農薬:防除学習帖
トマト病害虫雑草防除のネタ帳 害虫防除 コナジラミ【防除学習帖】第191回2023年3月11日
現在、防除学習帖では、トマトの病害虫雑草の生態や防除法を紹介している。トマトを加害する害虫の防除ネタを順次紹介しており、今回は、カメムシ目コナジラミ科に属する害虫の生態と防除を紹介する。
トマトに発生するコナジラミ類と生態
(1)生態
コナジラミ類は、カメムシ目コナジラミ科に属する害虫で、体長が1mm程度の極微細な害虫であり、作物に近づくと葉から小さな粉状のものが飛び回ることがあるが、あれがコナジラミである。
トマトにはオンシツコナジラミとタバココナジラミの2種が寄生し、両種は、成虫の翅の納め方や幼虫や卵の形状で見分けがつくものの、微細なので肉眼で見分けることは難しい。
オンシツコナジラミは、暑さに弱く夏場には数が減り、薬剤がよく効く。
これに対しタバココナジラミは、暑さに強くて夏場でも旺盛に増殖し、薬剤が効きにくい性質がある。このため、細かい形態を観察できない場合でも、そういった点で区別がつく。
また、タバココナジラミには、形態が一緒だが遺伝子が異なる40ものバイオタイプが存在し、主なものはバイオタイプBやQと呼ばれるものがあり、薬剤の効き具合も異なるので注意が必要だ。
(2)ウイルス媒介
コナジラミ類はウイルス病を媒介するため、吸汁による被害よりもウイルス病を感染させる間接被害の方が大きい。オンシツコナジラミはトマト黄化病ウイルス、タバココナジラミはトマトの黄化葉巻病ウイルスを媒介するので、特に、ウイルス病が発生している地帯ではより徹底したコナジラミの防除が必要である。
また、タバココナジラミバイオタイプBは、他作物の葉の白化症やトマト果実の着色異常などを引き起こす。このため、昔はシルバーリーフコナジラミと呼ばれていた。
防除法
(1)耕種的防除法
コナジラミは増殖が速いため、発見したらできるだけ早く駆除する必要がある。主な防除は農薬で行うことになるが、以下に示す耕種的防除を組み合わせ、できるだけコナジラミの密度を低く抑えるよう工夫が必要だ。密度が低いと農薬の効果も安定する。
①施設の側窓や出入り口に0.4mm目以下の防虫ネットを張って、侵入を阻止する。
②ハウス周辺の雑草が発生源となるので、周辺雑草の除草を丁寧に行う。
③コナジラミがついた作物残渣を丁寧にほ場外に出して処分するか、夏場であれば栽培終了後にハウスを密閉して高温蒸しこみ処理を行うことで密度をさげられる。
④コナジラミ類は、黄色に誘引される性質があるので、黄色の粘着シートを使用することで捕殺効果が期待できる(ただし発生初期)。
(2)薬剤防除
コナジラミ類に効果のある有効成分は別紙のとおり。
効果のある有効成分は、カメムシ目に適用のある有効成分を作物登録を問わずに抽出したため、実際の登録内容と異なる場合がある。このため、あくまで選択のための参考とし、実際の使用にあたっては、農薬ラベルを良く読んで、登録内容を遵守して使用してほしい。
また、コナジラミ類は、増殖が速いので、一旦発生すると急速に被害が大きくなる。このため、発生初期での徹底防除が重要であり、できれば、耕種的防除と組み合わせ、発生前からの定期的薬剤散布を行うようにする。
さらに、ほ場への害虫の持ち込みを減らすため、育苗期の灌注処理剤を使用して本圃への持ち込みを防ぐとともに、定植前か定植時の株元粒剤散布によって生育期前半の防除を確実に行い、密度を徹底して低下させると良い。
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日