農薬:防除学習帖
トマト病害虫雑草防除のネタ帳 害虫防除 コガネムシ【防除学習帖】第193回2023年3月25日
現在、防除学習帖では、トマトの病害虫雑草の生態や防除法を紹介している。前回からトマトを加害する害虫の防除ネタを順次紹介しており、今回は、甲虫目コガネムシ科に属する害虫の生態と防除を紹介する。
1.トマトに発生するコガネムシとその生態
コガネムシのうち、トマトを食害する主なコガネムシは、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ、アカビロドコガネの3種である。
トマトを加害するコガネムシ
2.トマトに発生するコガネムシ類の共通する生態と被害
成虫・幼虫ともに被害を起こす。幼虫は根を加害し、養分の吸収が出来なくなって生育不良を起こし、ひどい場合は枯死する。成虫は葉を葉脈だけ残して網目状に食害し、著しく生育を阻害する。
越冬した幼虫がまずは根を加害し、初夏~初秋までは羽化した成虫とその成虫の産卵後に生まれた幼虫の両方の被害を受ける。成虫は飛来によって加害するので、露地栽培では定期的な防除が欠かさず、成虫が産卵するのを阻止する必要がある。
3.防除法
(1)耕種的防除法
①捕殺
成虫も幼虫も見つけ次第速やかに捕殺する。
②防虫ネットの設置
施設栽培であればハウス開口部に防虫網を設置することで防除できる。ただし、扉ぼ開け閉めの際に侵入しないよう、ハウス入口前に予備室を設けるなど侵入防止を徹底する。
③マルチシートや防草シートの敷設
マルチや防草シートで表土を覆い、コガネムシの成虫が土の中に潜れなくして産卵を防ぐ。産卵をさせないことで、幼虫による根への被害を無くすことができる。
④コンパニオンプランツの栽植
露地栽培の場合、コンパニオンプランツ(害虫が嫌う植物)をトマトの周辺で栽植すると良い。コガネムシが嫌う植物にはスイセンやニンニク、マリーゴールドなどだが、被害軽減効果は大きくない(2割程度)といわれている。
(2)薬剤防除
コガネムシ類に効果のある有効成分は別紙のとおり。
幼虫で越冬するため前作で被害が多かった場合は、事前にD-D等の土壌消毒剤で土壌消毒するか、あるいは土壌処理粒剤や灌注剤で防除し、成虫を発生させないようにすることが第一である。
また、羽化した成虫は飛来によっても加害するので、特に露地栽培では定期的な散布剤による防除を実施して成虫の被害を防ぐとともに、成虫が土中に産卵するのを阻止する。
なお、下表は、コガネムシ類に適用のある有効成分をトマトへの作物登録の有無を問わずに抽出したため、実際の登録内容と異なる場合がある。このため、あくまで選択のための参考とし、実際の使用にあたっては、農薬ラベルを良く読んで、登録内容を遵守して使用してほしい。
コガネムシ類に効果のある有効成分一覧
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