農薬:防除学習帖
有機防除暦7【防除学習帖】第132回2022年1月7日
現在、ホウレンソウの有機農業防除暦の作成にあたり、は種から収穫に至るまでに必要な防除をどのような資材を選んでいくか検討しており、前回までに防除対象の害虫と有機JASで活用できる物理的防除法、生物的防除、耕種的防除およびそれらを駆使しても防除が難しい場合に使用できる農薬等の資材を紹介した。
そこで、今回からこれまでに紹介した防除技術・資材の中から、実際のホウレンソウの有機栽培で使えそうなものをピックアップし、防除暦の作成を試みてみようと思う。
は種時期は病害虫被害の多い作型として春まき(5月中下旬は種)を選択し、防除対策のイメージをつけやすくするため一般防除法との対比で表記し、防除法の選択理由とよりよい効果を得るための留意事項の整理を試みた。
1.ほ場の準備
(1)雑草対策(は種前)
除草剤が使用できないので、寒い時期に荒起こしをし、できるだけ雑草の密度を減らしておく必要がある。畝立ての際の耕起は丁寧に行い、耕起前に生えている雑草を土中にすき込む。このことをほ場準備編に荒起こしをは種時の実施事項に耕起を記載した。
(2)苗立枯病(5月下旬)
苗立枯病は、一旦発生すると土壌中に病原菌の耐久体が長く残るので、前作で被害が発生した場合は、(1)土壌還元消毒による土壌消毒を施す(2)アカザ科以外の作物を数年栽培した(輪作期間を終了した)ほ場に変えるか(3)田畑輪換(畑を一旦水田状態にして畑で発生する病害虫を窒息死させる)を実施したほ場に変えるなどの対処が必要である。
苗立枯病のように土壌に長く残る病害は、ホウレンソウを作付けし続けることで発生量が増えて安定した収穫が望めなくなるので、できるだけ早めに(1)~(3)のいずれかで対処を行う。
2.は種後の防除
(1)飛来性害虫
シロオビノメイガ、ハスモンヨトウ、ヨトウムシといったチョウ目や有翅アブラムシのように飛来して作物を加害する害虫は、は種後にベタ掛け資材で畝全体を覆って防除する。ホウレンソウの場合、作期を通じてベタ掛け資材で畝全体を覆いっぱなしでも栽培できるため、飛来害虫が多い時期には特に有効な物理的防除資材である。
(2)ネキリムシ
ネキリムシは、カブラヤガやタマナヤガという夜蛾(ヤガ、夜活動する蛾)の幼虫のことを指し、その幼虫が地際の茎の部分を食害し、根が切れたように枯死するような被害を起こすことからこのような名称がついた。発生の最初は土中で越冬した老齢幼虫であり、それが気温上昇とともに羽化し、雑草やホウレンソウに飛来して葉に産卵する。産み付けられた卵が孵化(ふか)し、最初は葉を食べて育ち、昼は土中にもぐり、夜にはホウレンソウを加害するようになる。それらが、いずれ羽化して成虫となり、新たな獲物(雑草やホウレンソウ)を求めて飛び回り産卵・孵化・食害・羽化といったサイクルを複数回繰り返す。この幼虫の時期に寒い季節がやってくると幼虫は土に潜り越冬する。この越冬したネキリムシの幼虫が春になってホウレンソウがは種されると、土から出てきて加害する。このため、ネキリムシの被害を減らすためには、成虫を作物に近づかせないようにすることが最初の一歩だ。
ただし、ネキリムシは雑草を好むため、ほ場の周辺に雑草が多いと、まず雑草に飛来し、そこで産卵、生育した幼虫が羽化して成虫となり後にホウレンソウに飛び込んでくる。
このため、ほ場の周辺除草(機械刈り)を丁寧に実施して、ネキリムシの産卵場所を減らすことができれば、結果的にネキリムシのホウレンソウへの飛来を減らすことができるようになる。
(3)べと病防除
ベタ掛け資材で畝全体を覆うと、泥はねが無くなり、萎凋病やべと病の発生量は少なくなるので、基本的に防除は不要となる。
もし栽培の後半でベタ掛けを外すような場合で、降雨が予想されるようなときは、無機銅剤(コサイドボルドー1000倍)を葉裏にも十分かかるように丁寧に散布する。無機銅は予防効果のみなので、必ず発生前に散布しておく。
(4)苗立枯病
土壌に苗立枯病の病原菌が存在すれば、土壌を介して発生するので、もし苗立枯病が発生した場合は、収穫終了後に土壌還元消毒を実施するか、ほ場の変更を検討する。
このように、ベタ掛け資材を使用すると多くの病害虫を物理的に防除できるようになるので、ホウレンソウの有機栽培にとって同資材は利用価値の高い資材である。とはいえ、日照等の事情によりベタ掛け資材を使用しない場合もあるので、次回は、ベタ掛資材を使用しない有機栽培暦を検討してみようと思う。
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