基部とそれぞれで加害部位が異なる。ハダニでは葉の活性が大きく損なわれて生育不良となり収量・品質が低下し、ホコリダニでは、芽や芯葉が加害されて、生育が大きく劣るし、作物によっては品質が著しく低下する。また、ネダニでは、根の活性が大きく低下し、生育抑制が起こり、収量が低下する。

3.防除法

ダニ類の防除は、主に殺ダニ剤を使用して行う。増殖が非常に早く、多発生になると防除困難となるので、発生初期に徹底防除を行う。また、殺虫剤抵抗性が発達しやすいので、薬剤系統の異なる薬剤で、発生前の定期的防除を行う方が望ましい。
ダニの密度を抑える耕種的防除をうまく活用し、化学的防除を組み合わせて行うと効果的である。

(1) 耕種的防除法
ア.ほ場周辺の雑草が発生源となるので、除草を徹底する。
イ.ホコリダニなど施設の床土から発生するダニの場合は、太陽熱衝動など床土や施設全体の消毒を行うと効果がある。
ウ.土中の被害残渣の除去:ネダニは、土中の被害残渣からも発生するので、できるだけ取り除く。
エ.生物的防除:ハダニの天敵にミヤコカブリダニやスワルスキーカブリダニ、チリカブリダニがいるが、それぞれの天敵を製剤化した資材があるので適宜活用する。ただし、天敵はダニが増殖する前に作物に定着させる必要があるため、天敵を保護・増殖し、長期に渡り天敵を放出できる「バンカーシート」という簡単組立資材があるので、活用するとより効果が安定する。

(2)薬剤防除
ダニのいる場所によって防除の仕方が異なるので登録農薬の使用方法に従って適切に使用する。ダニ類は特に抵抗性が発達するリスクが高いので、同系統の薬剤の連続使用は絶対にやめ、系統の異なる薬剤でのローテーション防除を実施するようにする。その際、エコピタ液剤などダニの気門を塞いで窒息させて殺す物理的防除資材は、抵抗性発達のリスクが無いので、薬剤ローテーションの1剤として積極的に活用すると良い。
また、殺ダニ剤は、ダニの生育ステージ(卵、若虫、成虫)によって効果の高低があるので、注意する。例えば。エトキサゾール(商品名バロック)は、卵にしか効かないので、発生前の定期防除を予防的に使用する方の効果が安定する。
なお、表2にダニ類に効果のある殺虫成分を整理してみたので参考にしてほしい。ただし、殺虫剤ごとに農薬登録の内容が異なるので、使用前に必ず登録内容を確認し、適正に使用するようにしてほしい。また、別途、作物別登録農薬一覧も整理したので、選択の際の参考にしてほしい。


ダニ類に適用のある有効成分一覧

(クリックで拡大)

作物別登録農薬一覧

作物別登録農薬一覧(クリックでPDFをダウンロード)

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