農薬:防除学習帖
トマトの防除暦1【防除学習帖】第135回2022年1月28日
前号(No.134)までに、ホウレンソウを題材にして、化学農薬を使った防除暦と有機農業防除暦の作成を試み、コスト試算を行った。その際にも断りを入れたが、ホウレンソウは栽培期間が短く、栽培時期によっては病害虫防除を行わなくても良い場合があるなど、防除回数を抑えた防除暦が作りやすいことから、防除暦作成のための大まかな流れをつかみやすいことから選んだ。
今回から防除すべき病害虫や防除用資材も多い作物を題材に防除暦の作成に取り組んでみたい。病害虫雑草は、地域や場合によっては、ほ場単位で発生する種類、程度、時期等が異なってくるので、全国に通用するいわゆる「万能防除暦」をつくることはまずできない。
そこで、本稿では、できるだけ共通する病害虫や問題病害虫を中心に順に取り上げ、それぞれに対して、活用できる全ての防除法を並べながら、有効活用の仕方を探ってみたいと考えている。
1.トマトの作型と病害虫の発生
病害虫の発生消長は、温度や湿度に左右され、春に問題となる病害虫、夏に問題となる病害虫などと季節性があるので、基本的に季節ごとに防除対策を組み立てることになる。
トマトにはいろいろな作型があるので、作型別の防除対策は、どの季節に作物の生育ステージがどうなっているかによって異なる場合がある。例えば、苗立枯病の場合は、は種時期に発生するので、は種する時期が防除タイミングとなる。このように栽培のステージに左右される病害虫は、その時期に合わせて防除対策を記述し、それ以外の場合は、基本的に季節ごとに防除対策を考えるようにする。
2.防除対象病害虫
トマトを加害する病害虫で特に重要な防除対象病害虫とその発生期間(重要な防除時期)を下表に示した。発生期間は、病害虫が発生しやすい環境が整う時期でもあるが、一番被害を受けたくない時期でもある。防除については、収穫物である果実への被害を防ぐのが第一であるが、果実を肥大させ、養分を蓄積させる重要な働きをする葉への被害もしっかりと防除しなければならない。
次回以降、ここに示した病害虫ごとに、考えられる防除対策を検討し、防除暦に記載すべき内容を整理していきたい。
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