農薬:防除学習帖
防除暦8【防除学習帖】第121回2021年10月15日
現在本稿では、ホウレンソウの防除暦作成を目指して、防除暦作成の手順や防除手段選択の考え方を示しながら、防除の組み立て方法について紹介している。
前回までに、ホウレンソウ栽培におけるほ場の準備編からは種時、生育期の防除について紹介した。
今回は、時期別防除の最後、収穫期の病害虫防除について紹介する。
ホウレンソウの収穫期はは種時期により異なり、それががどの月にあたるかによって防除する病害虫が異なってくるので、収穫時期にどのような病害虫が重点防除時期なのかをよく確認して病害虫雑草防除を考えるようにする。
ホウレンソウの病害虫雑草 重点防除時期
春まき防除の要点
春まきホウレンソウ(3月上旬から5月下旬に種まき)は、その1ヵ月から1ヵ月半ぐらいで収穫するので、収穫期は4月中旬から7月上旬くらいになる。春まきは、収穫期に重要な病害虫防除時期が重なるので、特に品質に影響が大きいチョウ目害虫の防除に注意を払う。防虫ネットのベタかけ資材を有効活用して行いたい。生育期後半で降雨多いと、べと病が発生してくるので、収穫前10日前後に降雨が多ければ、収穫前使用日数の短いべと病防除剤の散布を使用して防除する。雨よけ栽培を行っている場合は、べと病防除は不要である。
1. 夏まき防除の要点
夏まきホウレンソウ(7月中旬から9月上旬に種まき)は、その1ヵ月から1ヵ月半ぐらいで収穫するので、収穫期は8月中旬から10月上旬くらいになる。7月には種した場合は、防除上問題となるのはシロオビノメイガおよび、多雨時のべと病や萎凋病、白斑病である。シロオビノメイガの防除は、防虫ネットか散布剤で行う。夏まきは期間を通じて多雨なので、雨媒伝染するべと病や萎凋病には特に注意が必要だ。薬剤防除を行う場合は、収穫前使用日数を十分に注意する。可能なら雨よけ栽培を採用すると雨媒伝染性の病害はかなり減らせる。
2.秋まき防除の要点
秋まきホウレンソウ(9月中旬から11月中旬に種まき)は、その1ヵ月半から2ヵ月ぐらいで収穫するので、収穫期は10月下旬から2月上旬くらいになる。収穫期にはほぼ病害虫の被害が少なくなる時期ではあるが9月中旬~10月は、チョウ目害虫、特にヨトウムシ類の防除を徹底する。初期からの防虫ベタかけ資材が必須の時期だ。ベタかけ資材を行わない場合は、定期的なチョウ目害虫防除剤の散布を収穫前使用日数に注意して行う。寒くなってくると病害虫も減ってくるので、11月中旬のは種ではあまり病害虫防除の必要性は減ってくる。
3.登録のある防除剤
生育期に使用する病害虫防除剤は以下のとおり。ホウレンソウの場合、病害虫の被害が発生すると商品価値が大きく減るので、例年発生する病害虫は、被害が起こる前の予防散布を心掛ける。また、同系統の薬剤の連続使用は避けて、異なる系統の薬剤でローテーション散布を実施する。 使用前にラベルをよく読んで、用法・用量を確実に守って使用してほしい。
除草剤散布
ホウレンソウの収穫期に使用できる除草剤は、畦間散布できる非選択性茎葉処理除草剤とナブ乳剤のみである。収穫期は、ホウレンソウが大きくなって光を遮るので、雑草も繁茂しにくくなるので不要な場合も多い。もし、畦間散布する場合は、ホウレンソウが大きく薬液がかかりやすくなので、厳重に注意する。
非選択性茎葉処理除草剤は、ホウレンソウに薬液がかかると激しい薬害で枯れてしまうので絶対にかからないように拡散防止器具などをつけるなどして慎重に使用する。特に収穫期はホウレンソウも大きくなっているので注意が必要だ。ナブ乳剤は、ホウレンソウにかかっても問題ないが、スズメノカタビラを除くイネ科一年生雑草専用剤で、広葉雑草には効果が無いので、生えている雑草の種類に注意して使用する。
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