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農薬:防除学習帖

トマト病害虫雑草防除のネタ帳 施用法②【防除学習帖】第202回2023年6月3日

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防除学習帖では、全37回に渡りトマトの病害虫雑草の生態や防除法を紹介し終え、前回より農薬の施用法についてご紹介している。農薬には様々な製剤があって使い方も様々であり、これを安全にかつ上手に使いこなすためには、農薬の取り扱いやそれぞれに応じた施用法を知る必要がある。そのため、農薬の製剤や上手な施用法について、それらの基礎的な知識について順次紹介している。今回は、農薬の製剤の成り立ちを紹介する。

1.農薬にはなぜ製剤が必要なのか

農薬は、有効成分が対象とする病害虫雑草に接触してはじめて効果を発揮するので、本来であれば有効成分を均一に散布すればいいことになるが、一般に農薬の有効成分の10aあたりの投下量は多くないので、均一に散布することは難しい。

例えば、有効成分を20%含むA水和剤を1000倍希釈で10aあたり300?散布する場合、A水和剤の有効成分が10aあたりに散布される量はどの位になるか計算してみよう。

A水和剤の1000倍希釈液(散布液)を300?作るときにA水和剤製剤の必要量は、次のような計算によってわかる。
①300lの希釈液のグラム数は、300(l)×1000(1lは1000g)=300,000(g)
②1000倍に希釈するために必要なA水和剤の製剤量は、300,000(g)÷1000=300(g)
③ A水和剤300gに含まれる有効成分量は、300(g)×0.2(20%)=60(g)

つまり、A水和剤の場合は、原理的には10aあたりに60gの有効成分を均一に散布することができれば効果を発揮することになる。

ところが、10a(=1000㎡)あたり60gということは1㎡あたり0.6gとなり、1m四方の面積に0.6gの有効成分を均一に散布することは無風状態でやってもかなり難しい。ましてや、作物が栽植されている場合は、作物体全体に均一に散布することは、作物自体の表面積が増えるためさらに難しくなる、いや不可能である。このため、多くの農薬は有効成分にキャリア(増量剤)に有効成分を均一に混ぜて、均一に散布しやすい(できる)ようにしてある。

この増量剤には、界面活性剤や粘土鉱物などが多種類あるが、それらを有効成分の性質や用途に合わせ、有効成分の効果が最大限現れるように、色々な組み合わせを試したりしながら最適な製剤が作られていく。その結果、たくさんの製剤が存在するようになった。

2. 製剤に求められる性能

(1)均一に散布しやすくすること
少量の有効成分を均一に散布できるようにでき、既存の防除器具が使えるものなど
(2)防除効果が最大限になること
少しずつ有効成分を放出して残効性を向上させたり、有効成分が染み込みやすくすることで、作物内部に潜む病原菌に効果を表すことができるようにする、有効成分を作物表面に長く留めて長く聞かせるなど
(3)薬害を回避すること
有効成分によっては、作物に障害(薬害)を起こすことがあるので、それらが起こらないように、薬害軽減剤などを添加するなど。
(4)散布者や作物、環境に安全であること
薬剤調整時に粉立ちせず、粉塵を吸い込んでしまうことが無いようにする、農薬成分に直接触れることなく散布できるものなど
(5)長期間の保管に耐えられること
農薬の有効成分の期間(3~5年)に、一般の保管状態で、有効成分が分解・消失することなく効果を保つことができる、変質したり希釈性が変化したりしないなど
(6)散布労力が軽減できること
散布労力・散布時間を短縮できる(ジャンボ剤、流し込み製剤など)

3.製剤と施用法

農薬は、作物、対象病害虫草毎に使用量、希釈倍数、使用方法、収穫前使用日数、総使用回数などを定めて、国の登録を受けている。現在、国内では農薬登録を取っていないものを防除目的で使用してはならないことになっている(在来天敵、重曹や食酢など一部の特定防除資材を除く)。

