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農薬:防除学習帖

みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(27)【防除学習帖】第266回2024年9月21日

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令和3年5月に公表され、農業界に衝撃を与えた「みどりの食料システム戦略」。防除学習帖では、そこに示された減化学農薬に関するKPIをただ単にクリアするのではなく、できるだけ作物の収量・品質を落とさない防除を実現した上でKPIをクリアできる方法を探っているが、そのことを実現するのに必要なツールなり技術を確立するには、やはりIPM防除の有効活用が重要だ。そこで、防除学習帖では、IPM防除資材・技術をどのように活用すれば防除効果を落とさずに化学農薬のリスク換算量を減らすことができるのか探っている。IPM防除は、①化学的防除、②生物的防除、③物理的防除、④耕種的防除の4つの防除法を効率よく組み合わせて、作物の生産圃場を病害虫雑草が生きていきづらい環境、いわゆる病害虫雑草自身の生命活動を維持しにくい環境にすることで効率的に防除効果を発揮しようというものだ。

このため、病原菌種別や害虫種別、雑草種別に使えるIPM技術を整理すると、作物が異なっても応用しやすくなるので、現在、病害虫雑草別に主として化学的防除を除いたIPM防除法の組み立て方を検討している(化学的防除法の詳細については病害虫別に後日整理する)。

現在害虫別にその生態と防除について紹介しており、今回はコウチュウ目を紹介する。

1.コウチュウ目の種類と生態・被害

コウチュウ目は節足動物門、昆虫網に属し、非常に多くの種類があるが、農林害虫に挙げられているものに限ると34の科があり、そのうち主な防除対象とされているのが7科15害虫である(下表)。 

成虫の大きさは、10cmを超えるものから1mm以下のものまでいるが、多くの種が1cm以下の微小なものが多い。水稲、野菜、果樹と広範囲の作物に被害を起こし、幼虫・成虫ともに大顎がよく発達しており咀嚼式で成虫、幼虫ともに被害を起こす。食性は多様で、食肉性、食植性、変わったものでは食菌(かび)性のものもあり、ありとあらゆるものを食べる。生育適温は25℃前後と言われており、この気温の時期に発生が多くなる。成虫になるとすぐに性フェロモンや集合フェロモンを使って仲間を呼び寄せ,スムーズに交尾に至り、交尾後の雌は多くの場合幼虫のえさのあるところに産卵する。

被害の大きいコガネムシを例にとると、幼虫が苗木や根菜類の根を食害し、成虫は広葉樹や果樹野菜などの葉を食害する。成虫の発生は概ね6月から始まり、7月に最盛期となる。
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(27)【防除学習帖】第266回-表.jpg

2.コウチュウ目の防除対策

コウチュウ目は種類が多いため、化学的防除以外の特に生物的防除は種特異性があって対象となる害虫個体が異なることが多いので、どの種に効く資材かをよく確かめて使用するように注意してほしい。

(1)殺虫剤の使用 [化学的防除]

コウチュウ目の防除は、生物的防除や物理的防除を併用して個体数を減らしながら化学的防除を害虫の発生前に予防的に行うのが最も効果が高い防除法である。特に、幼虫は土壌中にいることが多いので、産卵される前に土壌処理剤などを予防的に使用する。圃場周辺の樹木が成虫のエサとなることがあるので、圃場周辺の樹木に薬剤散布を行う。土壌中にいる幼虫を減らすには、成虫飛来期(産卵期)と植え付け前の土壌消毒が有効である。

(2)未熟堆肥を避ける[耕種的防除]

未熟堆肥は幼虫のエサ、住処となりやすいため、完熟堆肥を使用し、堆積放置せずに土壌に混和しておく。

(3)明るい光源を圃場周辺から遠ざける[耕種的防除]

コウチュウ目の成虫が灯りに集まるため、街灯などは圃場周辺を避ける。

(4)捕殺[物理的防除]

被害株を見つけたら、その周りを堀り幼虫を探して捕殺する。

(5)電撃殺虫器の利用[物理的防除]

電撃殺虫器で成虫を光に誘引させて捕殺する。

(6)性フェロモンの活用[生物的防除]

成虫のが長生きするコウチュウ目の場合、性フェロモンによる交信攪乱法は難しいとされていたが、ケブカアカチャコガネで初めてコウチュウ目に対する交信攪乱法が確立された。その後、いくつかの種でルアーの開発は進んでいるが、交信攪乱による防除法の検討がすすめられているものもあるが、今のところ実用化にいたるものは出ていない。

(7)天敵の活用[生物的防除]

芝を加害するコガネムシ類の天敵である天敵線虫(S.kushidai)が知られている。この線虫はコガネムシ類の幼虫に卓効を示し、線虫の幼虫がコガネムシ類の口等から体内に入ると, 線虫の保持している共生細菌が害虫の体内に放出され、共生細菌が害虫の血体腔で増殖し, 害虫に敗血症を引き起こして数日以内に死亡させる。

また、ドウガネブイブイ幼虫を死滅させる天敵微生物も発見され、幼虫密度低減効果が確認され、商品化が待たれている。

(8)生物農薬の利用[生物的防除]

コガネムシ類幼虫にのみ効果を示すBT菌が発見され製品化されている(商品名:ブイハンター)ので、適宜活用する。

(9)防虫ネットの設置[物理的防除]

施設栽培の場合、入口、側窓、天窓に防虫網を設置することで成虫の侵入を防ぐことができる。コナジラミなどの微小害虫と異なり、比較的網目が大きくても侵入阻止効果があるので、通風効果を大きく損なわずに設置できる。

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