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農薬:防除学習帖

みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(29)【防除学習帖】第268回2024年10月5日

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 令和3年5月に公表され、農業界に衝撃を与えた「みどりの食料システム戦略」。防除学習帖では、そこに示された減化学農薬に関するKPIをただ単にクリアするのではなく、できるだけ作物の収量・品質を落とさない防除を実現した上でKPIをクリアできる方法を探っているが、そのことを実現するのに必要なツールなり技術を確立するには、やはりIPM防除の有効活用が重要だ。そこで、防除学習帖では、IPM防除資材・技術をどのように活用すれば防除効果を落とさずに化学農薬のリスク換算量を減らすことができるのか探っている。IPM防除は、病原菌種別や害虫種別、雑草種別に整理すると、作物が異なっても応用しやすくなるのではないかと考え、現在、病害虫雑草別に化学的防除の詳細を除いたIPM防除法の組み立て方を検討している(化学的防除法の詳細については病害虫別に後日整理する)。

 現在害虫別にその生態と防除について紹介しており、今回はチョウ目を紹介する。

1. チョウ目の種類と生態・被害
 チョウ目は節足動物門、昆虫網に属し、非常に多くの種類がある。農林害虫に挙げられているものに限ると52の科があるが、そのうち主な防除対象とされているのが14科21害虫である(下表)。 
 チョウ目にはいわゆる「チョウ」と「ガ」が含まれ、ガの方が圧倒的に種類が多く、その数はチョウの20~30倍といわれている。成虫は、基本的に翅の表面が鱗粉で覆われていることである(スカシバ科など鱗粉の無いグループもあるがそれらは2次的な喪失で以前はあったと考えられている)。
 翅は体に比して大きく、甲虫類のように翅を折り畳むことができず、チョウは翅を背中に立てて重ね、ガはテント状に伏せて重ねて止まる。
 顎には2本の細長い突起が合わさってストロー様の器官(口吻)を持ち、粘度の低い液体(水分や花の蜜、樹液などを摂取する。ガの中には果実の果皮を突き刺して果汁を吸うものもいる。
 幼虫は、円筒形で柔らかい体を持ち、胸部の歩脚は短く、腹部にはイボ足をもっており、通称イモムシと呼ばれる。農作物ではこの幼虫による被害が大きい。幼虫は、多くて6齢程度まで脱皮を繰り返して成長し、齢が進むほど食害量も多くなる。
 
 2.チョウ目の防除対策
  チョウ目は種類が多いため、化学的防除以外の防除では、種特異性があって対象となる害虫個体が異なることが多いので、どの種に効く資材かをよく確かめて実施するように注意してほしい。

 (1)殺虫剤の使用 [化学的防除]
 チョウ目は、飛翔性が高いのであらゆるところから飛翔して侵入する。耕種的防除を併用して害虫の数を減らしながら、化学的防除を害虫の発生前か幼虫が小さい発生初期に行うのが最も効果が高い。発生状況に注意しながら、早めの散布を心がける。

 (2)捕殺[物理的防除]
 文字通り、害虫を捕まえて殺すことである。捕まえる方法はいくつかあるが、チョウ目害虫の幼虫を手で捕まえてつぶすことは昔からある防除法である。安全・確実な方法ではあるが、害虫の数が増えたり、害虫が小さかったりするとこの方法では、広い圃場の害虫を防除するには効率が悪すぎる。家庭菜園程度の面積であればまだしも、面積が大きくなるととても捕殺では害虫を防ぎきれないのは容易に想像できる。

 (3)生物農薬の利用[生物的防除]
   チョウ目害虫を対象とした生物農薬は、BT(バチルス チューリンゲンシス)菌を有効成分とするものが主流である。これらは、チョウ目幼虫の消化管の中で毒性を発揮するもので、発生前か幼虫の小さい発生初期に散布すると良い。

みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践

 (4)フェロモン剤(交信攪乱型)の使用[生物的防除]
  交信攪乱型フェロモンは、その目的から交尾阻害型とも呼ばれる。このタイプのフェロモン剤は、ロープ状かスティック状のディスペンサーと呼ばれる専用容器にフェロモン様物質が封入されており、そのディスペンサーから徐々にフェロモン様物質が放出されてほ場内を漂い効果を示す。
  使い方は単純で、ディスペンサーを定められた用法を守って設置するだけである。
用法には、害虫の特性から割り出され、実地試験によって効果を確かめられた方法が示されており、具体的には単位面積あたりの設置本数・長さ、設置間隔、設置垂直位置などが定められている。フェロモンの効果を最大限発揮させるには、この用法を確実に守って使用することにつきる。ただ、10aに数百本のディスペンサーを設置しなければならないものもあり、設置には労力がかかることは覚悟しておいてほしい。その分、農薬散布の量や回数を大幅に減らして、害虫の被害を格段に軽減できるというメリットもある。

  この交信かく乱型は、広い面積単位で一斉に使用する方が効果も安定しやすく、事例では、20~30haほどのまとまった面積が必要だとされている。もし、作付けのほ場が飛び石になるようであれば、作物が作付けされていない部分にもディスペンサーを設置する方が効果は安定するが経費的な課題も残る。ただ、フェロモン剤は、できるだけまとまったほ場単位(産地単位)で一斉に設置した方が効果も安定することを理解しておいてほしい。
また、ほ場の周囲(連続したほ場の周囲)ではどうしてもフェロモン煙幕に隙間ができやすくなるので、周囲ではディスペンサー量を多めに設置する。

みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践

 (5)べた掛け資材・防虫ネットの設置[物理的防除]
 べたがけ資材は、不織布状の資材で作物をすっぽり覆って害虫を作物に寄せ付けない方法で露地物のホウレンソウやコマツナなどの葉物野菜の栽培などでよく使われる。日照が不足するため、十分な日照を必要とする作物では使えないこともある。施設では、天窓や側窓など開口部に防虫ネットを設置して成虫の侵入を防ぐとよい。

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