農薬:防除学習帖
果樹の防除7【防除学習帖】第96回2021年4月2日
果樹は、ほとんどの樹種に防除暦があり、それに従って防除を行えば一定の防除効果が得られる。防除暦には、時期別(生育ステージ別)に重要な防除のコツが記されており、それらは樹種別にその対象としている地域における気象や病害虫雑草の発生状況をよく吟味して、最も安全で品質の良い果樹が得られるように作成されている。これが果樹は防除暦に従って防除すれば安心であるという理由の1つである。
前回より生育期の防除のポイントを紹介しているが、実際の防除暦に記載されている防除時期は、開花期(4月下旬)などと具体的に記載されているが、これは、その防除暦が対象とする地域に対応した時期であり、全ての地域に当てはまるものではない。この防除適期は、樹種や地域の生育状況や病害虫の発生状況によって異なってくるためである。このため、本稿では具体的な月・旬は記載していないので、このことを予めご容赦願いたい。実際の防除適期は、それぞれの地区は部会などで発行されている防除暦で確認するようにしてほしい。
1.梅雨期の防除
開花時期を過ぎると、気温も高く、降雨量が多くなる。特に、雨が降る日数が多い梅雨時期には、雨をきっかとして感染する病害(雨媒伝染性病害)が増えてくる。これらの病害は、被害が大きいものが多いので、この時期の防除は丁寧に確実に行うようしてほしい。
(1)梅雨期防除の意義
雨媒伝染性病害は、巻きひげなど昨年の被害残渣などから伝染源となる胞子や細菌が放出され、雨を介して果実や新梢、樹幹などに伝染する。
これらは目に見えないため、どこで伝染が起こっているかわかりづらく、しかも、病斑が確認できるようになると、病斑が確認された地点を中心に広範囲に感染が広がっている場合が多い。しかも、病斑確認後の防除では十分な防除効果が期待できないことも多いので、雨媒伝染性病害を防除するには、雨が降る前の予防散布が鉄則だ。
(2)注意事項
(1)のような理由で、この時期には予防効果の高い保護殺菌剤(有効成分名:マンゼブ、マンネブ、TPN、銅剤、イミノクタジンABS塩、フルアジナムなど)を使用することが多い。加えて、付着性を高める機能が高い固着性展着剤の加用を推奨している防除暦も多い。
また、梅雨の時期は雨が長期間に及ぶことが多いため、散布後の総雨量を常に意識するようにしてほしい。なぜなら、保護殺菌剤といえど、雨に打たれると徐々に農薬が流れ落ちて効果を発揮するために必要な農薬付着量を下回ってしまうからである。
ミカン黒点病防除などで、散布後に総雨量300mlを超える前に次の散布を行うように指導されているのはそのためである、
また、この時期でも目立たないが害虫の増殖は続いているので、防除暦に従って殺虫剤の散布を忘れずに行ってほしい。
(3)雨媒伝染性病害と防除法
雨媒伝染の病害の主なものは以下のとおりである。一旦発生を許すと防除が難しいものが多いので、早期の予防散布を確実に行うようにしてほしい。
防除について、防除暦記載の薬剤を指示された適期を逃さずに散布する。被害残渣の除去など耕種的防除の記載がある場合は、できるだけ多く取り入れて実行する。
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