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農薬:防除学習帖

みどり戦略に対応した防除戦略(26)摘果期の害虫防除【防除学習帖】 第230回2024年1月13日

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令和3年5月に公表され、農業界に衝撃を与えた「みどりの食料システム戦略」。防除学習帖では、そこに示された減化学農薬に関するKPIをただ単にKPIをクリアするのではなく、できるだけ作物の収量・品質を落とさない防除を実現した上で、みどりの食料システム法のKPIをクリアできる方法がないかを探ろうとしている。

現在、散布回数の多い果樹を検討するためナシを題材に検討を進めている。果樹も水稲と同様に防除暦が整っている作物ではあるが、暦の内容が地域によって異なるため、一律的なリスク低減方策を示しにくい作物であることから、栽培ステージごとに一般的なリスク換算量低減方法の検討を試みようとしている。

今回は、摘果期の害虫防除について検証してみる。

1.摘果期に発生する害虫

この時期に発生する主な害虫は、アブラムシ類、シンクイムシ類、カメムシ類、ニセナシサビダニ、カイガラムシ類である。このうち、シンクイムシ類やカメムシ類は特に幼果への被害が収量・品質に直結するので、毎年の発生状況を確認しながら、確実に防除を行うようにする。

2.摘果期の害虫防除の実際

以下にモデル防除暦を示したが、この時期に発生する害虫は、特に幼果への加害によって収量・品質に大きく影響する。このため、基本的にリスク換算量を気にすることなく、防除暦に従うか、発生状況(発生害虫種や発生量)に合わせて確実な防除を実施する。

摘果期の防除暦(例)

3.リスク換算量削減方策

 この時期あたりから害虫種も増えるので、どの害虫も確実に防除できるよう薬剤選択に注意が必要であるため、基本的に地域の防除暦に従って確実に防除を実行すると良い。なぜなら、防除暦にはその地域における発生害虫の消長を把握した上で、適切な殺虫剤が記載されているからである。

もし、新発生の害虫や薬剤抵抗性の発達などイレギュラーな対応が必要な場合は、指導機関等の指導を確実に守るようにしてほしい。

また、この時期は害虫被害を防ぐ重要な時期であるため、基本的に防除効果を最優先に考えて防除を行って欲しい。 その上で、あえてリスク換算量を減らすなら次のような方法が考えられる。

(1)薬剤防除

  • 作用性の異なる薬剤の中からリスク換算量の少ないものを選んでローテーションで使用する。
  • 希釈倍数が複数ある場合は薄い方でも十分に効果があると判断される場合に限り選択する。
  • 1剤で複数の害虫に効果のある薬剤を基本防除に組み入れる。

 (2)耕種的防除

摘果作業で、害虫が侵入したことが疑われる幼果を確実に取り除くようにする。

また、袋掛けなど物理的防除を併用するとよりリスク換算量を減らすことができる。

摘果期に使用する殺虫剤のリスク換算量試算表

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