農薬:防除学習帖
防除暦12【防除学習帖】第125回2021年11月12日
本稿では、ホウレンソウの防除暦作成を目指して、防除暦作成の手順や防除手段選択の考え方を示しながら、防除の組み立て方法について紹介しており、春まきと夏まきのベタかけ資材無しの作型を題材に、具体的な防除暦作成の手法を紹介している。
今回は、無事に収穫が終わり、次作に移るための管理の部について紹介する。
今回作成を試みた防除暦には、【ほ場の準備】の項と【収穫終了後】の項に2点ほど記載している。防除の成否は、これら栽培期間の前後の処理に影響を受けるものも多いので、栽培期間と同様にしっかりと書き込むことをお勧めしたい。
1.ケナガコナダニ
ケナガコナダニは、ホウレンソウに奇形等を発生させ、商品価値に大きく影響するのでしっかりと防除しておきたい害虫である。この害虫は、ホウレンソウの残さに残って次作に影響することが多いので、次作での多発生被害残さのほ場外への除去処理は当然として、栽培期間中に発生が多かった場合は、土壌消毒剤による土壌消毒を実施し、土壌中のケナガコナダニを一掃しておいた方が良い。土壌消毒剤は、ケナガコナダニ対象の登録のあるものであればどれでも良いが、萎凋病などの土壌病害との同時防除を行うのであればクロルピクリン剤を選択すると適用範囲が広く、一度の消毒で多数の病害虫の防除が期待できる。
また、土壌還元消毒や蒸気消毒など土壌消毒剤以外の消毒法も有効なので、栽培者に合った方法を選択して実施する。
2.収穫後の残さ処理
ホウレンソウに発生する病害虫は、前出のケナガコナダニのようにホウレンソウの被害残さなどが次作での発生源となることが多い。このため、被害残さは必ずほ場外に持ち出し、適切に処分する。もし、植物残さの焼却が認められている地域であれば、焼却処分にすることが望ましい。焼却が認められない場合は、ほ場から離れた農家所有の空き地に埋めるなどして処理をする。
防除暦には、可能であれば被害残さの処理方法も記載するようにすると良い。
以上で合計12回に渡り、ホウレンソウの一般農法での防除暦を紹介した。参考にしていただければ幸いである。
次回以降、ホウレンソウでの有機栽培暦の作成に挑戦しながら、有機栽培の導入の進め方を紹介してみたい。
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