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農薬:防除学習帖

みどり戦略に対応した防除戦略(24) 果樹の防除暦【防除学習帖】 第230回2023年12月23日

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令和3年5月に公表され、農業界に衝撃を与えた「みどりの食料システム戦略」。防除学習帖では、そこに示された減化学農薬に関するKPIをただ単にKPIをクリアするのではなく、できるだけ作物の収量・品質を落とさない防除を実現した上で、みどりの食料システム法のKPIをクリアできる方法がないかを探ろうとしている。

現在、散布回数の多い果樹を検討するためナシを題材に検討を進めている。果樹も水稲と同様に防除暦が整っている作物ではあるが、暦の内容が地域によって異なるため、一律的なリスク低減方策を示しにくい作物であることから、栽培ステージごとに一般的なリスク換算量低減法の検討を試みようとしている。

今回は、リン片脱落期~開花期(受粉終了)の害虫防除について検証してみる。

1.リン片脱落期~開花期(受粉終了)の害虫防除
この時期は、新芽を加害するアブラムシ類の防除に重点を置く。病害と同様に初期の害虫密度を少なくすることができれば、その後のアブラムシ類の防除を効率的に行うことができるようになる。

2.リン片脱落期~開花期(受粉終了)害虫防除の実際
(1)薬剤防除
この時期のアブラムシ類は、殺虫剤による防除を丁寧に行うことが基本である。その際には、薬剤抵抗性の発達を避けるために、作用性の異なる薬剤でローテーション防除を実施することが肝要だ。また、黒星病・赤星病防除薬剤との混用で使用されることが多いので混用適否をあらかじめよく確かめる必要がある。ただ、JAや指導機関で作成された防除暦は混用の適否も考慮して作成されているので、それに従って防除する場合は確認の必要はないのだが、防除暦に記載の無い薬剤を使用する場合には混用適否を確認するようにしてほしい。

(2)防除例
以下にモデル防除暦を示したが、この時期は、病害防除と同様にリスク換算量を気にすることなく、しっかりとした防除を行うことを念頭に置いた方が良い。

開花期前後に使用するアブラムシ剤のリスク換算量比較3.リスク換算量削減方策
この時期のアブラムシ類防除は、基本的に防除効果を落とさないように、効果最優先で薬剤を選ぶようにする。その上で、あえてリスク換算量を減らすなら次のような方法が考えられる。
(1) 作用性の異なる薬剤の中からリスク換算量の少ないものを選んでローテーションで使用する。
(2) 希釈倍数が複数ある場合は薄い方を選択する。
リスク換算量は、面倒だが次表のようなものを作成して検討しやすい。

開花期前後に使用するアブラムシ剤のリスク換算量比較

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