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農薬:防除学習帖

トマトの防除暦13【防除学習帖】第147回2022年4月22日

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現在、本稿ではトマトを題材に防除暦の作成に取り組んでいる。病害虫雑草は、地域やほ場単位で発生する種類、程度、時期等が異なっていることを考慮し、できるだけ共通する病害虫や問題病害虫を、栽培開始から発生する順に取り上げながら、活用できる防除法や利用する場合の留意点を紹介している。
現在、定植以降発生する病害虫の防除についてひも解いていており、今回は、アブラムシ類の防除を紹介する。

1.トマトに発生するコナジラミ類と生態

コナジラミ類は、カメムシ目コナジラミ科に属する害虫で、体長が1mm程度の極微細な害虫であり、作物に近づくと葉から小さな粉状のものが飛び回ることがあるが、あれがコナジラミである。
トマトにはオンシツコナジラミとタバココナジラミの2種が寄生し、両種は、成虫の翅の納め方や幼虫や卵の形状で見分けがつくものの、微細なので肉眼で見分けることは難しい。

トマトに発生するコナジラミ

2.両種の特徴比較

オンシツコナジラミは、暑さに弱く夏場には数が減り、薬剤がよく効く。
これに対しタバココナジラミは、暑さに強くて夏場でも旺盛に増殖し、薬剤が効きにくい性質がある。このため、細かい形態を観察できない場合でも、そういった点で区別がつく。
また、タバココナジラミには、形態が一緒だが遺伝子が異なる40ものバイオタイプが存在し、主なものはバイオタイプBやQと呼ばれるものがあり、薬剤の効き具合も異なるので注意が必要だ。

コナジラミ類はウイルス病を媒介する。オンシツコナジラミはトマト黄化病ウイルス、タバココナジラミはトマトの黄化葉巻病ウイルスを媒介するので、特に、ウイルス病が発生している地帯ではより徹底したコナジラミの防除が必要である。
コナジラミ類は、幼虫が葉表面にとりついて吸汁する直接被害よりも、すす病の発生やウイルス病の媒介といった間接被害の方が大きい。また、タバココナジラミバイオタイプBは、他作物の葉の白化症やトマト果実の着色異常などを引き起こす。このため、昔はシルバーリーフコナジラミと呼ばれていた。

3.防除法

(1)耕種的防除法
コナジラミは増殖が速いため、発見したらできるだけ早く駆除する必要がある。主な防除は農薬で行うことになるが、以下に示す耕種的防除を組み合わせ、できるだけコナジラミの密度を低く抑えるよう工夫が必要だ。密度が低いと農薬の効果も安定する。
ア.施設の側窓や出入り口に0.4mm目以下の防虫ネットを張って、侵入を阻止する。
イ.ハウス周辺の雑草が発生源となるので、周辺雑草の除草を丁寧に行う。
ウ.コナジラミがついた作物残渣を丁寧にほ場外に出して処分するか、夏場であれば栽培終了後にハウスを密閉して高温蒸しこみ処理を行うことで密度をさげられる。
エ.コナジラミ類は、黄色に誘引される性質があるので、黄色の粘着シートを使用することで捕殺効果が期待できる(ただし発生初期)。

(2)薬剤防除
コナジラミ類に効果のある有効成分は別紙のとおり。
効果のある有効成分は、カメムシ目に適用のある有効成分を作物登録を問わずに抽出したため、実際の登録内容と異なる場合がある。このため、あくまで選択のための参考とし、実際の使用にあたっては、農薬ラベルを良く読んで、登録内容を遵守して使用すること。
また、コナジラミ類は、増殖が速いので、一旦発生すると急速に被害が大きくなる。このため、発生初期での徹底防除が重要であり、できれば、耕種的防除と組み合わせ、発生前からの定期的薬剤散布を行うようにする。
さらに、ほ場への害虫の持ち込みを減らすため、育苗期の灌注処理剤を使用して本圃への持ち込みを防ぐとともに、定植前か定植時の株元粒剤散布によって生育期前半の防除を確実に行い、密度を徹底して低下させると良い。

カメムシ目に適用のある有効成分一覧

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