農薬:防除学習帖
防除暦10【防除学習帖】第123回2021年10月29日
本稿では、ホウレンソウの防除暦作成を目指して、防除暦作成の手順や防除手段選択の考え方を示しながら、防除の組み立て方法について紹介しており、春まきと夏まきのベタかけ資材無しの作型を題材に、具体的な防除暦作成の手法を紹介している。
今回は、生育期の農薬の選び方を紹介する。
1.は種前・は種時
(1)病害防除
は種前もしくはは種時に行う病害防除は、苗立枯病、立枯病、株腐病、根腐病が対象である。ホウレンソウのこの時期の防除は苗立枯病を対象としたもの主体であるため、この暦例では、苗立枯病防除を発生している場合の臨機防除欄に記載している。
苗立枯病を起こす病原菌は、糸状菌であるリゾクトニア菌とピシウム菌の2種類あるが、多くがリゾクトニア菌であるため、この例ではリゾクトニア菌対象の薬剤(バシタック)を選んでいる。もし、ピシウム菌が発生している場合は、エイプロン31による種子処理しか方法がない。どちらの菌によるものかは、指導機関に確認してもらうようにする。
この時期に使用できる病害防除剤は、種子消毒剤や土壌かん注するもの、土壌混和するものがあるので、発生している病害に合わせて処理を行う。
ただ、いずれも発生してからでは防除が間に合わないものが多いので、基本的に前作での発生状況をよく考慮して、次作での防除対象を決めて、予防的に使用するしかない。
幸いなことに前作で発生していないようであれば、これらの防除は省略できるので、前作での発生をよく確認しておくことが重要である。
(2)雑草防除
雑草は病害虫と異なり必ず発生するので、初期の雑草防除をしっかり行うようにしたい。
基本的に初期生育が過ぎてホウレンソウがある程度大きくなってしまえば、光の競合によって雑草は生育しにくくなり、雑草害は少なくなる。
この初期の雑草害を抑えるのに役立つのが、は種7日前までに使用する非選択性茎葉処理除草剤かは種直後から生育期に使用できる除草剤である。暦例では、非選択性茎葉処理除草剤を使用しなかった場合の臨機防除としては種直後・生育期に使用する除草剤としてラッソー乳剤を選択している。どちらを選ぶかは多年生雑草や難防除雑草の発生量が決めるとよく、それらの雑草の発生が多く被害が出ているようであれば、は種前に非選択性茎葉処理除草剤を使用すると良い。一年生雑草が中心であれば、下記の表の除草剤で十分である。もちろん、両方を併用する方が一番除草効果が安定するのは間違いない。
次回は生育期での防除薬剤の選び方を紹介する。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】カンキツ類に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 高知県2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(1)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(2)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(3)2025年10月17日
-
25年度上期販売乳量 生産1.3%増も、受託戸数9500割れ2025年10月17日
-
(457)「人間は『入力する』葦か?」という教育現場からの問い【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月17日
-
みのりカフェ 元気市広島店「季節野菜のグリーンスムージー」特別価格で提供 JA全農2025年10月17日
-
JA全農主催「WCBF少年野球教室」群馬県太田市で25日に開催2025年10月17日
-
【地域を診る】統計調査はどこまで地域の姿を明らかにできるのか 国勢調査と農林業センサス 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年10月17日
-
岐阜の飛騨牛や柿・栗など「飛騨・美濃うまいもん広場」で販売 JAタウン2025年10月17日
-
JA佐渡と連携したツアー「おけさ柿 収穫体験プラン」発売 佐渡汽船2025年10月17日
-
「乃木坂46と国消国産を学ぼう!」 クイズキャンペーン開始 JAグループ2025年10月17日
-
大阪・関西万博からGREEN×EXPO 2027へバトンタッチ 「次の万博は、横浜で」 2027年国際園芸博覧会協会2025年10月17日
-
農薬出荷数量は0.5%増、農薬出荷金額は3.5%増 2025年農薬年度8月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年10月17日
-
鳥取県で一緒に農業をしよう!「第3回とっとり農業人フェア」開催2025年10月17日
-
ふるさと納税でこどもたちに食・体験を届ける「こどもふるさと便」 IMPACT STARTUP SUMMIT 2025で紹介 ネッスー2025年10月17日
-
全地形型プラットフォーム車両「KATR」、レッドドット・デザイン賞を受賞 クボタ2025年10月17日
-
農業分野初「マッスルスーツSoft-Power」と「COOL-VEST」を同時導入 イノフィス2025年10月17日
-
伝統のやぐら干し「産直大根ぬか漬けたくあん」がグッドデザイン賞受賞 パルシステム2025年10月17日
-
鳥インフル 米モンタナ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月17日