農薬:防除学習帖
防除暦9【防除学習帖】第122回2021年10月22日
本稿では、ホウレンソウの防除暦作成を目指して、防除暦作成の手順や防除手段選択の考え方を示しながら、防除の組み立て方法について紹介してきた。前回までで、ひととおりホウレンソウ栽培における圃場の準備編から収穫までに実施する防除の概要を紹介したので、今回は、それらの防除の具体的な防除暦(栽培暦)への組み込み例を紹介していきたい。
これまで紹介した内容をもとに、多くの病害虫防除対策をしなければならない春まきと夏まきのベタかけ資材無しの作型を題材に作成してみたい。
1.タイトル編
タイトルは、作物名と作型がどんなものか、露地や施設栽培の区別ができるように書く。これは、作型や生産場所によって防除すべき病害虫が異なることが多いためであり、作業者が防除作業の流れをイメージしやすくなるのでお勧めである。
ただし、この場合は、作型ごとに暦をつくる必要があるので手間は多くなるが、記載内容を網羅的ではなく、より具体的に書きやすくなるので、わかりやすい暦をつくることができる。
2.【圃場の準備】編
圃場の準備も時期別の中に入れている暦もあるが、ホウレンソウの場合、栽培期間が短く、栽培時期が異なる作型も多いので、時期に関わらず共通する作業は、【圃場の準備】にまとめた方がわかりやすい。
この例では、土壌消毒の実施概要と耕起前の非選択性茎葉処理除草剤による雑草防除、ケナガコナダニが前作で多かった場合の対処を記載した。ここでは、圃場の準備の段階でやっておいた方が良い作業を「何故やるのか」がわかるようにして、できるだけ簡潔に書くようにするとよい。
3.【栽培・防除暦】編
ここは暦の本体にあたる部分でもあり、栽培作業の流れの中で防除作業をいつ行えばよいのかがわかるようにしたい。
この例では、時期を旬で刻んで、栽培作業と防除作業が確認できるように、栽培作業と月別の重点防除対象病害虫、必須防除と臨機防除を分けて表現できるように工夫した。
(1)は種期
は種の前後で行うべき防除として種子消毒を臨機防除に、ネキリムシ対策を必須として配置した。ほ場によってはやらなくてもよい防除がある場合は、防除可否の判断基準を添えて記載するようにした。
(2)生育期
生育期に発生する病害虫ごとに、使用する農薬が同じ系列の連続散布とならないように系統の異なる薬剤を並べるようにした。また、収穫前使用日数も意識し、収穫期に近い時期の防除には、収穫前日の農薬が入るようにした。この表記での課題は、混用である。
殺虫・殺菌は混用して同時に散布した方が労力を軽減できるので、混用適否を調べ混用の仕方まで表記するほうが望ましいが、その点は次回以降の検討としたい。
(3)収穫終了後
収穫終了後にも残さの片づけなど次作のために行っておいた方が良いものはそれを記載するようにする。
次回、それぞれの時期にどのようにして農薬を選んだのか紹介する。
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