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農薬:防除学習帖

みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(26)【防除学習帖】 第265回2024年9月14日

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令和3年5月に公表され、農業界に衝撃を与えた「みどりの食料システム戦略」。防除学習帖では、そこに示された減化学農薬に関するKPIをただ単にクリアするのではなく、できるだけ作物の収量・品質を落とさない防除を実現した上でKPIをクリアできる方法を探っているが、そのことを実現するのに必要なツールなり技術を確立するには、やはりIPM防除の有効活用が重要だ。そこで、防除学習帖では、IPM防除資材・技術をどのように活用すれば防除効果を落とさずに化学農薬のリスク換算量を減らすことができるのか探っている。IPM防除は、①化学的防除、②生物的防除、③物理的防除、④耕種的防除の4つの防除法を効率よく組み合わせて、作物の生産圃場を病害虫雑草が生きていきづらい環境、いわゆる病害虫雑草自身の生命活動を維持しにくい環境にすることで効率的に防除効果を発揮しようというものだ。

このため、病原菌種別や害虫種別、雑草種別に使えるIPM技術を整理すると、作物が異なっても応用しやすくなるので、現在、病害虫雑草別に主として化学的防除を除いたIPM防除法の組み立て方を検討している(化学的防除法の詳細については病害虫別に後日整理する)。

現在害虫別にその生態と防除について紹介しており、今回はハエ目を紹介する。

1.ハエ目の種類と生態・被害

ハエ目は節足動物門、昆虫網に属し、18の科がある。そのうち防除対象とされているのが、7科26害虫である(下表)。

主なハエ目防除対象害虫
gakushu265 IPM防除実践考[26]_2024-9-13up.jpgこれらのうち、農作物への被害はハモグリバエ科によるものが最も多いので、以下ハモグリバエ科の生態と被害を紹介する。

ハモグリバエ科は、約2,500の種類が確認されており、原産地のアメリカ大陸他、ヨーロッパ諸国やアフリカ諸国でも発生し、日本では、ほとんどの地域で発生が確認されている。

加害作物は、ナス科・マメ科・ウリ科・キク科・アブラナ科など幅広い作物を加害する。成虫は体の大部分が光沢のある黒色であり、頭部など部分的に黄色を示すものが多く、成虫が産卵管で葉の表面に小さな傷をつけて、葉の組織内に産卵する。卵は半透明で円筒形(俵状)、0.2×0.1mm程度と大変小さく、肉眼で確認することは難しい。孵化した幼虫は葉の内部を回転しながら蛇行し加害するため、食害したトンネル部分は白い線状の傷がつき、葉の表面には線を描いたように観察され、それが絵を描いたように見えることからエカキムシ(絵描き虫)と呼ばれることもある。

幼虫は黄褐色~乳白色で、最高齢の3齢幼虫でも体長は3mm程度である。その後、葉から脱出し、葉の表面や土の上で蛹になる。ハモグリバエの被害は、このような幼虫の食害行動によってできた食害痕が確認されて初めて被害が分かる。

加害部位が葉のみのため、果菜類の花や果実に直接的な影響は無いが、葉の活性が落ちることによる収量の低下、品質の劣化が起こる。また、スイートピーやカーネーションなど花卉類では商品価値を著しく低下させる。

発生適温は20℃30℃で3月~11月にかけて発生が多くなるが、施設栽培では年間を通して発生する。

2.ハエ目の防除対策

(1)殺虫剤の使用 [化学的防除]

ハエ目の防除では、目に見えづらく、いつ侵入してくるかわかりにくい害虫なので、生物的防除や物理的防除を併用しながら化学的防除を害虫の発生前に予防的に行うのが最も効果が高い防除法である。なお、ハモグリバエ科の害虫は殺虫剤抵抗性の発達が多い害虫なので、化学的防除を行う際には抵抗性の発達を防ぐため、作用性の異なる薬剤をローテーションで使用する。

(2)生物農薬の活用[生物的防除]

ハモグリバエ科の生物的防除法には寄生蜂を成分とする生物農薬が利用できる。

ハモグリミドリヒメコバチ剤(商品名:ヒメコバチ)やイサエアヒメコバチ剤(商品名:ヒメトップ)が生物農薬として登録されているので適宜活用する。製品の使用上の注意を守って正しく使用する。特に、ハモグリバエの発生量が多いと、天敵導入の効果が十分に発揮できないので、ハモグリバエ科害虫の発揮初期に使用するよう留意する

(3)黄色粘着版の活用[物理的防除]

ハエ目は黄色に誘引される性質を持っており、黄色粘着テープ(いわゆるハエ取り紙)を一定数設置して捕獲することにより、害虫密度を減らすことができる。

(4)吸引式補虫器の利用[物理的防除]

黄色LEDで誘引し、捕獲器の中に吸引する捕虫器などが市販されているので、適宜、施設などに設置して活用する。

(5)蒸し込み処理[物理的防除]

施設栽培の場合、夏場にハモグリバエ類の被害を受けた作物残渣を株元でカットするか根こそぎ抜き取り、ハウス土壌表面に放置する。このままハウスを密閉するか残渣にビニルフィルムをかけて密閉する場合は天窓をあけて作物残渣を高温・多湿条件で保持する。保持後は、ハウス内温度(被覆内温度)が40℃以上になる期間が10日以上(目安)になるように蒸し込みして、ハモグリバエ類を高温で死滅させ、蒸し込み後の作物残渣を丁寧にほ場の外に運び出して適切に処分する。この方法を行う場合は、周辺への拡散を防ぎ、次作での発生量を減らすため、ハモグリバエ類をほ場の外に出さないようにハウス内に封じ込めるように心がける。

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