農薬取締法では、農薬登録内容を遵守して使用することを義務化しており、違反した場合、懲役や罰金刑も課せられる。このため、農薬の散布者は登録内容を遵守しながら使用しているのであるが、散布の仕方によっては、ドリフトを発生させ、加害者にも被害者にもなることがあるので注意が必要だ。

(1) 加害者になる場合
農薬にはそれぞれ登録内容があり、使用できる作物が決められている。登録されている作物以外に使用すると、「適用外使用」となって農薬取締法違反となる。
どんな時に起こるかというと、農薬登録内容に変更があって登録作物が削除された場合やドリフトである。前者については、有効期限内の製剤に添付された農薬ラベルを確認することで回避できるが、後者のドリフトについては、農薬散布時に十分な注意が必要だ。
水希釈剤や粉剤を散布するとき風が強かったりすると、薬液や粉体が隣接の作物に飛散して付着してしまうことがある。この時、飛散した農薬が隣接の作物に登録がないものであれば、適用外使用となって、飛散を受けた作物は販売できなくなる。この時、農薬の散布者は、ドリフトによって隣接の作物による収入が得られなくなるという被害を起こすことになり、加害者となる。

(2)被害者になる場合
(1)とは逆に、自身は散布していなくても、隣から飛んできた農薬が自分の作物にドリフトして付着した場合、その農薬が自分の作物の登録が無ければ、農薬取締法違反となって販売ができなくなる。この場合、ドリフトによって自分の作物による収入が得られなくなるという被害を受けることになるので、被害者となる。

4.農薬の散布粒子

農薬はどの散布方法であっても、粒子をなんらかの方法で散布している。
粒子というと、粒剤などを想像し、水で希釈する場合にはイメージがつきにくいかもしれないが、散布ノズルから噴出される水滴は農薬希釈液の粒子状になっており、立派な粒子である。例えば、一般のノズルでの噴霧の霧は、平均直径200~300ミクロン程度の粒子になっている。一方粉剤も粒子であり、粉剤が平均10?程度、DL粉剤(ドリフトレス粉剤)が平均20ミクロン程度の直径の粒子である。これらの粒子は、極小さいので、空気中を漂っている時には霧状や煙状に見えるのである。
そして、農薬は、その散布する際の粒子の大きさによって、効果、作物への付着状況、到達距離、飛散(ドリフト)距離が影響を受ける。

(1)効果
農薬は有効成分が害虫や病原菌が触れる機会が多い方が効果は出やすくなるので、作物表面に均一に隙間なくびっしり付着している方がよい。このような散布状況は、散布粒子が小さい方が作りやすくなる。このため、一般的に散布粒子が小さい方が効果は高くなる。
(2)作物への付着状況
作物への付着も、散布粒子が小さい方が多くなる。なぜなら、作物の表面には、目には見えないが突起物や微毛などがあり意外とデコボコしている。粒子が小さければ、このようなデコボコにも入り込むことができ、付着しやすくなる。
(3)到達距離
散布を効率よくやろうと思えば、長い距離を飛ばせると良い。例えば、水田であれば片方の畦畔から向こう側の畦畔まで農薬を飛ばすことができれば片方の畦畔をあるくだけで散布が終了するので、効率的である。
この農薬の到達距離も粒径が大きく影響する。粒径が小さいほど風に乗って遠くに飛ばすことができるが、必要以上に飛んでしまうとドリフトにつながるので、農薬の製剤をつくる場合には、どのくらい飛べば効率よく防除でき、ドリフトを抑えることができるかを考慮しながら検討されている。
(4)飛散(ドリフト)
(3)でも紹介したように、粒子が小さいほど遠くまで飛ぶ。あるデータでは、3ミクロンの水滴(粒子)は、3mの高さから平均風速1.33mの風に乗ると10kmも飛ぶとされており、実際の霧状散布の水滴(粒径100ミクロン)でも同じ風速で10m飛ぶ。風速1.33mというのは微風状態であり、散布可能な風速であるにも関わらず水滴が10mも飛ぶということは、圃場の端などの散布では当然隣接の圃場に薬液が飛ぶことを想定しなければならない。

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