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農薬:防除学習帖

防除暦2【防除学習帖】第115回2021年9月3日

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前回より防除暦の重要性を再認識し、防除暦を実際につくることで防除の組み立て方を紹介している。

今回からいよいよ具体的に作物を選び、実際に作成作業を行う。作物選びは、あまり防除暦がない作物を中心に、メジャー作物の場合は作成数が少ないIPM防除暦や有機農業防除暦に挑戦してみたいと考えている。

作物選びは、筆者の独断と偏見によるので、作成の手順や防除手段選択の考え方を参考にしていただければ幸いである。というわけで、記念すべき1つ目の作物は、ホウレンソウにしたいと思う。

1.ホウレンソウに登録のある農薬の検索

ホウレンソウには色々な病害虫が発生するが、防除暦を作成する場合、できるだけそれら全てを網羅した防除暦に仕上げれば理想である。しかし、必ずしも全てに農薬登録があるわけではないので、防除手段を記載した防除暦に採用する病害虫については、農薬登録のある病害虫を選ぶようにすると良い。新規発生の病害虫の場合は、防除所が出す特殊報や指導機関の指導に従うことが原則である。

以下に病害虫雑草別にホウレンソウに登録のある農薬を数えた。これを見ると登録農薬数の多い病害虫がよく発生するものとほぼ同じである。

(1)病害

ホウレンソウに発生する病害は土壌に由来するものが多くあり(萎凋病、株腐病、立枯病、苗立枯病、根腐病、バーティシリウム萎凋病、ピシウム菌による病害)、主に土壌消毒か、土壌混和・土壌灌注処理で防除される。

茎葉に発生する病害は、うどんこ病、灰色かび病、白斑病、べと病の4つあるが、この中では、べと病の発生が多く登録農薬も多い。これらは、茎葉に向かって噴霧する方法がとられる。

ホウレンソウの病害と登録農薬数

(2)害虫

ホウレンソウに発生する害虫は、アブラムシ類とハスモンヨトウやシロオビノメイガといったチョウ目害虫の発生が多くみられる。害虫においても、土中で根を加害するものと茎葉を加害するものとがあり、土中を加害するものは、土壌消毒か土中への薬剤混和、茎葉を加害するものは、土壌への散粒か薬剤の噴霧で防除が行われる。

表  ホウレンソウの害虫と登録農薬数

(3)雑草

ホウレンソウで防除対象になっている雑草は、一年生雑草が対象である。一年生雑草には、イネ科雑草と広葉雑草があるが、土壌処理除草剤によっては枯らすことができる雑草が限られている場合もある。

登録されている除草剤の多くは、非選択性茎葉処理除草剤であり、これは作物も含めてすべての植物を枯らすものである。このため、基本的に作物の立毛中は使用することができず、播種前に枯草が完了するよう、必ず播種前に雑草茎葉に散布する必要がある。

ホウレンソウの対象雑草と登録農薬数

2.栽培ステージに合わせた防除法の記述

防除暦は基本的に栽培ステージ、いうなれば栽培の手順に合わせて必要な防除を記載する必要がある。病害虫雑草の発生生態や農薬の使用方法に応じて使用できる時期が異なるので、それを間違いなく正しく使用してもらえるようにするために「いつ、何を、どのように使えばよいか」を明確にするように記載する。

栽培ステージとしては、ほ場の準備(土壌消毒を含む)、播種前、播種時、幼苗期、生育期に分けられるので、次回以降、これらのステージ毎に記載すべき内容を紹介する。

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